.NET TIPS [ASP.NET]GridViewコントロールで選択ボックスを表示するには?[2.0、3.0、3.5、C#、VB]山田 祥寛2008/12/11 |
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「TIPS:[ASP.NET]GridViewコントロールで各列の表示をカスタマイズするには?」などで紹介したように、GridViewコントロールはデータソースの内容を加工/整形するためのXxxxxFieldフィールド(System.Web.UI.WebControls.DataControlFieldクラスの派生クラス)を標準で提供している。これらXxxxxFieldフィールドを利用することで、データソースから取得したデータをハイパーリンク、画像、チェックボックスなどの形式に自在に、しかもプログラムレスでバインドできる。
もっとも、標準のXxxxxFieldフィールドでは提供されていないコントロールを使って、データを表示したいという状況もままあるだろう。
例えば、前述のTIPSでも登場したサンプルでは、以下のように出版社名をテキストボックスから入力させていたが、このように入力値があらかじめいくつかに想定できるような場合は、選択ボックス(ドロップダウンリスト)から入力させた方がユーザーも入力しやすく、また間違いも少ないというものだ。
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別TIPSのサンプルを編集モードで表示させたところ |
そこで本稿では、「TIPS:[ASP.NET]GridViewコントロールで各列の表示をカスタマイズするには?」で作成したサンプルを改良し、編集モードの入力要素としてDropDownListコントロールを適用する方法を紹介する。これにより上記の入力画面は次のようになる。
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本稿で作成するサンプルの実行結果 |
[出版社]欄の入力要素をDropDownListコントロールで差し替えている。 |
それではさっそく、具体的な手順を見ていくことにしよう。
1. 既存列をTemplateFieldフィールドに変換する
標準的なBoundField/CheckBoxField/CommandField/ButtonField/HyperLinkField/ImageFieldフィールドでは賄えない要素を列に配置したい場合には、TemplateFieldフィールドを利用する必要がある。TemplateFieldフィールドに関する詳細は、「TIPS:[ASP.NET]GridViewコントロールで編集用のテキストボックスをカスタマイズするには?」で解説しているので、併せてご参照いただきたい。
ここでは、[出版社]列はあらかじめBoundFieldフィールドとして定義されているはずなので、これをTemplateFieldフィールドに置き換えておこう。フィールドの編集を行うには、GridViewコントロールのタスク・メニューから[列の編集]を選択する。
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[フィールド]ダイアログ |
GridViewコントロール配下の列情報は、ここから編集することができる。 |
上の画面のような[フィールド]ダイアログが開くので、ダイアログ左下の[選択されたフィールド]から[出版社]列を選択したうえで、ダイアログ右下の[このフィールドをTemplateFieldに変換します。]をクリックすればよい。
2. TemplateFieldで定義されたテンプレートを編集する
次に、TemplateFieldフィールドのEditItemTemplateテンプレート(編集時に使用するテンプレート)を定義する。TemplateFieldフィールドには、そのほかにもItemTemplateやHeaderTemplateのようなテンプレートが用意されているが、これらテンプレートのレイアウト/設定はBoundFieldフィールドから引き継がれているものをそのまま使用できるので、ここでは設定の必要はない。
テンプレートを編集するには、GridViewコントロールのタスク・メニューから[テンプレートの編集]を選択する。
GridViewコントロールの表示が通常の表示からテンプレート表示モードに切り替わるので、さらに[GridViewタスク(テンプレート編集モード)]の[表示]欄から[Column[4] - 出版社]のEditItemTemplateを選択する。
[出版社]欄の編集用テンプレートが表示されるので、ここでは、以下の画面のように元のTextBoxコントロールを削除したうえで、新たにDropDownListコントロールを配置しておこう。
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[出版社−EditItemTemplate]テンプレートのレイアウト | |||
以下のコントロールを配置。 | |||
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3. DropDownListコントロールにデータバインドする
DropDownListコントロール「list」に対しては、出版社の候補値をデータバインドしておこう。これには、DropDownListコントロール右肩のタスク・メニューから[データソースの選択]を選択する。
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データソース構成ウィザード |
上の画面のような[データソース構成ウィザード]ダイアログが起動するので、[データソースの選択]欄から[<新しいデータソース>]を選択したうえで、以下の表の要領でデータソースの取得に必要な情報を設定する。データソース構成ウィザードの詳細については、「TIPS:[ASP.NET]GridViewコントロールでデータソースの内容を表示するには?」が詳しいので、こちらも併せて参照していただきたい。
項目 | 概要 |
データの種類 | データベース |
データソースID | sds_list |
データ接続の選択 | MyDB |
Selectステートメントの構成(テーブル) | book |
Selectステートメントの構成(列) | publishをチェック |
Selectステートメントの構成(一意の行のみを返す) | チェック |
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データソース構成ウィザードの設定 |
[Selectステートメントの構成]画面では、最終的に次のようなSQL命令文が生成されるはずだ(DISTICT句は重複行をまとめるためのもの)*。
SELECT DISTINCT [publish] FROM [book]
* このようなケースでは、本来、きちんと正規化を行い、出版社情報を管理するpublishのようなテーブルを用意するべきだ。ここでは簡略化のために、このようにbookテーブルから直接に出版社情報を取得している。 |
一連の作業の後、[完了]ボタンをクリックすると、最初の画面に戻るので、[DropDownListで表示するデータフィールドの選択]と[DropDownListの値のデータフィールドの選択]欄には、それぞれ「publish」を指定する。これで、DropDownListコントロールには出版社名の一覧がバインドされた。
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データソース構成ウィザード(2) |
4. 選択ボックスのデフォルト値を設定する
もっとも、これだけではデータベースから取得したbookテーブルの現在値が反映されない。ここでさらに、DropDownListコントロールのデフォルト値として、bookテーブルから取得した出版社情報をバインドしておく必要がある。
「3. DropDownListコントロールにデータバインドする」のデータソース構成ウィザードを終了した後、[DropDownListタスク]メニューから[DataBindingsの編集]を選択する。
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[<コントロールID> DataBindings]ダイアログ |
上の画面のような[<コントロールID> DataBindings]ダイアログが開くので、ここでは、ダイアログ左部の[バインド可能プロパティ]欄からSelectedValueプロパティを選択したうえで、[カスタムバインド]−[コード式]にバインド式として次の式を入力する。
Bind("publish")
これによって、DropDownListコントロールのデフォルト値(SelectedValueプロパティ)として、bookテーブルから取得したpublishフィールドの値がバインドされたことになる。
これで一連の手順は完了だ。ここで参考までに、ここまでにVisual Studioで自動生成されたコードを引用しておく。
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サンプルコードのソース・コード(抜粋) | |
一連のレイアウト編集を行った後、Visual Studio 2005によって自動生成されたコードを引用したもの。なお、<%--〜--%>は筆者によるコメント。 |
以上を理解したら、さっそく作成したサンプル・プログラムを実行してみよう。冒頭の画面のように、編集モードに切り替えると、出版社欄が選択ボックスとして表示されることが確認できるはずだ。出版社を実際に変更して、その内容が正しくデータベースに反映されていることも確認してほしい。
利用可能バージョン:.NET Framework 2.0 利用可能バージョン:.NET Framework 3.0 利用可能バージョン:.NET Framework 3.5 カテゴリ:Webフォーム 処理対象:GridViewコントロール 使用ライブラリ:GridViewコントロール 関連TIPS:TIPS:[ASP.NET]GridViewコントロールで各列の表示書式をカスタマイズするには? 関連TIPS:[ASP.NET]GridViewコントロールで編集用のテキストボックスをカスタマイズするには? 関連TIPS:[ASP.NET]GridViewコントロールでデータソースの内容を表示するには? |
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「.NET TIPS」 |
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