[製品紹介]
Sun ONEの基盤を提供するAPサーバ
iPlanet Application Server 6.5
2. Sun ONEにおける中心的な役割を果たす アプリケーション・サーバ |
次に、Sun ONEにおけるiASの位置付けについて紹介しておこう。Sun ONEは、Sunが提唱している「Services On Demand」を、開発・運用するためのシステム体系だ。基本的には「Services on Demandを実現するための体系」であり、Webサービスは「Services on Demandの実現」のための実装手段の1つという位置付けになっているようだ。Sunのいう「Services on Demand」は、単純にWebサービスをいい換えたものではなく、ユーザーが必要とするときに適切なサービスを提供する、というコンセプトを表している。すなわち、サービスの基となる情報として、企業が蓄積してきた既存の情報資産を有効に利用し、場所、時間、利用機器を問わず、必要なときに有益なサービスを提供できるようにすることである。いってみればSun ONEは情報資産をユーザー・コミュニティに「とことん」合わせたサービスとして活用する「Services on Demand」を実現するため、オープンなソフトウェア標準に基づいた体系である。その中には、ビジョン、技術やプログラム、ソフトウェア、プラットフォーム、ツールおよびサポートなどが含まれている。
Sun ONEアーキテクチャとは |
図8は、Sunが提唱するビジネス・ニーズに応じて、「Services on Demand」を実現するシステムの構築を可能とするSun ONEのアーキテクチャである。
「Services on Demand」を実現するには、企業の情報資産をどのようにしていくかを考え、その際に重要な役割を果たす、データ(Data)、アプリケーション(Application)、レポート(Reports)、トランザクション(Transaction)のすなわちDARTを有効に活用し、顧客、パートナー企業、サプライヤ、社員といったコミュニティへ価値あるサービスとして提供することが重要である。そのため、Sun ONEは、対象としている各コミュニティにとって価値のある有益なコンテンツを集約し、パーソナライズして配信するポータルやユーザーがアクセスする情報をコントロールするためのディレクトリ、アプリケーションを実行し、データベース接続などをサポートするアプリケーション・サーバ、また、サービスを効率良く開発するためのソフトウェア・コンポーネントなどから構成されている。それらのソフトウェア・コンポーネントを用いて、DARTを開発、配備、実行する。
図8 Sun ONEアーキテクチャ |
Sun ONEでは、ディレクトリサーバ、アプリケーション・サーバなどのコンポーネントをソフトウェアスタックにまとめ、開発者が利用できるようにする「Integratable Software Stack」(統合可能なソフトウェア階層)という考え方を採用している。ソフトウェアスタックのコンポーネントは、開発者が安心して活用できる一定の規約やサービスを提供するために、オープンな標準に基づいて統合できることが条件となっている。そのため、特定のベンダの製品や環境に束縛されることがない。オープン標準を利用することにより、開発者や管理者は明確に定義されたプロトコルとのやりとりだけを考えればよいので、複雑さが緩和されるのだ。
また、Sun ONEアーキテクチャで重要な中心的な役割を果たすのがアプリケーション・サーバといえる。アプリケーション・サーバはビジネスロジックを実行させる環境であり、新しいサービスを展開する際に直面するトラフィックの急激な増大に対応するためにスケーラブルで24時間365日運用の条件を満たすコンポーネントでなければならない。
Sun
ONEのソフトウェアスタックを 構成するソリューション |
実際に、Sun ONEのソフトウェアスタックを、標準のインターフェイスで連結可能なiPlanet製品群および開発環境Forte for
Java などのForte製品で構成することが可能だ(図9)。ここで、Sun ONEを構成する主要ソフトウェア・コンポーネントの役割とその特徴について簡単に紹介しておこう。
図9 Sun ONEのソフトウェアスタックを構成するiPlanet製品群 |
■iPlanet Application Server(iAS)
iASは、Webサービスの実行プラットフォーム(サービス・コンテナ)の役割を果たす。J2EE準拠のプラットフォームを提供し、 EJBのサポート、および分散型トランザクション管理用の統合トランザクションモニタを含んでいる。また、標準機能のJMSにより、レガシーシステムとメッセージベースの連携をすることができる。もちろん、そのほかのXML、WAP、SNMP、LDAP、CORBA などのオープンな業界標準規格をサポートしている。
また、トラフィックが日々拡大し、新しいサービスが必要で、かつ24時間365日の稼働が必要なサービスの要求を満たす、大規模なスケーラビリティに対応した機能を備えている。
■iPlanet Portal Server(iPS)
iPSは、サービス・デリバリの役割を果たす。すなわち、iPSはポータルを実現するための一連のサービスを統合的に提供している。これらにより、ユーザーのロール(役割)や企業内での権限に対して適切なコンテンツ、アプリケーション、サービスの提供やメンバーシップの管理やデバイスに応じたコンテンツのプレゼンテーションを行うことができる。
■iPlanet Directory Server(iDS)
iDSは、ユーザーのロールや企業内での権限、取引上での関係といったすべてのユーザーデータすなわちユーザー・プリファレンスの統合管理を行う。iDSはLDAP標準準拠のディレクトリサーバでマルチマスタレプリケーション機能により、24時間365日の連続稼働を実現するとともに、マルチデータベースアーキテクチャにより、スケーラビリティを高めている。
■iPlanet Message Queue(iMQ)
iMQは、非同期システムとWebサービスの連携を行う。基幹システムとの連携を行うためのメッセージングサービス(JMS)にロードバランスやフォールトトレランス、エラー通知機能が付加されている。
以上、紹介したiPlanet製品を組み合わせた「Services on Demand」の構成例を図10に示す。
今回、この詳細については割愛させていただくが、iASを核にしてほかのiPlanet製品を組み合わせることにより、「Services on Demand」システムに必要な以下の機能を実現することが可能となる。
- Webサービスの実行の仕組み
- サービスをユーザーに提示する仕組み
- ユーザーに合わせたコンテンツを作成するための仕組み
図10 iPlanet製品を組み合わせた「Services on Demand」の構成例 |
[関連リンク集]
iPlanet Developer Connection(サン・マイクロシステムズ株式会社)
iPlanet Application Serverの使用方法やサンプルプログラムを日本語で掲載
iPlanet
Japan(サン・マイクロシステムズ株式会社)
iPlanet製品情報一般
iPlanet
Developer site
インストールや管理手順、サンプルプログラム、FAQなど管理者/開発者向けの情報を提供
iPlanet
Documentation site
iPlanet製品すべてのドキュメントを掲載(日本語ドキュメント含む)
iPlanet.com
評価版のダウンロードや製品情報など
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