連載第7回
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IPアドレスで分かること |
IPアドレスは、図1のようなネットワークの中で、通信相手を指し示すためのアドレスです。具体的には192.168.1.2のように、0から255までの4つの数字を.(ドット)で区切って表します。この数値は、コンピュータごとに違っていなければなりません。また、このネットワークで通信するとき、相手は必ずIPアドレスで指定します。
例えば図1の場合も、それぞれのコンピュータはこのアドレスを持っています。通信を行うコンピュータ1、5はもちろん、中継を行うコンピュータ2、3、4も同様です。
コンピュータ1がコンピュータ5にデータを送るとき、データのあて先にはコンピュータ5のIPアドレスを指定します。
実際のデータを配送するのはEthernetですが、Ethernetが配送できるのは直接つながっているコンピュータまでです。一方、IPは、中継の仕組みを使いながら、Ethernetが配送できる範囲を超えて、別のネットワークのマシンにまで配送することができます。
IPアドレスはこのときに相手を指定する方法なので、その情報が直接Ethernetで用いられることはありません。IPアドレスは、Ethernetの範囲を超えて、複数のネットワークを接続している中で、相手を特定することができるアドレスです。
IPアドレスは4つの数値で表しますが、実は、その中に「ネットワーク部」と「ホスト部」という情報を含んでいます。図4はその一例です。このうちネットワーク部の情報から、図1でいうネットワークA〜Dを区別することができます。またホスト部からは、そのネットワークの中でコンピュータを区別することができます。
図4 IPアドレスのネットワーク部とホスト部 |
このような構造があるため、コンピュータ5をIPアドレスで指定するだけで、その中に含まれるネットワーク部から、コンピュータ5がネットワークDにいることが分かる、という仕組みになっています。なかなかうまくできていますね。
今回はIPが必要な理由、IPのキモであるルーティング、そしてその手掛かりになるIPアドレスについて、細かい話を抜きにして分かりやすく説明しました。次回は、IPについてもう少し詳しく突っ込んでゆく予定です。
ルーティングが命なのです |
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