第7回 Exchange Serverへの安全なリモートアクセス(後編)
竹島 友理NRIラーニングネットワーク株式会社
2006/5/2
ファイアウォールでExchangeサーバを保護したい
ファイアウォールでExchangeサーバを保護したい場合は、Internet Security and Acceleration Server 2004(ISA Server 2004)と組み合わせて、Exchange Server 2003環境を構築してみてください。ISA Server 2004とExchange Server 2003は連携して動作するように設計されているので、メッセージング環境をアプリケーションレイヤレベルで保護できます。
ISA Server 2004は、Exchangeサーバをインターネットから守るように、Exchangeサーバの前に配置します。ISA Server 2004はインターネットクライアントからの要求を受信し、それが内部ネットワーク内のExchangeサーバへのアクセスだった場合には、内部ネットワーク内の適切なExchangeサーバにルーティングします。
例えば、Exchangeサーバ環境がフロントエンドサーバ/バックエンドサーバで構成されている場合、インターネットクライアントからの要求は、「クライアント→ISA Server 2004→フロントエンドサーバ→バックエンドサーバ」という順番で処理され、そのデータは「バックエンドサーバ→フロントエンドサーバ→ISA Server 2004→クライアント」という順番で返されます。
ISA Server 2004を配置することで、フロントエンドサーバを境界領域ネットワーク内に配置する必要がなくなります。可能であればISA Server 2004を利用してフロントエンドサーバを企業ネットワーク内に配置して保護しましょう。
このとき、公開するDNSサーバに登録するMXレコードとAレコードは、ISA Server 2004のホスト名と外部IPアドレスになります。
図2 ISA Server 2004によるExchangeサーバの保護 |
セキュアな環境をファイアウォールレベルで確保する
ISA Server 2004は、OWA、Outlook Mobile Access(OMA)、RPC over HTTP、POP3、IMAP4など、Exchangeサーバに向かう着信方向のすべてのインターネットトラフィックと、SMTPとNNTPによるサーバ間通信を処理できます。さらに、SSLによるセキュア通信もサポートしています。
インターネットクライアントからISA Server 2004にSSLで通信した場合、ISA Server 2004がSSLによる暗号化を解除し、中身を検査したうえで内部のExchangeサーバに要求を転送します。ISAサーバとExchangeサーバ間のトラフィックは、暗号化を解除した状態でHTTP通信することも、再度SSLで暗号化したうえでHTTPS通信することもできます。
Exchangeサーバ自体の負荷を下げることに重きを置くならば、ISAサーバと Exchangeサーバ間をHTTPで通信する設定になります。しかし、認証プロセスで使用される資格情報を保護するためには、ISAサーバとExchangeサーバ間にもSSL通信が必要です(SSL通信が推奨されています)。
図3 ISA Server 2004環境のSSL通信 |
さらに、ISA Server 2004を使用して、添付ファイルブロックを構成することもできます。従って、インターネットカフェなどの外部端末から機密性の高い添付ファイルをダウンロードし、利用した後で、ファイルを削除し忘れて社外に情報が漏えいしてしまうといった事故を、ファイアウォールレベルで防げます。
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Index | |
Exchange Serverへの安全なリモートアクセス(後編) | |
Page1 ネットカフェの端末に資格情報が残ってしまわないの? ネットカフェで、ダウンロードしたデータを削除し忘れた!? |
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Page2 クライアント別による添付ファイルブロック設定 |
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Page3 ファイアウォールでExchangeサーバを保護したい セキュアな環境をファイアウォールレベルで確保する |
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Page4 ISA Server 2004環境でもフォームベース認証 連携はウィザードで簡単に設定できる |
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基礎から学ぶExchange Server 2003運用管理 |
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