特集

.NET開発者のための
オンライン・リソース・ガイド

デジタルアドバンテージ
2004/04/17

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.NET開発者のための世界のインターネット・リソース

 マイクロソフトのサイト以外にも、インターネット上にはさまざまな.NET関連のリソース(情報)が存在する。例えばこれらの中には、デベロッパーが投稿したサンプル・コードを公開しているサイトがある(主に「海外」)。そのようなサイトにアクセスすれば、世界中の熟練したデバロッパーによって書かれた「実践的なサンプル・コード」が無償で手に入るので、実際の開発に役立つことが多い。もちろん海外のサイトならば英語で読まなければならないが、そのような努力を払ってでもインターネット・リソースは利用するだけの価値があると思う。

 ここでは、.NET関連のインターネット・リソースとなるサイトを2つに分類する。1つが「デベロッパーが投稿したサンプル・コードが充実しているサイト」(筆者の認識では、このタイプのサイトは海外にしか存在しない)、もう1つが「技術解説などの読み物としての記事が充実しているサイト」(@ITのようなサイト)である。

サンプル・コードが充実しているサイト

 まず「デベロッパーが投稿したサンプル・コードが充実しているサイト」は、デベロッパーにとって非常に便利な存在だ。なぜなら、例えば機能の実装方法が分からないときには、そのようなサイトにアクセスすれば、サンプル・コードがすぐに手に入り、実際に動作する完成したコードから機能の実装方法を学ぶことができるからだ。ここでは、そのような「サンプル・コードが充実しているサイト」をいくつか紹介しよう。

The Code Project

 The Code Project(コード・プロジェクト)は、6000を超える記事(article)、サンプル・コード(code:全体的なコード)、スニペット(snippet:断片的なコード)などが公開されているWebサイトだ。対応している開発言語は、C#、VB.NET、MFC/VC++、HTML/CSS/JavaScriptなどさまざまだが、特にC#、MFC/VC++のものが多い。またジャンルとしては、ASP.NETのコードやWindowsアプリケーション用のコントロールが充実している。The Code Projectは、オンライン・リソースの中で最もお勧めできるサイトの1つだ。

  

C# Corner

 C# Corner(シー・シャープ・コーナー)は、その名のとおりC#言語の記事とサンプル・コードが充実したサイトで、The Code Projectと比べるとやや読み物的である。C# Cornerでは、特に次期Windows“Longhorn”やSQL Server 2005(コード名:“Yukon”)といった次世代環境に関する記事が多数あることや、COBOL.NETやPocket PCなど幅広いテーマを扱っていることが特徴的だ。対応している開発言語は、C#だけでなく、VB.NET、VC++.NETなどもある。特に最新テクノロジを学ぶのにお勧めサイトである。

 

CodeGuru

 CodeGuru(コードグル)はThe Code Projectと同じようにサンプル・コードが充実しているサイトだ。CodeGuruは老舗サイトのため、特に従来の開発言語であるMFC/VC++に強い。各サンプル・コードの解説は比較的シンプルなものが多く、解説を読むよりもサンプル・コードを読む方が早く理解できてしまうような開発経験豊富なプログラマ向けといえる。対応している開発言語はMFC/VC++、C#、Visual Basicなどだ。CodeGuruは、これらの従来の開発言語を使用している場合にも役立つサイトだ。

 
devCity.NET

 devCity.NET(デブシティ・ドット・ネット)は、記事、サンプル・コード、TIPSなどが公開されているサイトで、開発言語やジャンルはVB.NET、C#、ASP.NET、ADO.NETなどを扱っている。記事数は少ないが、それぞれの記事では丁寧な解説を行っているのが特徴的だ。記事の内容は、The Code ProjectやCodeGuruなどと違い、個別のコントロールを対象にする記事は少なく、より一般的な普遍性のあるテーマを対象にする読み物的な記事が多い。また初心者向けの記事も多い。そのほかの特徴として、Insider.NET会議室のような掲示板(forums)があり、非常に盛り上がっている。


技術解説などの記事が充実しているサイト

 次に、前述したサイト分類の後者である「技術解説などの読み物としての記事が充実しているサイト」としては、日本では(本稿が掲載されている)Insider.NET(@IT内の1つのフォーラム)がある。しかしより幅広いのリソースを手に入れるためには、日本だけでなく海外のサイトも参照する必要があるだろう。ここでは、そのような「技術解説などの記事が充実しているサイト」をいくつか紹介しよう。

Visual Studio Magazine

 Visual Studio Magazineは、雑誌「Visual Studio Magazine」(FTPOnline社)の公式Webサイトである。.NET関連のレビュー、オピニオン、インタビュー、技術解説、書籍紹介、レポート記事など、しっかりとした読み応えのある記事が公開されている。内容はアーキテクチャの話題からプログラミング(実装)の話題までさまざま。MSDN Magazineと同様に、雑誌(月刊)に掲載された記事はインターネット上で読める。オンライン・リソースの中でもお勧めのサイトだ。

 

DotNetJunkies

 DotNetJunkies(ドットネットジャンキー)は、主にASP.NET関連の技術記事を掲載しているサイトだ。そのほかにも、.NET関連のニュースやイベントの紹介、DotNetJunkiesが抱えるブロガー(Blogger)によるブログ(blog)などもある。記事は読みきりで、簡潔なものが多く、内容はプログラミング(実装)寄りのものが多い。開発言語としては基本的にVB.NETもしくはC#が使われている。

 
日本ユニシス ― .NETソリューション 執筆記事

 日本ユニシスでは、同社の.NETテクニカル・エバンジェリストが雑誌「dotNETマガジン」(翔泳社)、雑誌「.NETテクノロジー」(インプレス)などに執筆してきた.NET関連の記事を、PDFファイルで公開している。主な内容は、エンタープライズ向けのアーキテクチャ・設計などである。もちろん日本語で読める。

BlogとRSSを活用して最新情報にキャッチアップしよう

 ここまで取り挙げてきたWebサイトは、何らかの組織によって運営されたオフィシャルなメディアであるが、このようなオフィシャル・メディアでは、情報のクオリティー(質)を一定水準以上に保つため、記事の選別、査読/校正などを行っているものがほとんどだろう。そのような場合、当然、情報を公開するのが遅れたり、ささいな情報は公開されなかったりすることが多くなる。

 このようなオフィシャル・メディアの状況に対して、最近ではブログと呼ばれるパーソナル・メディアが普及してきている。その理由は、ブログを使えば、個人が簡単に情報公開できるからだ。ブログならば、従来のように「HTMLを作成してアップロード」という煩雑な作業をする必要はなく、記事の執筆だけに集中できるようになる。つまり、情報公開のための作業を最小限に押さえられるのだ。この手軽さが、個人レベルでの「情報提供・情報共有」を後押ししている。

マイクロソフト社員のブログ

 ブログは全世界的に普及し始めており、マイクロソフトの社員(元社員も含む)も同様にブログを使った「情報提供・情報共有」を始めている。つまり、マイクロソフト社員による最先端の技術情報などがブログに公開され始めているのである。よって、先ほど挙げたWebサイトよりも鮮度の高い情報がブログから得られるので、特に最新技術や次世代の技術に興味のあるデベロッパーは、マイクロソフトのブログを読むことをお勧めする。以下がそのマイクロソフトのブログ・リストだ。

Microsoft BloggersGotDotNetより)
Microsoft BloggersMicrosoft Watchより)

 このブログ・リストを見れば分かるように、2004年4月現在ですでにマイクロソフトのブログは200以上もある。これらすべてのブログに目を通すのはおそらく不可能だ。内容や更新頻度などから判断して、自分の興味がある分野のブログをウォッチするとよいだろう。次で述べているツールを活用するのも効率よく閲覧するための1つの手だ。

ブログを読むための必携ツール「RSSリーダー」

 ブログは書き込みが容易で「情報提供・情報共有」しやすいことは述べたが、ブログは読むのも簡単である。ブログは基本的に「RSS」と呼ばれるブログ記事の要約情報をXMLファイルで配信している。「RSSリーダー(もしくはRSSアグリゲータ)」と呼ばれるRSS収集ツールを使えば、さまざまなブログの情報(RSS)を収集して、Webサイトを開くことなく記事を一括して読むことができる。これによりブログは、「情報提供・情報共有」がさらに向上しているのである。

 RSSリーダーとしては次のツールがお勧めだ。

SharpReader

 このSharpReaderは無償のRSSリーダーで、.NET Frameworkを使って作成されている。筆者の認識では、現在最も使われているRSSリーダーの1つである。なお、SharpReaderの使い方やRSSについては、「@IT:サイトの更新情報を提供する標準言語RSS」を参照していただきたい。

 SharpReader以外のRSSリーダーについては、ITmedia:ニュース「進化するブログとその周辺」の「第1回:RSSリーダー総まくり――海外製ツール編」「第2回:RSSリーダー総まくり――国産ツール編」を参考にするとよいだろう。

RSSリーダーを活用しよう

 RSSリーダーが使えるのはブログだけではない。米国のMSDNや@ITでもRSSが配信されているので、MSDNや@ITなどの要約情報もRSSリーダーで収集すると、Webサイトを開く手間が減り、便利になるだろう。

 残念ながら、MSDN JapanではRSSは提供されていない。今後、提供されるようになることに期待したい。End of Article

 

 INDEX
  [特集].NET開発者のためのオンライン・リソース・ガイド
     1.マイクロソフトが運営する.NET関連サイト(1)
     2.マイクロソフトが運営する.NET関連サイト(2)
     3.マイクロソフトが運営する.NET関連サイト(3)
   4. .NET開発者のための世界のインターネット・リソース
 


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