連載第7回
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ルーティングが命なのです |
別のネットワークにつながっているコンピュータ同士が通信をするには、それを中継するコンピュータが必要なことは先に書いたとおりです。
このとき、このデータを相手先に向けて中継することを「ルーティング」といいます。また中継するコンピュータは、普通のコンピュータでも良いのですが、通常は、ルーティングだけを行う専用の装置を使うことが多いようです。このルーティング専用の装置を「ルータ」といいます。この名前は、きっとどこかで聞いたことがあると思います。
データの中継をどういう形で行うのか図3で説明します。コンピュータ1がコンピュータ5にデータを送ると考えてください。コンピュータ1〜4の上の説明は、そのコンピュータにあらかじめ登録されている、データを中継するときのルールを表しています。
図3 典型的なネットワークの例 |
あて先となるコンピュータ5はネットワークDにあります。このことからコンピュータ1は「ネットワークAの外部にあてたものはコンピュータ2に送る」というルールを適用して、データをコンピュータ2(ルータ)に送ります。これから先はコンピュータ1は何もすることはありません。後は、中継してくれるコンピュータに任せます。
コンピュータ2(ルータ)は、受け取ったデータがネットワークDあてであることから、「ネットワークDあてはコンピュータ3に送る」というルールにのっとって、データをコンピュータ3に送ります。コンピュータ2は、一方がネットワークAに、もう一方がネットワークBにつながっているので、それが可能です。
同様にコンピュータ3(ルータ)は、受け取ったデータがネットワークDあてであることから、「ネットワークDあてはコンピュータ4に送る」というルールにのっとって、データをコンピュータ4に送ります。
最後のコンピュータ4(ルータ)は、受け取ったデータがネットワークDあてであることから、それが自分で直接配送できることが分かります。そこでコンピュータ4はコンピュータ5に直接配送します。
このように、中継を行うコンピュータ(ルータ)には、データのあて先ごとの配送先が登録されていて、そのルールに沿って配送することで、別のネットワークのマシンまでデータがたどり着くわけです。この、データのあて先ごとの配送先を記録した一覧表を、「ルーティングテーブル」と呼びます。
先の図ではルーティングテーブルに1つの情報しかありませんが、実際にはこの情報はとても複雑になります。例えば先の図でも、コンピュータ1がネットワークCのコンピュータと通信する可能性があるのならば、コンピュータ2に「ネットワークCあてはコンピュータ3に送る」という情報を加えなければなりません。
また、新しいネットワークEを追加したときには、コンピュータ2、3、4、すべてにネットワークEに関する情報を登録する必要があります。こんなことを世界中のネットワークについて延々と手動でやり続けることはまずムリでしょう。
そのため実際には、ルーティングテーブルを手動で書き換えるのではなく、自動的に管理する仕組みを利用するのが普通です。
コンピュータ1からコンピュータ5にデータを送るとき、コンピュータ1はもちろん、中継するコンピュータ2、3、4も、コンピュータ5がネットワークDにあることを知らなければなりません。その情報はどこから分かるのでしょうか? 秘密はコンピュータ5を指し示すIPアドレスに隠されています。次の項目から、コンピュータを指し示すIPアドレスについて説明します。
「アイピー」ってなんですか? |
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「Master of IP Network総合インデックス」 |
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