ゼロ円でできるブロードバンド・ルータ 2
1FD Linuxで作る高機能ルータ [インストール編]
「ゼロ円でできるブロードバンド・ルータ」から1年。この間にブロードバンド市場は激変し、以前紹介したfloppyfwよりも魅力的なソリューションが登場してきた。そこで、今回はPPPoEやWebによる設定変更をサポートした「Mosquito」でブロードバンド・ルータを構築してみよう。
北浦 訓行
2002/1/19
1年で激変したブロードバンド市場
2000年12月に書いた「ゼロ円でできるブロードバンド・ルータ」の記事を読み直してみると、隔世の感があります。記事によると、「CATVインターネットの利用者数は46万3000人、ADSLに至っては2537人」だそうです。この2537人は、typoではありません! 当時は、NTTがADSLを開始したころだったために、サービスを受けられる人は非常に限られていたのです。
その後、Yahoo! BBの登場などにより低価格化や高速化が進み、FTTHへの「つなぎ」だといわれていたADSLが、常時接続のメジャーサービスへと変貌したのです。いまでは、CATVが115万(2001年9月末)、ADSLに至っては120万(2001年11月末)のユーザーがブロードバンドを利用しています。また、低価格のブロードバンド・ルータが数多くのメーカーから発売されるようになり、中には1万円を切るものもあります。いずれの製品もエンドユーザーが使うことを考慮し、Webブラウザによる設定機能などをサポートしています。
そうなると、古いPCを使った1FD Linuxによるブロードバンド・ルータ構築は、かなり分が悪いといわざるを得ません。何しろ、PCをそのまま使うのですから場所も取りますし、FDDしか使わないとはいえ消費電力も無視できません。また、電源ファンなどによる騒音は、一般家庭ではかなり大きな音に聞こえます。にもかかわらず1FD Linuxを使用するのは、使い道のなくなった古いPCを再利用できるからにほかなりません。押し入れで眠っているPCを使うので、コストは限りなくゼロに近いのです。新たに購入する必要があるのは、2枚目のNICくらいでしょう。
1FD Linux「Mosquito」とは
Mosquito(モスキート:http://www.s-me.co.jp/mosquito/)は、Linux Router Project(http://master-www.linuxrouter.org:8080/)のLRP 2.9.8をベースに開発されたブロードバンド・ルータ構築用の1FD Linuxディストリビューションです。開発元はセサミという日本の会社ですから、マニュアルをはじめとした日本語の情報が豊富にあります。
Mosquitoの主な特徴は以下のとおりです。
- WebadminというWebベースの管理ツールによって各種設定が行える
- 全システムが1枚のフロッピーディスクに収まるので、ハードディスクが必要ない
- 486以上のCPUと16MbytesのRAMで動作する
- PPPoEをサポート
- NAT(IPマスカレード)をサポート
- DHCPクライアント(外部向け)とDHCPサーバ(内部向け)機能をサポート
- ポートフォワード機能をサポート
- klogd/syslogdによるログ保存機能をサポート
2002年1月10日時点でのMosquitoの最新版は、kernel 2.2.18を採用した3.2.2です。Mosquitoのシステムは、2HDのフロッピーディスクに収まります。フロッピーディスクにアクセスするのはブート時だけで、ブート後はRAMディスク上で運用されます。起動時間も、ハードディスクにインストールしたフルシステムのLinuxと同じくらいですし、shutdownせずに電源をオフにすることもできます。
■機材の準備
今回は、テスト用でいろいろと使い回しているAT互換機(Gateway2000 GP6-450)を使うことにしました。構成は以下のとおりです。1FD Linuxとしては超オーバースペック(?)ですが、ほかに融通の利くPCが用意できなかったので、どうしようもありません。
- Intel Pentium II 450MHz
- 256MBytes RAM
- ビデオカード(STB NVIDIA RIVA TNT)
- NIC(SMC EtherPower II 10/100、PCI FNW-9702-T3)
NICは、SMC EtherPower II 10/100がSMC9432TXを、プラネックスコミュニケーションズ(PCI) のFNW-9702-T3がVIA
VT6102を搭載しています。従って、ドライバは前者がepic100.o、後者がvia-rhine.oを使うことになります。2枚のNICは、異なる種類のコントローラにした方がeth0とeth1の見分けがつきやすいので便利です。
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