TCP/IPアレルギー撲滅ドリル【総まとめ編2回目】パケット君がWebページ表示の
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アプリケーション部分で 起きる問題とは? |
ここでは、アプリケーションを「通信を利用するプログラム」と単純に考えることにします。これまでの説明に出た「Webページの表示」でいえば、Webブラウザ、Webサーバ、DNSリゾルバ、DNSサーバなどがアプリケーションです。
最も分かりやすいのは、その機能を提供するプログラムが動いていない場合です。これには、通信相手のコンピュータ全体が停止している場合と、コンピュータは動いているけれど、機能を提供するアプリケーションプログラム(サービス)が止まっているケースがあります。
これらの場合、接続する側に何の問題がなくても、求めている結果(DNSなら問い合わせ結果、Webならhtmlファイルなど)を得ることができません。
ポート番号は0〜65535の数値で表した通信の接続口のようなものです。1台のコンピュータがメールサーバとWebサーバを兼ねていても、それぞれの通信が混線せずに済むのは、ポート番号によってそれぞれの通信を区別しているからです。
正しく通信するためには、通信相手と同じポート番号を使う必要があります。例えばWebブラウザは、通常、ポート番号80番に対して通信をします。もし何らかの理由でWebサーバが80番以外のポート番号を使っていると、ポート番号が一致しないため、Webサーバにアクセスすることはできません。データを送るコンピュータは、相手がデータを待っているポート番号に対して通信をする必要があります。
Webブラウザで80番以外のポート番号に接続したいときは、次のように指定します。この例は8080番に接続しています。
http://www.atmarkit.co.jp:8080/fnetwork |
そのほか、メールソフトなどでは、設定画面の中に接続ポートを指定する項目が用意されていることが多いようです。
・URLの構成は「URLってどうやって書くのが正しいんですか?」を参照してください |
いうまでもありませんが、通信する相手のドメイン名やIPアドレスが間違っているときも、期待したとおりの通信はできません。間違って指定したドメインやIPアドレスを使っている相手がいなければ何の音さたもないでしょう。また、たまたま別のコンピュータが使っていれば、何らかの通信ができることもあります。しかし、この場合も相手は本来の通信相手ではありませんので、期待した結果にはなりません。
これも通信がうまくいかない場合の1つです。例えばWebサーバ内のhtmlファイルが壊れてしまって読み出せなくなったとき、ネットワークやアプリケーションすべてが正常に動いていても、そのWebページを表示することはできません。
DNSでも似たようなことが起こり得ます。DNSサーバには、ドメイン名とIPアドレスの対応は記した設定ファイルがあります。この内容を間違えてしまうと、正しいドメイン名を指定したにもかかわらず、別のWebサーバにつながるといった問題が起こります。
またこれは故障や問題ではありませんが、Webブラウザにはキャッシュという仕組みがあり、一度読み込んだWebページをディスクの中にためています。ためてからしばらくの間は、同じWebページの表示リクエストがあると、ネットワークから読み込まず、ためておいたものをそのまま表示するなどして、表示を高速にする仕組みです。この仕組みのせいで、最近更新したWebページが、古いままで表示される現象が起きることがあります。
・DNSの設定情報については「一言でいえばDNSって一体何なのですか?」を参照してください |
通信でうまくいかないところは? |
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