PC Insider 編集後記 2000年12月
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ミノックス C型とミノックス判フィルム
ミノックス C型は、 1969年から1978年にかけて製造されたカメラ。ミノックスの各シリーズは、スパイ・カメラとして有名で、実際にCIAなどでも使われていたという。大きさはDIMMとほぼ同じ、というと分かりやすいか。C型では、自動露出機能も付き、誰でも手軽にスパイ気分が味わえるようになっている。大型量販店ならば、フィルムの入手や現像も可能。

未来予想図

 1970年代、少年科学雑誌やマンガ雑誌には、21世紀の日本の姿がよく描かれていた。そこ描かれた21世紀は、超高層ビルと電気自動車、東京−大阪間を1時間で結ぶリニアモーターカー、超音速旅客機、同時通訳機、宇宙旅行など、胸躍らされたものばかりだった(21世紀になるというのに、未だに実現が難しそうなものばかりだ)。21世紀の到来が待ち遠しい、とまで思ったものだ。ところが、あと数日で21世紀、というのに、あの頃のトキメキはない。21世紀になるというのに、いつもの年末と同じか、むしろ寂しくさえ感じる。これは、少年時代に夢見た21世紀と大きくかけ離れているからかもしれない。

 1970年代に描かれた21世紀で比較的当たったのは、携帯電話くらいだろうか。コンピュータの普及も、予想以上に進んでいるが、同時通訳機などは実現していない。ただ、同時通訳については、Intelの「世界最小かつ最速の CMOS トランジスタを開発」のニュースリリースによれば、21世紀の比較的早い時期には実現できることになる。インターネットの普及は、1970年代には想像もできていなかった。

 問題なのは、1970年代に描かれたこれらの予想図を超える未来図が、30年を経た現在でも描けていない点だ。多くのものが、1970年代以前に想像されたものを追いかけて開発しているにすぎない。むしろ、環境破壊や資源枯渇、人口爆発など、暗い未来図ばかりが目立つ。

 新しい、明るい未来予想図が描けなければ、明るい未来はない。これは、コンピュータの世界でも同じだ。新しいアプリケーションが想像できなければ、コンピュータの進歩はないだろう。現在、キラー・アプリケーションが不在だといわれるのは、コンピュータの能力の問題ではなく、むしろ人間の想像力の欠如が招いたものなのかもしれない。21世紀には、生活を豊かに変えてくれるようなアプリケーションが登場することに期待したい。まずは、英語の苦手は私のために、同時通訳機を早く実現していただきたい。この夢は叶うのだろうか?

(PC Insiderガイド 小林章彦)

 
  編集後記
今月の追悼:3dfx 年末の大掃除の最中、書類の束から出てきたのが右のポジ・フィルム。3dfx Interactiveというグラフィックス・カード/アクセラレータ・ベンダを取材した際に得たものだ。以前、同社の製品はPCゲームの標準グラフィックスとして確固たる地位を築いていたが、ここ2年ほどは新製品も少なく、好調とは言い難い状況だった。2000年12月、同社は解散して資産をNVIDIAに売却することを決めた。技術力はあったはずなのに、いつの間にかNVIDIAATI Technologiesとの競争から遅れてしまった感がある。
 3dfxの解散は、変化の激しいPC業界で今後生き残れるベンダはごくわずか、ということを如実に表しているように思える。もっとも、生き残りが困難なのはPC業界だけではない。日本では、相変わらず大型倒産や統廃合のニュースが飽きるほど飛び交っており、厳しい状況が続いている。来世紀はいかなる形でもビジネス的に「生き残る」ことを目標としたい。 (島田)
年末の忙しい最中にノートPCが… 私は普段、会社ではノートPCをメインに使っているのですが、そのPCがSleepすると、たまにそのまま起きなくなるというノートPCとしては致命的(?)な状態に陥ってしまったので、止むを得ず先日修理に出しました。修理中は以前使っていた古いノートPCで代用する予定だったのですが、OSの再インストール中になぜかCD-ROMドライブを認識しなくなり、しかもハードディスクをフォーマットしてしまった後だったので、いかんともしがたい状態で、現在CD-ROMドライブが復活することを期待しつつ、いろいろと画策中です。しかし、年末の忙しい最中に2台ともお逝きになるとは、仕事をするなという神の啓示なのでしょうか…(苦笑) (2001年はトラブル少なき年になることを願いつつ… 平野)
今月の買い物:PC133 CL=3 256Mbytes DIMM PCに限らず人には最新のハードウェアをすすめるのだが、自分で購入する時は、なぜかコンサバな製品を選んでしまう。これまで最新の製品に飛びついたのは、GeForce 256が出た時ぐらいか(これは他の製品とあまりにも性能差がありすぎた)。今ほしいプロセッサも実はPentium IIIだったりする(1GHzもっと安くならないかな…)。
 2001年のPC自作マーケットはDDR SDRAM一色になる、というのは百も承知しているのだが、メモリはスピードより量だ(そりゃスピードも量も得られれば言うことありませんが)、ということで256MbytesのPC133(しかもCL=3)DIMMを買うことにした。私の資金力で、2001年中に256MbytesのPC2100 DIMMを買えるとはとても思えないし、最近ForteだのVMwareだのメモリをバカ食いするソフトウェアを使うようになって、メモリ不足が深刻になってきたからだ。
 T・ZONEからカード会員への誕生日プレゼントとしてもらった、2000円の商品券を早速使わせてもらって、税込みで1万円ちょっとで購入できた。Winbond128Mbits DRAMチップという、およそ今の秋葉原では流行らなさそうな石を積んだDIMMだが、とりあえず安定して動いてくれているので、まあ満足している。 (澤谷)
今月のオーバークロック:Duron-700MHz+MSI K7T Pro2+初代Pentium用ヒートシンク(改造)で強行オーバークロックをしている清水です。 風の噂では9×112=1008MHzが、限界らしいとのコトですが、がんばっても9×105=945MHzまでしか走りません。言うことを聞かない石です。今までマルチプライアをBIOS上で設定していましたが、プロセッサのパッケージ表面の「ブリッジ」で設定するとうまくいくことがあるらしいのでチャレンジする価値があると思っています(詳しくはTom's Hardware Guide)。実験を重ねつつ、面倒になって900MHzで安住している自分が嫌なので、動かす!と叫びつつも手をシリコン・グリスで真っ白けにしてため息をついている自分がいることに気付くと、なんだかイタタマレない気持ちになって、寝る!とわめきつつなぜかTVをつけると、マーフィー岡田がきゅうりの千切りを作っていたりするのでぼくはもう疲れました。ドライアイスでも使ってしまおうかと考え始めた年末の今日この頃です。良いお年を… (清水)
 
  PC Insider STAFF
 
編集人 小川 誉久 Art Director 谷原 正則
ガイド(編集長) 小林 章彦 制作 河本 茂美
ガイド(副編集長) 島田 広道    
構成エディタ 元麻布 春男    
編集 澤谷 琢磨    
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