特集
IDE RAID実践導入術【低価格IDE RAIDカード編】

1.最新IDE RAID事情

デジタルアドバンテージ
2002/02/13


 IDE RAIDが一般化し始めたためか、ここ1年ほどでIDE RAIDコントローラを搭載したマザーボードが増えてきている。特にサーバ向けの製品ではないが、台湾ベンダを中心に差別化のためか、ハイエンド向けのマザーボードにIDE RAIDコントローラを搭載する傾向にある。また、Big DriveとUltra ATA/133に対応したIDE RAIDカードが登場し始めたことも、ここ数カ月の動向といえるだろう。現在、販売されている主なIDE RAIDカードを表に示す。

ベンダ名 製品名 RAIDレベル HDD接続台数 IDE対応規格
ACARD Technology AEC-6880 0/1/0+1 4台まで Ultra ATA/133
HighPoint Technologies RocketRAID 404 0/1/0+1 8台まで Ultra ATA/133
LSI Logic IDE100 0/1/0+1 4台まで Ultra ATA/100
Promise Technology FastTrak100 TX4 0/1/0+1 4台まで Ultra ATA/100
Promise Technology FastTrak TX2000 0/1/0+1 4台まで Ultra ATA/133
アダプテックジャパン ATA RAID 1200A 0/1/0+1 4台まで Ultra ATA/100
3ware Escalade 7000シリーズ 0/1/5/1+0 4〜8台まで Ultra ATA/100
3ware Escalade 6000シリーズ 0/1/5/1+0 2〜8台まで Ultra ATA/100
LSI Logic MegaRAID i4 0/1/3/5/0+1/0+3/0+5 8台まで Ultra ATA/100
Promise Technology SuperTrak SX6000 0/1/3/5 6台まで Ultra ATA/100
アダプテックジャパン ATA RAID 2400A 0/1/5/1+0 4台まで Ultra ATA/100
主なIDE RAIDカード一覧

 この表を見ると分かるように、RAID 0/1/0+1に対応した製品と、RAID 5まで対応した比較的ハイエンド指向の製品の2系統にはっきりと分かれている。RAID 0/1/0+1に対応した製品は実売価格で2万5000円以下、RAID 5に対応した製品は4万円以上と、価格面でも大きな差がある。RAID 5対応のIDE RAIDカードも製品出荷から1年以上経過し、性能や信頼性などの評価が固まりつつある。SCSI RAIDに比べて、システム全体(RAIDカードとハードディスク)の価格が安く済むため、今後はミドルレンジ・サーバでもIDE RAIDカードの採用が始まっていくことになるだろう。

 今回は、RAID 0/1/0+1対応の低価格なIDE RAIDカードの中からPromise Technologiesの「FastTrak TX2000」を例にRAID 1の構築を紹介する。

RAID 0とRAID 1の違い
 
低価格IDE RAIDカードがサポートするRAID 0とRAID 1がどのようなものなのかおさらいしておこう。

 RAID 0は、「ストライピング」とも呼ばれる技術で、2台以上のハードディスクに対しデータを分割して同時に読み書むことにより、処理の高速化を実現する技術である。複数のハードディスクを単一の大容量ドライブとして利用可能になるのもRAID 0のメリットとして挙げられる。ただし、低価格なIDE RAIDカードがサポートするRAID 0では、コントローラがそれほど高性能でないことから、処理速度の向上はあまり期待できない。また、冗長性はまったくないうえ、複数のハードディスクに分割してデータが記録されることから、1台の故障ですべてのデータが失われることになる(故障していない一方のディスクのデータも無意味なものになってしまう)。つまり、ハードディスク1台の運用よりも、RAID 0の方が信頼性という点ではむしろ劣ることになる。低価格IDE RAIDカードのRAID 0は、性能よりも、複数のハードディスクを単一ドライブとして扱えることをメリットとする用途に使うのが良いだろう。具体的には、デジタル・ビデオ編集などの用途に向く。

 RAID 1は、「ミラーリング」とも呼ばれる技術で、2台以上のハードディスクに対しまったく同じデータを書き込むことで、信頼性を向上させる技術である。そのため、1台のハードディスクが故障してもデータは完全に保証される。半面、2台のハードディスクが必要なのに、その1台分の容量しか利用できないという利用効率の悪さがデメリットとなる。低価格IDE RAIDカードでは、このRAID 1が最も中心的な使い方といえるだろう。

RAID 0とRAID 1
「ABCDEFG……」といったデータを書き込む場合、RAID 0ではハードディスク1に「ACEGI……」、ハードディスク2に「BDFHJ……」、RAID 1ではハードディスク1と2に「ABCDE……」といった具合に書き込まれる。

 低価格IDE RAIDカードでは、RAID 0とRAID 1のほか、この両者を組み合わせたRAID 0+1あるいはRAID 1+0、RAID 10、RAID 01と呼ばれる技術をサポートする例が多い。これは、最低4台のハードディスクで構築し、RAID 0を構築したセットをRAID 1により複数構築する(あるいは、逆にRAID 1を構築したセットをRAID 0により複数構築する)というものだ。RAID 0で複数のハードディスクを単一ドライブとして活用できるうえ、RAID 1により冗長性も確保できるというメリットがある。ただ、RAID 0+1の場合も、RAID 1と同様、ハードディスクの利用効率は半分以下に下がることになる。

 
  関連リンク
ACARD Technology AEC-6880の製品情報ページ
HighPoint Technologies RocketRAID 404の製品情報ページ
LSI Logic IDE100の製品情報ページ
Promise Technology FastTrak100 TX4の製品情報ページ
Promise Technology FastTrak TX2000の製品情報ページ
アダプテックジャパン ATA RAID 1200Aの製品情報ページ
3ware Escalade 7000シリーズの製品情報ページ
3ware Escalade 6000シリーズの製品情報ページ
LSI Logic MegaRAID i4の製品情報ページ
Promise Technology SuperTrak SX6000の製品情報ページ
アダプテックジャパン ATA RAID 2400Aの製品情報ページ
 

 INDEX
  [特集]IDE RAID実践導入術【低価格IDE RAIDカード編】
  1.最新IDE RAID事情
    2.IDE RAIDの構築手順
    3.IDE RAIDの性能を測る
 
「PC Insiderの特集」


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