PC Insider 編集後記 2001年7月
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肥大化の問題 量販店のソフトウェア・コーナーに行くと、6月8日出荷開始となったOffice XPが山のように積まれている。発売日当初は、多くの人がパッケージを手に取って見ていたが、最近ではそういった光景も見かけなくなってしまった。これは、多くのユーザーにとって、Office XPの新機能が魅力的に映らないからなのかもしれない。実はこうした現象は、いまに始まったわけでなく、Office 2000が登場したときにも、Office 97で十分という声が聞こえたものだ。 企業などでは、「やっとOffice 2000にすべてのPCを入れ替えたところなのに」という声も聞く。そのOffice 2000への変更も、ユーザーが能動的に行ったわけでなく、多くの場合は新規に購入したPCにインストールするために購入できるパッケージがOffice 2000しかない、という理由による(新規に購入したPCにプレインストールされていたのがOffice 2000、というケースもあるだろう)。つまり、Officeは仕事のうえで必要なものの、最新版である必要はほとんどなくなっているのだ。以前に比べてデータの互換性は高くなってきており、新しいOfficeで作成したデータも、古いOfficeで読むことができる点も新しいOfficeを必要としない理由として挙げられるだろう。 むしろ、バージョンアップするとメニューが変わったり、使わない機能が増えたりするため、かえって使いにくくなる、という話も聞く。実際、私もそのように感じている。それでなくても、一度も使ったことがない機能が山のようにあり、設定にも戸惑うほどなのに、新機能が付いても困るだけだ(もちろん、便利な新機能もあるのだろうが)。 機能を増やすよりも、むしろ減らしてほしいと思っている人も多いに違いない。もちろん、使うか使わないかは、ユーザーによって異なるので、単純に削ることは難しいだろう。以前、あるソフトウェア・ベンダの開発者から、「アンケートの結果、あまり使われていない機能を新しいバージョンで削除したら、ユーザーから便利に使っていたのに困る」という抗議を受けたという話を聞いたことがある。確かに、そういう面もあるだろう。ただ、こうした意見を恐れて互換性を維持した結果、肥大したアプリケーションとなり、多くの人に使いにくいモノになっているのではないだろうか。 単純に機能を削るのが難しいのならば、ライト版を用意するというのはどうだろうか。すでにアドビは、Photoshopの機能を限定したPhotoshop Elementsを発売している。Photoshop Elementsでは、主にデジタル・カメラやWeb用の画像編集という用途に限定することで、フィルタ機能の一部を削るなどして、機能のスリム化と低価格化を実現している。ぜひともOfficeにも、こうした機能のスリム化を行ったOffice Elements(?)を用意していただきたいものだ。 実はこうした肥大化は、何もアプリケーションに限ったことではない。互換性を重視するあまり、過去の資産を切り捨てられないのは、PCハードウェアも一緒だ。ISAスロットがPCからなくなったのはつい最近だし、USBが普及しても、相変わらずシリアルやパラレル・ポートが装備されている。 ふと自分自身を振り返ると、Webサイトもまさに過去の資産を溜め続け、肥大化するものであることに気付く。記事をサイト上から削ることは、「資料性」ということもありしたくないのだが、かといってこのまま記事が増え続けると、目次から記事を探すことも難しくなってしまう。いい方法がないか検討しているのだが、明確な解が見つからずにいる。Officeの機能の肥大化より切実な問題かもしれない。 (PC Insiderガイド 小林章彦) |
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