PC Insider 編集後記 2001年2月
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BOLSEY MODEL C
1950年代の米国製カメラ。設計者は、スイスから米国に移住したジャック・ボルスキー博士。35mmフィルムを利用するカメラとしては、珍しい二眼レフを採用する(上下合致式のレンジ・ファインダーも装備する)。おにぎりのようでかわいいデザインだが、操作性はあまりよくない。また、小型のわりに重いのが難点。

データ・センターの認知度

 2月10日、わが家(マンション)の近所に建設中の某キャリアのデータ・センターが近隣の住民向けに建物内部を公開した。いわゆるオープン・ハウスというやつだ。某キャリアは、データ・センターという性格上、本当ならば内部の公開などしたくなかったはずだし、さらに言えばデータ・センターであることさえも明かしたくなかったはずだ。にもかかわらず、公開を行ったのには住民の理解を得たいという理由があったようだ。

 そもそも、データ・センターの建設が始まったのは、1年半ほど前のこと。その土地は元々セメント工場があった場所なのだが、その某キャリアが取得した。確か当初の話では社屋を建設するということであった。詳細な経緯は不明だが、マンションに届けられる管理組合の報告書などから推察すると、その後に近隣住民の自治会かマンションの管理組合が、某キャリアにどのような建物なのか問い合わせを行ったらしい。自治会の懸念は、その建物から「電波」が発生するか、どうかということだった。某キャリアは、子会社に携帯電話会社を持っていることから、携帯電話の大型の基地局となり、「強い」電波が出るのではないかという懸念だ。

 確かに着々と建設が進む建物は、窓がほとんどない「社屋」としてはおかしなものであったので、自治会が怪しんだのも理解できる。数回の交渉の結果、某キャリアの担当者は、「建物はデータ・センターであり、携帯電話などの電波が発せられるものではない」ということを明らかにした。もし自治会のメンバーに@ITの読者諸氏が含まれていたのならば、この話はここで終わっただろう。しかし、IT企業と無関係な多くの人に対して、データ・センターがどういったものか説明するのは難しい。結局のところ、自治会の理解は得られなかったようだ。管理組合からの報告書には、「電磁波の影響についての回答がなく、継続して交渉中である」とあった。

 実のところその某キャリアは、隣の敷地も購入しており、データ・センターの拡張(B棟の建設)を計画している。この計画を近隣住民に説明したところ、「電磁波の影響についての明確な回答がない」ということで反対が起きているのだ。某キャリアとしては、何とか近隣住民の理解を得て、穏便にB棟の建設を進めたいところ。結局、「データ・センター」が電磁波を外部に放出するような施設でないことを理解してもらうには、見てもらうのが一番となったようだ。

 過程はどうあれ、データ・センターの内部を見ることは、こうした仕事をしていてもほぼ不可能なことなので、意気揚揚と出かけることにした。残念ながら写真撮影は禁止。内部はいくつかサーバ・ラックが立っているものの、サーバ自体はほとんど入っていない状態だった。「意外とつまらない施設」というのが正直な感想である。帰り際、近所の主婦が「カフェテリアもないのね」と言っていたのが印象的だった。このオープン・ハウスでデータ・センターに対する近隣住民の理解が深まったかどうかは疑問が残るものの、有意義な見学会であった。

 確かにデータ・センターというもの自体、どういうことを行っている施設なのか説明するのが難しいものだ。通信の自由化やインターネットの普及によって、データ・センターが各地に建設されていると思うが、近隣住民の目には「怪しい建物」に見えるのかもしれない。ジャストシステムがサービスを始めた「インターネットディスク」が普及すると、もう少しデータ・センターが身近になって、データ・センターに対する理解が深まるかもしれない。データ・センターが認知される日は来るのだろうか?

(PC Insiderガイド 小林章彦)

 
  編集後記
今月買わなかったモノ:NTTドコモのブラウザ・フォン 1月末に登場したシャープのPaldio 641S(ブラウザ・フォン)は、NTTドコモPHSのユーザーにとって注目に値する新製品だった。同機のC-HTML対応ブラウザ搭載によるネット・アクセス機能は、ケータイでは普通でも、ドコモPHSとしては画期的なことである。手持ちのPaldio 622S写真)から乗り換えるための費用も安くなったこともあり、私は当初、久々に購入意欲をかき立てたこの新型PHSの入手に乗り気だった。
 しかし、物欲を抑えて冷静に考えると、641Sからネット上のコンテンツをブラウズする機会は、おそらくほとんどないことに思い至る。私の仕事では外出が少なく、しかもノートPCを携帯することが多い。おまけに通勤は自転車だ(最近は電車通勤でもケータイは利用しにくいようだが)。つまり、普段はPCを使ってしまうので、PHS(ケータイ)が活躍できる機会は非常に限られるのだ。
 ケータイが携帯性を強いられる以上、より大型のPCのほうが機能や性能、使い勝手などで優るのは当然のこと。両方とも使えるなら、たいていはPCの方が便利だろう。極論すれば、ネット機器としてのケータイのメリットは「どこでもすぐ使える」ことだけだ。にもかかわらず、iモードだiアプリだと機能をつぎ込んでも、果たしてビジネス・シーンでどれだけ役立つのだろうか? いや、きっと役立つだろうけど、PC以上にはなり得なず、その補完的な位置付けにとどまる、と考えるのはPC関連記事を執筆している私の身びいきだろうか? 昨今のケータイ市場の盛り上がりを見ていると、ネット・バブルならぬモバイル・バブルっていうのもあり得そうな気がする。 (島田)
今月衝動買いしたもの(其之壱) 最近どうも私の周囲のPCが挙動不信なので、何となく不安になって、突如バックアップ・メディアを物色し始めました。といっても現在のメイン・マシンがノートPCなので、PCカードUSBで接続できる機器で、かつ持ち歩ける方がベターという条件が付き、また、メディアの単価などを考えるとCD-R/RWドライブという結論が無難なように思えます。結局、PanasonicのKXL-RW20AN写真)を購入しました。PCカードでなくUSB接続にしたのは単にデスクトップでも使えるかなぁ程度で特に深い考えがあるわけでもなく、また6倍速書き込みの可能なKXL-RW21ANにしなかったのは、たまたま見た店頭価格で7000円ほどの差があり、予算的な面なども考慮して、KXL-RW20ANで十分かなぁと判断しただけで、こちらも深い理由はありません(元々半ば衝動買いなので、深い理由が存在するはずもないのですが……)。
 お陰でとりあえず、重要なデータはこまめにCD-RWに焼いているので、多少のトラブルに見舞われても、どうにかなるような態勢にはなりました。が、そもそもトラブル自体に遭わない方が嬉しいのですが……(まぁ、マーフィーの法則によってバックアップを取っていないとマシンはトラブるような気がするので、それに比べれば)。
 来月は今月衝動買いしたもの其之弐をお送りする予定です。 (平野)
今月の買い物(?):ADSL まず、先月の編集後記の訂正から。VMwarekernel 2.4testにインストールできなかったのは、私の環境の問題だったようです。kernel 2.4.1ではあっさりインストールできました。
 さて、先月開通延期となったADSLだが、2月21日にやっと開通した。こんなに遅れたのは私だけだと思っていたが、似たような経験をしている人は少なくないらしい。このようなトラブルも、来年の今頃には過去のことになっているのだろうが、しばらくは混乱が続くだろう。
 やっと手に入れたブロードバンドだが(ブロバンって言うんですか?)、いまや100Mbits/sのFTTHサービスや、ADSLでも3Mbits/s、6Mbits/sのサービスが始まろうとしている。こういう話を聞いてしまうとやはり寂しい。というか、1.5Mbits/sってブロードバンドに入るのか? バックボーンが遅いのか、期待したほど速くないぞ。
 さて、ADSLサービスの特徴としては、高速な回線速度ばかりではなく、常時接続の提供も挙げられる。よく言われていることだが、常時接続環境を手に入れてみると、これまでの自宅でのインターネット利用において、いかに接続時間に縛られていたかを思い知らされてしまう。この環境にまだ順応していないため、ついつい接続を切ろうとしてしまうのが悲しい。常時接続環境では、セキュリティ対策も欠かせない。次回の編集後記はこの話題から入りたい。 (澤谷)
今月の衝動買い:炊飯器 PCも組んだ。5.1チャンネル・サラウンド・システムも構築した。しかしながら、満たされないモノがひとつだけあった。炊飯器だ。今までは、デザインが気に入って無印良品の3合炊きの炊飯器(KS-R5A:シャープのOEM製品)を使っていたのだが、どうもうまく炊けないことにイライラを募らせてきたのだ。しばらく保温しておくと飯がベチャついたり、固まったりするのだ。しかも、蓋が取り外せないため掃除がしにくく、男一人暮らしの状況下に置いては不潔になってしまうのである。先日、ふと秋葉原のある大型電器店に立ち寄った時、三菱電機の5合炊き炊飯器(NJ-CM10:定価3万5000円、上の写真)が安くなっているのに気がついてしまったのである。この炊飯器はIH/厚釜などの最近メジャーな装備だけでなく5段階のご飯の硬さ/風味調節機能があるのだ。すかさず値切ってみると、1万5000円程度で購入できた。ご飯の自然な甘みが感じられ、飯時が楽しい今日この頃である。 (清水)
 
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編集人 小川 誉久 Art Director 谷原 正則
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編集 澤谷 琢磨    
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