第7回 Exchange Serverへの安全なリモートアクセス(後編)
竹島 友理NRIラーニングネットワーク株式会社
2006/5/2
クライアント別による添付ファイルブロック設定
<OWA>
OWAは、インターネットカフェなどの外部端末から使用される可能性が非常に高いので、添付ファイルを完全にブロックできるようになっています。OWAでサポートしている添付ファイルブロックのレベルは、以下の2つです。
- レベル1のファイルまたはMIME:どのような形式でのダウンロードも許可されていません
- レベル2のファイルまたはMIME:Internet Explorerで開くことはできませんが、そのファイルを右クリックしてディスクに保存して、後で開くことはできます
レベル1とレベル2のファイルの種類は以下を参照してください。
【関連リンク】 Outlook Web Access添付ブロックするのを構成する Outlook Web Accessでブロックされるファイルの種類またはMIMEの種類を表示または変更する方法 |
ところで、Exchange Server 2003側にも、OWA環境で添付ファイルを処理する方法が3つ用意されています。
- 添付ファイルを許可しない
- 添付ファイルを許可する(ファイルの種類によるフィルタ処理を保留)
- 特定のバックエンドサーバーを介してのみ添付ファイルへのアクセスを許可する
例えば、「特定のバックエンドサーバーを介してのみ添付ファイルへのアクセスを許可する」ようにExchange Server 2003を設定して、ユーザーにバックエンドサーバへのURLを提供することで、イントラネットからアクセスするOWAユーザーに対してのみ添付ファイルへのアクセスを許可するように設定することができます。
さらに、「特定のバックエンドサーバーを介してのみ添付ファイルへのアクセスを許可する」オプションに対して、例外となるフロントエンドサーバを設定すると、指定されたフロントエンドサーバを介して接続するユーザーは、添付ファイルを受け取ることができるようになります。
【関連リンク】 添付ファイルの処理を許可するフロントエンドサーバーを指定する方法 |
<Outlook>
Outlook 2000 SR1以降のOutlookにも、添付ファイルブロック機能が標準で実装されています。
インターネットカフェなどの外部端末から使用されることが多いOWAとは異なり、Outlookは会社や自宅にある自分の端末からアクセスすることがほとんどだと考えられるので、完全に添付ファイルをブロックする設定値は用意されていません。Exchangeサーバ環境でのOutlookで構成可能な添付ファイルブロックのレベルは、以下の3つです。
- レベル1(安全でない):安全でない拡張子のファイルは、開くことはできません。ただし、ブロックされたファイルは、削除されるわけではなく、依然としてメールメッセージ内に存在しています
- レベル2:Outlookで開くことはできませんが、そのファイルを右クリックしてディスクに保存して、後で開くことはできます
- そのほかの添付ファイル:直接ファイルを開くか、ディスクに保存するかを確認するメッセージが表示されます
レベルごとのファイルの種類は、以下を参照してください。
【関連リンク】 Microsoft Outlookで添付ファイルを開くことができない |
ユーザー間で最も共有されるOffice 2003のファイルの種類(.doc、.xls、.pptファイルなど)は、標準でブロックされないようになっています。この構成は以下の手順で変更できます。
【関連リンク】 Outlookでブロックする添付ファイルのファイル名拡張子を追加する方法 |
一方、ブロックされるファイルを共有したい場合は、上記のレジストリを変更するのではなく、次のいずれかの手段を取ってください。
- 添付するファイルの拡張子をブロックされない種類に一時的に変更して送信する。受信者は、PCに保存するときに正しいファイル名を付ける
- WinZipなどのプログラムを使用して、パッケージ化したファイルをメールメッセージに添付
- セキュリティで保護された共有フォルダにファイルを格納し、メールメッセージにその共有フォルダへのリンクを書く
また、Outlookでは、セキュリティ強化の観点から、ユーザーが自分でこの機能を解除できないように設計されています。
<Outlook Express 6.0>
Windows XP SP2環境でのOutlook Express 6.0も添付ファイルブロック機能が提供されています。Outlook Expressではユーザーがこの機能を解除できるようになっていますが、危険なので必ず有効にするようにユーザーを教育してください。
Outlook Express 6.0に用意されている添付ファイルブロックのレベルは、以下の3つです。
- 警告なしに開くことができるファイル(危険度:低)
- ユーザーに確認をうながすファイル(危険度:中)
- 既定では参照できないファイル(危険度:高)
レベルごとのファイルの種類や添付ファイルブロック機能を有効にする方法、Outlook Express 6.0の構成を変更する方法は以下を参照してください。
【関連リンク】 Outlook Express の添付ファイルブロック機能について Outlook Express 6 で添付ファイルのブロックの設定をカスタマイズする方法 |
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Index | |
Exchange Serverへの安全なリモートアクセス(後編) | |
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Page2 クライアント別による添付ファイルブロック設定 |
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基礎から学ぶExchange Server 2003運用管理 |
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