プロダクト・レビュー
手軽さが魅力の交換メディア「8MB USB メモリー・キー」 島田広道 |
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最近のノートPCでは、フロッピードライブをオプションとしているモデルが増えてきている。これは、ノートPCの薄型・軽量化の流れの中で、必要性が低くなってきたフロッピードライブが取り除かれた結果だろう。フロッピーディスクの重要な役割の1つだったデータ交換も、PCカード・スロットを持つノートPCならメモリ・カードを使うこともできる。また、以前はデバイス・ドライバの配布にもフロッピーディスクが多用されていたが、最近はCD-ROMかインターネット経由がほとんどだ。フロッピーディスクを使う場面は、ますます少なくなってきている。 たとえフロッピードライブが装備されていても、画像やグラフなどが張り込まれたプレゼンテーション資料などはサイズが大きくなりがちで、容量が1.44Mbytesのフロッピーディスク1枚には収まらなくなってしまう。ネットワークに接続された環境ならば、データ交換はネットワーク経由で容易に実現できるが、外出先などではそうはいかない。そうした環境でも手軽にデータ交換が可能なデバイスとして、USBを利用するフラッシュ・メモリ・デバイスが登場してきた。最近のPCならば、ノートPCに限らず、デスクトップPCにもUSBは装備されているので、両者のデータ交換も可能だ。そこで、ここではUSBを利用するフラッシュ・メモリ・デバイスである日本アイ・ビー・エムの「8MB USBメモリー・キー」を取り上げ、使い勝手を調べてみた。 データ交換メディアとして有力なUSBメモリー・キー日本アイ・ビー・エムの「8MB USBメモリー・キー」は、2001年1月31日、超低電圧版モバイルPentium III搭載のサブノートPCであるThinkPad i Series 1124と同時に発表されたばかりの製品だ。販売元の日本アイ・ビー・エムは、この製品を同社のノートPC「ThinkPad」シリーズのオプションに位置付けており、同社のオンライン・ショッピング・サイト「ShopIBM」で販売している。2001年2月9日時点の価格は4800円となっている。今回は、同社製品購入者向けのメンバーシップ・サービス「Club IBM」にて、オンライン販売価格4600円で購入したものを評価している。 名称のとおり、本製品の記憶容量は8Mbytesである。コンパクトフラッシュやスマートメディアといったフラッシュ・メモリ・カードなら、5000円も出せば32Mbytesモデルが買えることを考えると、本製品の価格には割高感がある。USBに直結できるというメリットを考慮しても、もう少し安価に提供するか、容量を増やしてほしいところだ。 ところで、この8MB USBメモリー・キーの側面には、「DiskonKey」という名称がプリントされている。どうやら本製品は、M-Systems社が2000年11月6日に発表した「DiskOnKey」の8Mbytes版がOEM元製品であるらしい。同社では、16Mbytes版と32Mbytes版もラインアップしているので、日本アイ・ビー・エムでもこれらの追加を望みたい。 USBポートに差すだけで使える手軽さが魅力本製品のパッケージには、ドライバCD-ROMが1枚と7カ国語のマニュアルが付属しているが、Windows 2000/Me搭載PCで本製品を利用するなら、これらの付属品はまったく必要ない。キャップを外してPCのUSBポートに装着すれば、OSに標準装備されているデバイス・ドライバが自動的に組み込まれ、リムーバブル・ディスクとして使えるようになるからだ。Windows 98/98 Second Editionの場合は、付属CD-ROMからデバイス・ドライバを組み込む必要があるが、そう難しい作業ではない。 いったんデバイス・ドライバが組み込まれれば、次からは本製品をUSBポートに差し込むだけで、リムーバブル・ディスクとしてエクスプローラなどからアクセスできるようになる。こうした手軽さが本製品の魅力である。外出先でもフロッピーディスクと同様の手軽さでデータ交換が可能になる。Windows 2000/Meで確認した限りでは、ドライブ名の手動変更や再フォーマット、不良ブロックのテストを含むスキャン・ディスクも問題なく実行できた。 初期状態での論理フォーマットは、アロケーション・ユニット・サイズ2KbytesのFATだったが、Windows 2000ではNTFSで再フォーマットすることも可能である(FAT32では、容量が小さすぎるというエラーになってしまったが)。とはいえ、交換メディアとして利用するなら、フォーマットはFATのまま利用する方がよい。 Windows 2000の環境下でちょっと気になったのは、[コンピュータの管理]ツールの[記憶域]−[ディスクの管理]にて、本製品のステータスが「読み取り不可」と表示されてしまうことだ。もっとも、実際の動作には問題点を見つけられなかった。また、本製品に格納したファイルを削除しても、ゴミ箱は作成されず、ファイルのアンドゥーはできない(これはフロッピーディスクでも同じだ)。 本製品にはアクセスや通電状態を表す緑色のインジケータLEDが内蔵されている。通電・待機状態の場合、LEDは約3秒のゆっくりとした周期で点滅し、内蔵のフラッシュ・メモリがアクセスされていると、短い間隔で点滅する(このとき読み出しと書き込みで区別はない)。PCからアクセスしているかどうか目視ではっきり確認できるため、特に取り外しの際には安心できる。 書き込みが遅いものの使い勝手は良好単純なファイルコピーのテストでデータ転送速度を測定してみたのが、以下の結果である。
公称性能は読み出し時700Kbytes/s、書き込み350Kbytes/sなので、上記の結果から読み出しは公称性能がほぼ発揮されていることが分かる(実測値の方が速い理由は不明だが、測定条件の違いが影響していると思われる)。 一方、書き込み速度は半分以下に落ちてしまっている。ただ、この速度でも、上記の表にあるように、全容量の8Mbytesを書き込むのに1分はかからない。それに、本製品への書き込み時にはWindows 2000のライトバック・キャッシュが働くため、実際に書き込みが終了する前に、エクスプローラなどのアプリケーションは書き込み処理から解放される。こうしたことから、個人的には使い勝手はそう悪くないと感じた。 フロッピーディスクの代わりになるか?本製品のようなUSB接続のフラッシュ・メモリは、ほかにも存在する。よく知られているのは、Trek 2000 International社のThumbdriveである。残念ながら試用したことがないため詳細は不明だが、Thumbdriveには256Mbytesという大容量やデータ保護機能(Secureモデル)など、本製品に比べて明らかなアドバンテージがある。 しかし、本製品にはフロッピーディスクに近い使い勝手のよさという利点がある。Windows 2000/Meで使っている限り、手動セットアップなしで使い始められる。またフォーマットなどの特殊な操作もエクスプローラの標準的な操作で実行可能だ(リムーバブル・メディアでは、専用ユーティリティでしかフォーマットできない製品が意外に多い)。慣れ親しんだOSの標準ユーザーインターフェイスで操作が完結できるという使い勝手のよさは、交換メディアとして重要なポイントではないだろうか。 普段ネットワークで接続されていない2台のPC間でデータを交換する場合、現時点で本製品より手軽さで優る製品はないかもしれない(Windows 2000/Meに限るが)。LANやインターネット経由のデータ交換は、そのセットアップに手間がかかる。USB接続の対向ケーブルも数多く市販されているが、専用デバイス・ドライバを2台のPCにインストールする必要がある。また、本製品と同じフラッシュ・メモリを内蔵する各種メモリ・カードも、多くのデスクトップPCではカード・リーダ/ライタを接続しなければ使えない。 IT管理者なら、本製品に各種デバイス・ドライバを保存しておき、購入したばかり(あるいは再インストールしたばかり)の新品のPCに、必要なハードウェア(例えばネットワーク・カードなど)をセットアップするのに利用する、といった使い道が考えられる。もう少し容量が多いとさらに用途が広がるので、16M〜64Mbytesの大容量モデルも製品化してほしいところだ。 |
メーカー名 |
日本アイ・ビー・エム株式会社
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製品名 |
8MB USBメモリー・キー(型番:19K4513)
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価格 |
4800円(2001年2月9日時点のShopIBM直販価格)
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製品URL | |
問い合わせ先 |
TEL 0120-04-1992(ダイヤルIBM)
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記録容量 |
8Mbytes*1
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インターフェイス |
USB
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転送速度 |
読み出し:700Kbytes/s、書き込み:350Kbytes/s
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表示デバイス |
インジケータLED
(アクセス時:短い間隔で点滅、通電待機時:長い間隔で点滅) |
消費電流 |
最大94mA*2
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電源 |
USBケーブルから供給(外部電源なし)
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対応OS |
Windows 2000/Me/98
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外形寸法 |
25(W)×102(D)×13(H)mm
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付属品 |
マニュアル、CD-ROM(デバイス・ドライバ)
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*2 Windows 2000のデバイス・マネージャで表示された値
「PC Insiderのプロダクト・レビュー」 |
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