【特集】 バイオメトリクスカタログ(前編)
〜指紋認証編〜
橋本晋之介
2001/10/20
指紋入力装置カタログ |
SecureFinger PI300PU-01 |
NECは、日本をはじめ各国警察に指紋認証システムを納入しているこの分野のしにせだ。その一般向けの代表的な商品が「SecureFinger
PI300PU-01」だ。希望小売価格は5万9500円(税別)、接続方式はUSBと扱いやすい。他人許容度(別人を登録された人物と間違えてしまう確率)が低いなど、安全性の面で高い性能を誇る。
USBタイプのほかにもPCカード型などさまざまなタイプがある。また、開発者向けの環境も充実しているので、SecureFingerを用いた独自システムの開発も可能。ライセンス契約もできるので、第三者に販売することも可能だ。
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SecureFinger スペック表 |
PUPPY FIU-710 |
SONYも一般向け指紋認証システムを早くから手掛けている。「FIU-710」は、PC起動制限、ログイン、ファイルの暗号化、プロバイダへのパスワードなどのPCアクセスといったパソコンのローカル使用でのセキュリティと、電子メールの暗号化、電子承認、Eコマースなどのネットワークセキュリティでの利用が可能だ。
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FIU-710 スペック表 |
FPS-3000S |
オムロンの指紋照合センサは数多くの企業がOEM、準OEMで販売している。それだけ開発のしやすさと価格、性能が良いということだ。
その代表的な製品が「FPS-3000S」だ。価格はオープン、USB接続で扱いは簡単だ。
製品に付属するサンプルコードを基に独自アプリケーションを開発できる。また、そのアプリケーションを無償再配布、販売することもできる。その際、ライセンスロイヤリティは無用だ。
指紋照合センサを購入すると指紋照合エンジンのみのソフトウェア「FPS-3000SS Ver2.1」の提供を無料で受けられる。これをサーバにすることで、照合サーバ1台とセンサ数台のクライアント/サーバシステムが簡単に構築できる。
さらに指紋照合システム開発キット「FP-3000SDK Ver2.1」がある。こちらは19万8000円と開発キットとしては手ごろな価格。これには指紋センサユニットが1個付属している。このキットを使えば独自のシステム開発も可能だ。
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指パス スペック表 |
EyeDオプティマウス |
米セキュアジェネレーションは、1998年に設立されたバイオメトリクスを専門に扱う新しい企業だ。認証技術も高いが、製品のユニークさでもひときわ目立つ。
「EyeDオプティマウス」は、マウスに指紋センサを取り付けた製品だ。キーボードと一体化したものは他社にもあるが、マウスの方が指の移動量が少ないので扱いやすいことは間違いない。
開発キットも用意されているので独自アプリケーションの開発もできる。
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EyeDオプティマウス スペック表 |
FPR-DT MK III |
三菱の指紋センサ「FPR-DT MK III」はほかのメーカーに比べ若干認識性能が劣るが、認証パッケージソフト、ログオンパッケージソフト、ファイル暗号化ソフト、暗号化WWWアクセスシステムなど、用途別に用意されている。これらのパッケージソフトウェアを導入すれば自社システムなどは比較的簡単に構築できるだろう。本格的なシステム開発を行う余裕がない場合には適している。
また、認証や登録のスピードが速い点も特徴だ。エンドユーザーが利用する場合は認証時間をせいぜい2、3秒に抑えたいところ。FPR-DT MK
IIIなら1秒で認証できるので、エンドユーザーもイライラすることはないだろう。
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FPR-DT MK III スペック表 |
HFP-PA0101 |
日立の指紋センサー「HFP-PA0101」には、認証ソフトウェアに特徴がある。
普通、「特徴点抽出方式」の認証アルゴリズムでは隆線の分岐点や端点を見い出しだして特徴点とし、特徴点間の位置関係を使って認証を行う。このとき、一致する特徴点が12個以上ならばほぼ個人を特定できる。裁判でも12個以上の一致が証拠として必要な条件になっている。
日立のシステムでは、一致する特徴点の個数を24個まで自由に選ぶことができる。従って、指の荒れた人でも認証できるように照合特徴点数を減らしたり、安全性を高めるために照合特徴点数を増やしたりすることが可能だ。システム運用時の柔軟性が高いという点で興味深い。
また、C++、VB、Accessから呼び出し可能な関数の形で提供されるので、システムの構築もしやすい。
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Finger Attestor スペック表 |
Fingsensor |
富士通はこの分野では新規参入だ。参考までに仕様とリンクだけ掲載しておく。
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Fingsensor スペック表 |
■DDS 組み込み用モジュールほか
DDSの指紋システムは組み込み用で特定の形態はない。認証用ソフトウェアと入力センサーを組み合わせて組み込みが可能だ。その際、各種プラットホームに合わせてカスタマイズ提供されるので、専用システムを開発する場合には都合が良いだろう。詳細はDDSのサイトを参照してほしい(http://www.dds.co.jp)。
そのほかの関連サイト |
バイオメトリックスについて詳しく紹介されているサイトがある。ここも参考するとよいだろう。
■警察庁 情報セキュリティ調査研究報告書
この中の、第2章第3項にバイオメトリックスの解説がある。
■有限会社齋藤指紋鑑定事務所
指紋について詳しい解説を行っている。
■NEC ちょっと拝見
特徴点抽出方式や入力装置について簡単に説明している。
次回は、指紋認証以外の声紋、虹彩などの紹介をする。
Index | |
特集:バイオメトリクスカタログ(前編) | |
バイオメトリクスの必要性
個人認証に有効なバイオメトリクス 指紋照合とは?─ 安全性、利便性、問題点 主な指紋認証システム用途 導入時の注意 指紋入力装置インデックス |
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指紋入力装置カタログ そのほかの関連サイト |
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特集:バイオメトリクスカタログ(後編) |
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