特集
Windows Azure Platform実用に向けて

安い? 高い? Windows Azure Platformの料金体系

デジタルアドバンテージ 一色 政彦
2009/12/08
2010/01/12 更新
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Windows Azure Platformの割引サービス(Offers)

3つの割引サービス(オファー)

 Windows Azure Platformでは上記の各購買モデルのほか、プロモーション(=販売促進)のための特別割引(Promotional Offers)や開発支援のための割引(Development Pricing)など、さまざまな割引サービスが提供される。具体的には、下記の割引サービスだ。

Windows Azure Platformの割引サービス(オファー)
・初回限定の特別割引サービス(Introductory Special Offer)
・MSDN Premiumサブスクライバー向けの割引サービス(MSDN Premium Offer)
・BizSpark Oneプログラム向けの割引サービス(BizSpark One Offer)

 それでは、それぞれの特別割引サービスについて説明していこう。

初回限定の特別割引サービス(Introductory Special Offer)

 初回限定の特別割引サービス(Introductory Special Offer)は、すべてのWindows Azure Platform利用者が受けられる、2010年6月30日までの期間限定の割引サービスである(期間終了後は、標準レートの従量課金に移行する)。

 具体的には、例えばWindows AzureのSmallインスタンスの利用は、月々25時間までは課金されない(25時間では実運用はできないが、Windows Azure Platformを評価・試用するには十分な時間だろう)。

 もしその制限を超過した場合、その超過分は従量課金の標準レートで支払う必要がある。なおパートナー企業の場合は、従量課金のパートナー企業向けレートで支払う。未使用分が残っていても、次月分に繰り越すことはできない。

 初回限定の特別割引サービスの無償枠(月次)は、以下のようになっている(マイクロソフトの公式説明ページへ)。

課金対象 無償枠の使用量制限
Windows Azure
 Smallコンピュート・インスタンス 25時間まで
 ストレージ 500MBytesまで
 ストレージ・トランザクション 10,000(=1万)まで
SQL Azure
 Web Edition
  10GBytesまでのリレーショナル・データベース 1つ(最初の3カ月間のみ)
AppFabric
 アクセス・コントロール・トランザクション 100,000(=10万)まで
 サービス・バス接続 2接続まで
データ転送
  受信 500MBytesまで
  送信 500MBytesまで
初回限定の特別割引サービスの無償枠(月次)(2010年1月12日現在)
この割引サービスは2010年2月以降で適用される。

MSDN Premiumサブスクライバー向けの割引サービス(MSDN Premium Offer)

 MSDNサブスクリプションの契約者(=MSDNサブスクライバー)には、Windows Azure Platform特別割引サービスが提供される。(米国時間で)2010年1月4日〜2010年7月31日の期間と、その期間後で割引サービスの内容が異なる。

  • 期間限定のMSDN Premiumサブスクライバー向け割引サービス(Introductory MSDN Premium Offer)
  • 期間後のMSDNサブスクライバー向け割引サービス(Ongoing MSDN Subscription Benefits)

期間限定のMSDN Premiumサブスクライバー向け割引サービス(Introductory MSDN Premium Offer)

 期間限定のMSDN Premiumサブスクライバー向け割引サービスは、(Visual Studio 2008に対応する)現行のMSDN Premiumサブスクリプションの契約者(MSDN Professionalサブスクライバーは不可)が受けられる特別割引サービスである。申し込み期間は(米国時間で)2010年1月4日〜2010年7月31日までで、8カ月間、割引サービスを受けられる。なお、1つのMSDN Premiumサブスクリプションに付き、1つの割引サービスしか申し込めない。

 例えばWindows AzureのSmallインスタンスの利用は、月々750時間までは課金されない。無償で受けられるサービスの内容は、「サブスクリプション課金モデルのコア(Core)基本ユニット+SQL Azure Web Edition」というスペックになっている。

 もし使用量の制限を超過した場合、その超過分は従量課金のパートナー企業向けレートで支払う必要がある。未使用分が残っていても、次月分に繰り越すことはできない。

 期間限定のMSDN Premiumサブスクライバー向け割引サービスの無償枠(月次)は、以下のようになっている(マイクロソフトの公式説明ページへ)。

課金対象 無償枠の使用量制限
Windows Azure
 Smallコンピュート・インスタンス 750時間まで
 ストレージ 10GBytesまで
 ストレージ・トランザクション 1,000,000(=100万)まで
SQL Azure
 Web Edition
  10GBytesまでのリレーショナル・データベース 3つ
AppFabric
 アクセス・コントロール・トランザクション 1,000,000(=100万)まで
 サービス・バス接続 5接続のパックを1つまで
データ転送
 北アメリカ地域
  受信 7GBytesまで
  送信 14GBytesまで
 ヨーロッパ地域
  受信 7GBytesまで
  送信 14GBytesまで
 アジア太平洋地域
  受信 2.5GBytesまで
  送信 5GBytesまで
期間限定のMSDN Premiumサブスクライバー向け割引サービスの無償枠(月次)(2010年1月12日現在)

期間後のMSDNサブスクライバー向け割引サービス(Ongoing MSDN Subscription Benefits)

 期間後のMSDNサブスクライバー向け割引サービスは、8カ月間の「期間限定のMSDN Premiumサブスクライバー向け割引サービス」の後に引き続き受けられる特別割引サービスである。MSDNサブスクリプションの契約期間中は継続して受けられる。

 (Visual Studio 2010に対応する)次期MSDNサブスクリプションでは、現行のMSDN Premiumサブスクリプションの上位に、MSDN Ultimateサブスクリプションが新設される(ちなみに、現行のMSDN Premiumサブスクライバーが、2010年3月22日に次期MSDN Ultimateサブスクライバーに無償で移行できる「Ultimate Offer」という期間限定サービスが実施される)。つまり主要なMSDNサブスクリプションは、Ultimate、Premium、Professionalの3種類となり、期間後のMSDNサブスクライバー向け割引サービスでは、これらすべてのMSDNサブスクリプションで割引サービスを受けられるようになる。

 ただし、その割引サービスの内容は、Ultimate/Premium/Professionalで異なる。具体的には、例えばWindows AzureのSmallインスタンスの無償利用枠は、それぞれ順に月々250時間まで/100時間まで/50時間までという違いがある。

 期間後のMSDNサブスクライバー向け割引サービスの無償枠(月次)は、以下のようになっている(マイクロソフトの公式説明ページへ)。MSDN Ultimateサブスクライバー向け、MSDN Premiumサブスクライバー向け、MSDN Professionalサブスクライバー向けの順に説明する。

課金対象 無償枠の使用量制限
Windows Azure
 Smallコンピュート・インスタンス 250時間まで
 ストレージ 7.5GBytesまで
 ストレージ・トランザクション 750,000(=75万)まで
SQL Azure
 Web Edition
  10GBytesまでのリレーショナル・データベース 3つ
AppFabric
 アクセス・コントロール・トランザクション 1,000,000(=100万)まで
 サービス・バス接続 (不明)
データ転送
 北アメリカ地域
  受信 5GBytesまで
  送信 10GBytesまで
 ヨーロッパ地域
  受信 5GBytesまで
  送信 10GBytesまで
 アジア太平洋地域
  受信 2GBytesまで
  送信 4GBytesまで
期間後のMSDN Ultimateサブスクライバー向け割引サービスの無償枠(月次)(2010年1月12日現在)

課金対象 無償枠の使用量制限
Windows Azure
 Smallコンピュート・インスタンス 100時間まで
 ストレージ 5GBytesまで
 ストレージ・トランザクション 500,000(=50万)まで
SQL Azure
 Web Edition
  10GBytesまでのリレーショナル・データベース 2つ
AppFabric
 アクセス・コントロール・トランザクション 500,000(=50万)まで
 サービス・バス接続 (不明)
データ転送
 北アメリカ地域
  受信 3GBytesまで
  送信 6GBytesまで
 ヨーロッパ地域
  受信 3GBytesまで
  送信 6GBytesまで
 アジア太平洋地域
  受信 1GBytesまで
  送信 2GBytesまで
期間後のMSDN Premiumサブスクライバー向け割引サービスの無償枠(月次)(2010年1月12日現在)

課金対象 無償枠の使用量制限
Windows Azure
 Smallコンピュート・インスタンス 50時間まで
 ストレージ 3GBytesまで
 ストレージ・トランザクション 300,000(=30万)まで
SQL Azure
 Web Edition
  10GBytesまでのリレーショナル・データベース 1つ
AppFabric
 アクセス・コントロール・トランザクション 300,000(=30万)まで
 サービス・バス接続 (不明)
データ転送
 北アメリカ地域
  受信 2GBytesまで
  送信 4GBytesまで
 ヨーロッパ地域
  受信 2GBytesまで
  送信 4GBytesまで
 アジア太平洋地域
  受信 0.5GBytesまで
  送信 1GBytesまで
期間後のMSDN Professionalサブスクライバー向け割引サービスの無償枠(月次)(2010年1月12日現在)

BizSpark Oneプログラム向けの割引サービス(BizSpark One Offer)

 マイクロソフトは、スタートアップ企業(=創業したてのITベンチャー企業)を支援する目的で、マイクロソフトの各種開発ツール(=Visual Studio Team System Team Suite with MSDN Premium)を3年間無償で提供する「BizSpark」プログラムを実施している。PDC09では、このプログラムを拡張する「BizSpark One」プログラムが発表された。

 BizSpark Oneは、選ばれた企業のみが参加できる招待制のプログラムである。スタートアップ企業の中から、大きく成長する可能性を秘めている企業が厳選され招待される。BizSpark Oneに参加すると、助言者(メンター)/投資家/同業者の世界的コミュニティおよびマイクロソフトと1対1(One-on-One)の関係を結べ、ビジネス機会や戦略面でのアドバイスが得られるメリットがある。

 BizSpark Oneプログラム向けの割引サービスとして、Windows Azure Platformのフル機能を無償で利用可能である(それ以上の詳細は不明)。

 ただし現時点で、BizSpark Oneプログラムは実施されているのはブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、ロシア、英国、米国の10カ国のみで、残念ながら日本は含まれていない。ほかの国々への拡大の機会を探っている段階ということなので、今後に期待したい。

 なお、BizSpark Oneに日本が含まれていないからといって落胆する必要はない。通常のBizSparkであっても、前述のMSDN Premiumサブスクライバー向けの割引サービス(MSDN Premium Offer)を受けられる。期間後のMSDNサブスクライバー向け割引サービスとしては、MSDN「Ultimate」サブスクライバー向け割引サービスが受けられる予定だ。


 INDEX
  Windows Azure Platform実用に向けて 
  安い? 高い? Windows Azure Platformの料金体系
    1.Windows Azure Platformの購買モデル(Purchasing Models)
    2.Windows Azure Platformの料金体系(Prices)
  3.Windows Azure Platformの割引サービス(Offers)
    4.Windows Azure PlatformのSLA(サービス・レベル契約)とサポート

更新履歴
【2010/01/12】 最新の状況に合わせて、無償枠の使用量制限の記述を修正しました。

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