連載 PCメンテナンス&リペア・ガイド第3回 メモリ増設前の基礎知識1. ひと口にメモリといってもたくさんの種類がある 林田純将 |
PCに増設できるメモリの種類は、マザーボード上のチップセット、およびメモリ・ソケットに依存する。つまり、メモリを増設する際には、自分のシステムに搭載可能なメモリを見分ける必要があるのだ。現在主流となっているメモリの種類は、SDRAM、DDR SDRAMとDirect RDRAMに分けられる。まずは、この3つについて説明したい。
(1)SDRAM
(Synchronous Dynamic Random Access Memory)
2001年の現在、PC搭載用のメモリとして、最も広く使われているのがSDRAMである。Pentium IIIやCeleron、Athlonなどのプロセッサを搭載したPCのほとんどが、メイン・メモリにSDRAMを採用している。SDRAMには、基本動作周波数に合わせて、66MHz、100MHz、133MHzに対応した3種類が存在し、それぞれPC66、PC100、PC133という規格名で呼ばれている。メモリを購入する際には、「PC133対応のSDRAMメモリをください」などということになる。基本的に、PC100のメモリはPC66として使えるし、PC133のメモリはPC66やPC100として使える。現在、PCパーツ・ショップや量販店などでPC66対応のメモリを見ることはほとんどなく、PC133とPC100対応メモリの市場価格差はわずかしかないため、より高い動作周波数に対応しているPC133対応のメモリを購入することを勧めたい。
PC100(上)とPC133(下)のSDRAMメモリ・モジュール(DIMM) (拡大写真:約77Kbytes) | ||||||||||||
現在PCのメイン・メモリとして最もよく利用されているのがPC133、ついでPC100メモリである。両者の違いは、対応する基本動作周波数程度で、外見上から区別をつけることは難しい(たまたまこの写真ではPC100よりPC133の方が小型だが、逆の場合もある)。 | ||||||||||||
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SDRAMメモリ・モジュール表面のシールの例 | |||
このメモリ・モジュールの場合、メーカー名や製品名、スペック()、製造国名など比較的詳細な情報が記されている。こうした表記はもっと簡素だったり、シール自体がなかったりすることもある。 | |||
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(2)DDR SDRAM
(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)
SDRAMの中には、DDR SDRAMと呼ばれるものがある。これはSDRAMをベースに性能を高めたメモリの一種で、2000年末からPCへの搭載が始まったばかりの新しいものだ。通常のSDRAMはクロックの1周期で1回のデータ転送しか行わないが、DDR SDRAMは、同じ1クロック周期で2回のデータ転送を行えるようになっており、SDRAMの2倍のレートでデータを入出力できる。2001年6月時点で、動作クロック周波数100MHzのPC1600(最大転送レート1600Mbytes/s)と、133MHzのPC2100(最大転送レート2133Mbytes/s)の2つの規格に対応した製品が市販されている。DDR SDRAMがSDRAMをベースにしているといっても、DDR SDRAMのメモリ・モジュールとSDRAMのメモリ・モジュールの形状は異なり、メモリ・ソケットの形も違うため、相互に互換性はない。
DDR SDRAMのメモリ・モジュール(DIMM) (拡大写真:約81Kbytes) | |||||||||
PC100やPC133といったSDRAMのメモリ・モジュールと外見上はよく似ているが、メモリ・ソケットに差す部分(信号端子部分)の形状が異なる。つまりDDR SDRAMとSDRAMのメモリ・モジュールは、相互に互換性がない。 | |||||||||
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DDR SDRAMメモリ・モジュール表面のシールの例 | ||||||
前出のSDRAMと比べて、より分かりやすく詳細な情報が記されている。もっとも、必ずしもDDR SDRAMのほうが詳しく表記されているとは限らない。 | ||||||
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DDR SDRAMの詳細については、「技術解説:次世代標準メモリの最有力候補『DDR SDRAM』の実像」を参照していただきたい。
(3)Direct RDRAM
(Direct Rambus Dynamic Random Access Memory)
1999年、SDRAMにとって代わる次世代メモリとしてPCの世界に初登場したメモリ規格。Rambusは、この規格を開発した企業の名前から取られている(ラムバス(Rambus)社のホームページ)。Direct RDRAMには、データ転送レートによってPC600(クロックは600MHz)、PC700(711MHz)、PC800(800MHz)の3種類があるが、最も高速なPC800が多く使われている。PC800といっても、SDRAMであるPC100メモリの8倍のデータ転送能力があるわけではない。PC100のSDRAMメモリ・モジュールのデータ転送速度が約800Mbytes/s、PC133の場合で約1Gbytes/sのところ、PC800のDirect RDRAMモジュール(RIMM)は約1.6Gbytes/sで、PC100のSDRAMに対して約2倍のデータ転送能力を持っている。
次世代メモリの本命として登場したDirect RDRAMだが、2001年5月現在、Direct RDRAMをサポートしているシステムは、ほとんどがPentium 4を搭載したハイエンド向けPCで、ボリューム・ゾーンのモデルには採用されていない。その理由の1つは、Direct RDRAMの価格が高いことだ。PC800のDirect RDRAMとPC133 SDRAMを比較すると、同容量のメモリの実売価格で3倍程度となっている(2001年5月末時点。これでも、以前に比べて大幅に安価になった)。PCのメイン・メモリとして、Direct RDRAMは普及しているとはいいがたい。
Pentium4を搭載したPCは、2001年5月の時点ですべてDirect RDRAMを採用しており、SDRAMやDDR SDRAMには対応していない(SDRAM対応のPentium 4搭載PCは2001年8月以降に登場する予定だ)。現時点でPentium 4搭載PCを利用したいならば、メモリ増設時にはDirect RDRAMを購入するしかない。
Direct RDRAMのメモリ・モジュール(RIMM) (拡大写真:約44Kbytes) | ||||||
現在流通しているRIMMは、このようにメモリ・チップやSPDチップを金属板で覆っている。それに加えて、信号端子部分の切り欠き位置もSDRAMやDDR SDRAMのメモリ・モジュールと異なるため、これらのモジュールとの区別はつけやすい。 | ||||||
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RIMM上のシールの例 | ||||||
RIMMでは、Rambusが記載すべきスペックとそのフォーマットを規定しているので、どのメーカーのRIMMでも、メーカー依存部分以外の基本的なスペックの読み方は同じだ。 | ||||||
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次のページでは、主要なメモリのスペックの読み方を紹介しよう。
関連記事 | |
次世代標準メモリの最有力候補『DDR SDRAM』の実像 | |
第1回 Windows上で調べられるPCのハードウェア構成 |
関連リンク | |
ラムバス
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ラムバス社のホームページ |
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[連載]PCメンテナンス&リペア・ガイド | ||
第3回 メモリ増設前の基礎知識 | ||
1. ひと口にメモリといってもたくさんの種類がある | ||
2. メモリにまつわるスペックの読み方 | ||
3. 自分のPCに搭載されているメモリの見分け方 | ||
「連載:PCメンテナンス&リペア・ガイド」 |
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