第7回 Exchange Serverへの安全なリモートアクセス(後編)

竹島 友理
NRIラーニングネットワーク株式会社
2006/5/2

 こんにちは。 前回に引き続き、Exchange Server 2003における安全なリモートアクセスについて解説します。

 出張先や外出先からインターネットを通じて簡単に企業内のExchange Server 2003へのアクセスが可能になるのに伴って、さまざまなセキュリティリスクが発生する可能性も高くなります。前回は次のような例を挙げ、その対策法について2つ目まで説明しました。

  • Exchange Server 2003が外からアクセスされて、危険ではないの?
  • 通信している情報が第三者に盗み見られたり、メッセージが改ざんされたりしないの?
  • インターネットカフェの端末に、資格情報が残ってしまうことはないの?
  • インターネットカフェの端末で、ダウンロードした添付ドキュメントを削除し忘れたら大変!?

 今回はまず、残りの2つについて解説します。それからファイアウォールとExchangeサーバの連携について紹介します。

 ネットカフェの端末に資格情報が残ってしまわないの?

●外部端末に認証情報を残さないから大丈夫

 これは、Outlook Web Access(OWA) 2003が持っている「フォームベース認証」を使用することで解決できます。フォームベース認証を使用すると、OWA 2003の新しいログオンページが表示され、ユーザーの名前とパスワードをWebブラウザではなくCookieに格納するようになります。

図1 フォームベース認証の認証ページ

 この機能の最も重要な点は、ユーザーの資格情報がクライアントPCにキャッシュされないことです。ユーザーがWebブラウザを閉じたり、セッションからログオフしたりすると、Cookieが消去されます。また、非アクティブな状態が一定期間続くと、Cookieは自動的に消去されます(標準のタイムアウト値は、外部の公共端末からのアクセスが15分、オフィスや自宅で自分の端末を使用する場合が24時間です)。再接続の場合は、必要に応じて再認証を求められます。

 フォームベース認証機能を使うことで、ユーザー資格情報がクライアント側に一切保管されないため、インターネットカフェなど公共の外部端末からアクセスしても安全性が確保できます。しかし、公共のPC上でOWAセッションが実行されたままである以上、権限のないユーザーからのアクセスが完全になくなるわけではないので、しっかりユーザー教育を行ってください。

 なお、フロントエンドサーバをExchange Server 2003で、バックエンドサーバをExchange 2000 Serverで実行しても、フォームベース認証を構成できます。しかし、バックエンドサーバもExchange Server 2003で構成すると、セッションタイムアウトの処理が向上します。

【関連リンク】
フォームベース認証を有効にする方法
Outlook Web Accessのフォームベース認証を使用する、公共のコンピュータにおけるCookieのタイムアウト値を設定する方法
Outlook Web Accessのフォームベース認証を使用する、信頼されたコンピュータにおけるCookieのタイムアウト値を設定する方法

 ネットカフェで、ダウンロードしたデータを削除し忘れた!?

●外部端末に添付ファイルをダウンロードできないようにしよう

 ユーザーがメールに添付されているファイルを社外から開くとき、状況によっては会社の大切な情報が漏えいする危険性があります。そのような場合は、「添付ファイルブロック」を利用しましょう。

 添付ファイルブロックとは、受信した添付ファイルの種類から、そのファイルが安全かどうかを自動的に判断し、それによって添付ファイルの扱いを自動的に変更する機能です。この機能を利用できるのは、OWA、Outlook(Outlook 2000 Service Release 1以降)、そしてWindows XP SP2が適用されたOutlook Express 6.0です。

 添付ファイルブロックを使用すれば、Exchangeサーバ上ですべての添付ファイルの利用を制御できるので、インターネットカフェからExchange Server 2003にアクセスしているユーザーが、誤って重要な文書を漏えいするような危険性を軽減できます。また、ファイルの拡張子を判別することで、ウイルスを含む可能性のある添付ファイルをブロックできます。

 ただし、添付ファイルを開くという行為から生まれる危険性は、ユーザーの利用環境によって変わってくるので、クライアントの種類によって設定や動作が異なります。

 
1/4

Index
Exchange Serverへの安全なリモートアクセス(後編)
Page1
ネットカフェの端末に資格情報が残ってしまわないの?
ネットカフェで、ダウンロードしたデータを削除し忘れた!?
  Page2
クライアント別による添付ファイルブロック設定
  Page3
ファイアウォールでExchangeサーバを保護したい
セキュアな環境をファイアウォールレベルで確保する
  Page4
ISA Server 2004環境でもフォームベース認証
連携はウィザードで簡単に設定できる


関連記事
基礎から学ぶExchange Server 2003運用管理

Security&Trust記事一覧


Security&Trust フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Security & Trust 記事ランキング

本日 月間