特集
高密度サーバはどこに向かうのか?

2. 第2世代の1Uサーバ「PowerEdge 1650」

デジタルアドバンテージ
2002/04/18


 ここまでのページでは高密度サーバの動向を探ってきたが、本ページからは、第2世代の1Uサーバとしてデルコンピュータの「PowerEdge 1650」を見ていくことにする。第1世代の1Uサーバとして、「プロダクト・レビュー:スケーラビリティの高い1Uサーバ『PowerEdge 1550』」で「PowerEdge 1550」を取り上げていることから、両機種を比較すると特徴が分かりやすいだろう。

 まず、PowerEdge 1550とPowerEdge 1650の本体の大きさから見ていこう。同じ1Uサイズといっても、PowerEdge 1550の447(W)×43.2(H)×610(D)mmに対し、PowerEdge 1650は484(W)×42(H)×720(D)mmと、奥行き(D)が10cm以上も異なっている。3Uや4Uサイズのサーバの中には、奥行きが750mm程度のものもあるので、3U/4Uサイズが取り付けられるラックなら、PowerEdge 1650も問題なく取り付けられると思われるが、PowerEdge 1550からの置き換えには注意が必要になるかもしれない。なお、PowerEdge 1650に限らず、ここ半年くらいに出荷されたサーバでは、機能を強化するためか奥行きが長くなる傾向にある。

PowerEdge 1550(左)とPowerEdge 1650(右)
PowerEdge 1650は、PowerEdge 1550に比べて奥行きが長くなっているため、一見すると小型になったような印象を受けるかもしれない。

電源が二重化されたPowerEdge 1650

 ケースを開けると、さらにPowerEdge 1550と1650の違いは明らかになる。PowerEdge 1650では、電源ユニットを2基搭載可能になっており、電源を冗長化できる。この点が、PowerEdge 1650の最大の強化ポイントである。そのためのケース背面には、電源コネクタが2つ装備されており、それぞれの電源ユニットに対して別個に電源の供給を行うようになっている。現在のところ1Uサーバで電源ユニットが二重化されている機種はほとんどないが、電源ユニットはハードディスクと並んで故障が多いといわれている部品であることから、今後は二重化することが主流になっていくだろう。なお、PowerEdge 1650はオプションでDC電源にも対応できる。

プロセッサ
 Pentium III-S-1.4GHz/1.26GHz/1.13GHzから選択可能。写真の評価機はデュアルプロセッサ構成だったため、Pentium III-Sが2つ搭載されている。
メモリ
 168ピンDIMMソケットが4本装備されており、最大メモリ容量は1Gbytes Registered DIMM×4枚で合計4Gbytesとなる。メモリ増設時にはソケットを1本ずつ空けて2枚単位でDIMMを装着する。
RAIDコントローラ
 オプションのハードウェアSCSI RAIDコントローラ「PERC 3/Di」。マザーボードとは専用のコネクタで接続する。
電源ユニット
 電源ユニットは二重化が可能で、写真で空いているスペースにもう1つの電源ユニットを搭載できる。
ServerWorks HE SLチップセットのサウスブリッジ
 32bit/33MHz PCIやUSB 1.0インターフェイスなどをサポートする。
管理コントローラ
 標準で管理コントローラ「QLogic Zircon Lite」を搭載しており、プロセッサの温度などから冷却ファンの回転数を制御している。
イーサネット・コントローラ
 Intel製のギガビット・イーサネット・コントローラ「Intel 82544GC」を2個搭載し、2系統のインターフェイスをサポートする。
拡張スロット
 32bit/33MHz PCIと64bit/66MHz PCIをそれぞれ1スロットずつ装備する。
PowerEdge 1550(上)とPowerEdge 1650(下)のそれぞれのケース内部
PowerEdge 1650は電源ユニットが二重化できるため左側に大きなスペースが開いている(冗長構成時の電源ユニット用)。またPowerEdge 1550では、マザーボードとディスク用バック・プレーンの間をケーブルで接続していたが、PowerEdge 1650ではそうしたケーブル類がほとんどなく、ケース内がすっきりしていることが分かる。
 
PowerEdge 1650の背面
電源コネクタが2つ装備されているのが特徴。コネクタの上部に開いている穴は廃熱用で、内蔵のファンにより空気がここから排出されることで、内部の冷却が行われる。
  電源コネクタ。電源ユニットを2基搭載可能なので、電源コネクタも2つ装備されている。それぞれの電源コネクタと電源ユニットは1対1で対応しているので、1基しか搭載しない場合には、正しいコネクタを選んで電源ケーブルを接続するように注意が必要。
  SCSIコネクタ。マザーボード上に直付けされたSCSIコントローラとつながっている外部SCSIコネクタ。テープ・ドライブなどRAIDと無関係の外部SCSIデバイスはここに接続する。
  シリアル・ポート
  ディスプレイ・コネクタ
  拡張スロットのブラケット部分
  USB(2ポート)
  イーサネット・インターフェイス。ギガビット・イーサネット対応のインターフェイスを2系統、標準装備している。
  キーボード/マウス用PS/2コネクタ。フロント側とは異なり、キーボード(下)とマウス(上)それぞれのコネクタが独立している。
  リモード管理用ポート
 
PowerEdge 1650の電源ユニット
ホットプラグが可能で、片側ずつの交換も行える。電源コネクタとの対応を間違わなければどちら側に搭載してもよい。

 またPowerEdge 1550では、マザーボードとフロント側にあるハードディスクのバック・プレーンをフラット・ケーブルで接続していたが、PowerEdge 1650では直接コネクタ同士で接続するように変更されている。これにより、PowerEdge 1550では若干雑然としていた内部が、かなりすっきりとした印象に変わっている。ケーブルがなくなったことで、冷却のための空気の流れもよくなっているという。

 ハードディスクが最大3台まで内蔵できる点は、PowerEdge 1550と1650で共通の特徴である(多くの1Uサーバは2台までに制限される)。またホットスワップにも対応しており、オプションのハードウェアRAIDコントローラ「PERC 3/Di」によって、RAID 5やRAID 1+ホットスペアなど耐障害性の高いディスク・サブシステムが構築可能である。PERC 3/Diは専用コネクタでマザーボードと接続する構成となっており、RAID用のハードディスク・ベイとの組み合わせにより、ホットプラグ対応のRAIDシステムが構築可能だ。ハードディスクは、容量18Gbytes〜73GbytesのものからBTOにより選択可能だ(インターフェイスはUltra160 SCSI)。容量73Gbytesのハードディスク3台をRAID 5で構築することで、最大146Gbytesの容量が確保できる。これだけの容量が確保できれば、フロントエンド・サーバとしてだけでなく、アプリケーション・サーバとしても利用可能だろう。

PowerEdge 1650用RAIDコントローラ「PERC 3/Di」
RAIDコントローラとしては、PERC 3/Diがオプションで用意されている。PERC 3/Diは内部接続専用で、マザーボードには専用のコネクタで接続する。このクラスのRAIDカードとしてはめずらしくメモリ・バックアップ用のバッテリが搭載されている。万一電源がダウンした場合でも、RAIDコントローラの書き込みキャッシュの内容は保持される。
  RAIDコントローラ
  メモリ・バックアップ用のバッテリ
 
  関連記事
スケーラビリティの高い1Uサーバ「PowerEdge 1550」
 
  関連リンク 
PowerEdge 1650の製品情報ページ
 

 INDEX
  [特集]高密度サーバはどこに向かうのか?
    1.高密度化、低消費電力化、高性能・高機能化へ
  2.第2世代の1Uサーバ「PowerEdge 1650」
    3.高機能化する高密度サーバ
 
「PC Insiderの特集」


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