連載

PCメンテナンス&リペア・ガイド

第3回 メモリ増設前の基礎知識

林田純将
2001/06/01

 インターネットの利用が日常化したことによって、最近ではメール・クライアントやWebブラウザを利用しながら、オフィス・アプリケーションを起動するといったことが一般的になっている。こうして複数のアプリケーションを同時実行すると、必然的に消費メモリ量は増加する。そのため、搭載メモリが少ないと、メモリに入りきらないデータは、メモリの代用としてハードディスクに割り当てられた領域に割り当てられる(この領域はスワップ・ファイルと呼ばれる)。メモリに比べると、ハードディスクはデータの読み書きが非常に遅いため、何かの作業を行う度にハードディスクへのアクセスが発生するようだと、このディスク・アクセスがボトルネックになってしまい、いくら高速なプロセッサを搭載しても、システム全体としてはその性能を十分に引き出せなくなる。簡単に言えば、システム性能が大幅に低下してしまうわけだ。

 こうした状況を解決するには、メモリを増設すればよい。ただし必要となるメモリ容量は、使用するアプリケーションの種類や使用環境などで大きく異なってくる。そこで、まず自分のメモリ使用状況をチェックし、増設が必要となる容量を考えてみよう。

自分のPCのメモリ使用状況をチェックしよう

 メモリの使用状況は、使い方によって大きく異なってくる。そこで、普段どの程度のメモリを使っているのかチェックしよう。Windows 2000でメモリの使用状況を確認するには、ログオン後のデスクトップ画面にて[Ctrl]+[Shift]+[Esc]で(もしくは[Ctrl]+[Alt]+[Delete]を押して[タスク マネージャ]をクリックすると)起動する[Windowsタスク マネージャ」の[パフォーマンス]タブを選択する。この方法を使って、普段使用しているアプリケーションを全て起動した状態で、メモリの利用状況を確認してみよう(以下の画面)。もし、実装しているメイン・メモリの総容量より多くのメモリをアプリケーションやOSが使用しているなら、メモリの拡張を検討した方がいいだろう。

Windowsタスクマネージャによるメモリ使用状況の表示
メモリ使用状況は、タスクマネージャの[パフォーマンス」タブを選ぶと現れる。
  [メモリ使用量]:
メイン・メモリだけではなく、ハードディスク上のスワップ・ファイル、つまり仮想メモリ(下記の解説参照)も含めた現在のメモリ使用量を表す。これは[コミット チャージ]の[合計]と同じ値だ。
  [物理メモリ」−[合計]:
PCに搭載されているメイン・メモリの総容量を表す。これがより少なければ、仮想メモリが使用されていてディスクへのスワップが生じていることになる。メモリの拡張を検討した方がいいだろう。

 メモリの拡張が必要となったら、増設する容量と搭載するメモリの種類を考えよう。増設する容量は、基本的に64Mbytes、128Mbytes、256Mbytesのメモリ・モジュールの組み合わせによって行う。空いているメモリ・ソケット数やメモリの種類などによって、増設できる容量は異なってくるが、最近のメモリ価格の傾向などから128Mbytesのメモリ・モジュールを中心に増設するのが効率的だ。

仮想メモリとは?

 
ハードディスクなどの外部記憶装置の一部を、あたかも物理メモリの一部であるかのようにして提供される仮想的なメモリ領域。アプリケーションから見ると、単に大量の利用可能なメモリ領域が存在するように見える。これにより、コンピュータに実際に搭載されている物理メモリを大幅に超えたメモリを消費するアプリケーションを実行したり、大量のメモリを消費するアプリケーションを複数同時実行したりできるようになる。
さらに詳細はInsider's Computer Dictionaryへ

 次のページでは、PCで利用されているメモリの種類を紹介しよう。

  関連記事 
第1回 Windows上で調べられるPCのハードウェア構成
 
 
 

 INDEX

  [連載]PCメンテナンス&リペア・ガイド
第3回 メモリ増設前の基礎知識
    1. ひと口にメモリといってもたくさんの種類がある
    2. メモリにまつわるスペックの読み方
    3. 自分のPCに搭載されているメモリの見分け方
 
「連載:PCメンテナンス&リペア・ガイド」
 


System Insider フォーラム 新着記事
  • Intelと互換プロセッサとの戦いの歴史を振り返る (2017/6/28)
     Intelのx86が誕生して約40年たつという。x86プロセッサは、互換プロセッサとの戦いでもあった。その歴史を簡単に振り返ってみよう
  • 第204回 人工知能がFPGAに恋する理由 (2017/5/25)
     最近、人工知能(AI)のアクセラレータとしてFPGAを活用する動きがある。なぜCPUやGPUに加えて、FPGAが人工知能に活用されるのだろうか。その理由は?
  • IoT実用化への号砲は鳴った (2017/4/27)
     スタートの号砲が鳴ったようだ。多くのベンダーからIoTを使った実証実験の発表が相次いでいる。あと半年もすれば、実用化へのゴールも見えてくるのだろうか?
  • スパコンの新しい潮流は人工知能にあり? (2017/3/29)
     スパコン関連の発表が続いている。多くが「人工知能」をターゲットにしているようだ。人工知能向けのスパコンとはどのようなものなのか、最近の発表から見ていこう
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

System Insider 記事ランキング

本日 月間