Ottawa Linux Symposium 2008レポート

オタワで聞いた
“Thanks to Japanese Community”の声


中村 雄一
日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
技術開発本部 研究部 技師
2008/8/26



 5分で絶対に分かるLinux Symposium登壇の極意

 今回のLinux Symposiumでは、会場に向かう途中でSmalley氏と遭遇し気軽に議論したり、最終日のレセプションでSELinux開発者たちと乾杯しながらセキュリティポリシーについて熱く語り合うことができました。このように、直接面と向かってLinux開発の中心にいる人々と語り合えるのがLinux Symposiumの最大の魅力といえます。

 しかし、Linux Symposiumに、ただ参加するだけではなく、自分で発表する方がより重要なことです。なぜなら発表内容をネタに、開発者たちとの話も弾むからです。読者の方々も、ぜひ発表に挑戦してみてはいかがでしょうか? 参考までに、Linux Symposiumでの発表までのプロセスを紹介します。

(1)Call for paper
 

 開催の半年ぐらい前に、Call for paperという参加者募集ページが、Linux Symposiumのサイトにオープンします。こちらに、応募手順が書かれています。

(2)発表提案
 

 応募手順に従って、発表を提案します。「論文発表(自分が開発した内容の発表)」「BOF(あるテーマについての議論)」「チュートリアル(技術解説)」の3種類の中から提案できます。発表したい内容の概要を英文で提出します。

(3)審査
 

 発表枠に限りがあるため、Linux Symposium審査委員会によって審査され、審査が通った場合だけ発表できます。例年3倍以上の倍率があるようです。発表提案締め切りから1〜2カ月後ぐらいに結果が通知されます。なお、結果通知は、予定より1カ月ぐらい遅れるのが常なようですので、もどかしい思いをしながら待つことになります。

(4)論文執筆
 

 発表提案が「論文発表」として採択された場合は、LaTexで論文を執筆することになります。論文の締め切りが採択から1カ月後ぐらいと、あまり時間がありませんので、(3)の審査待ちの間に書いている人が多いようです。論文は、学術論文に近いものから、随筆調の軽いものまでさまざまです。

(5)発表
 

 あとは当日自由に発表するだけ! 発表の時間枠は45分です。

 Linux Symposium以外にも、以下の表のような国際会議が開催されています。論文執筆の有無は会議によって違いますが、発表までのプロセスはおおむねLinux Symposiumと似ています。ぜひ、挑戦してみてください!

名称
内容
Linux.conf.au オーストラリアで開かれるLinux国際会議。年々注目度が上がってきている。
Linux Plumbers Conference Linux Kernel Summitと同時開催されるイベント。2008年9月に第1回が開催される。
規模は大きくないが、Kernel Summitと同時開催なため、メンテナが集まると予想され、Linux Symposiumに代わる主要国際会議になる可能性がある。
Embedded Linux Conference CE Linux Forum主催の組み込みLinuxの国際会議。アメリカとヨーロッパで毎年開催されている。
表1 Linux関係の主な国際会議


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Index
オタワで聞いた“Thanks to Japanese Community”の声
  Page1
さながら「セキュアOS同窓会」
前夜祭のミニサミット、SELinux Developer Summit
SELinuxの進歩を振り返る
AppArmorは「ないよりマシ」(悪い意味ではなく)
  Page2
組み込みSELinuxの取り組み――不評でもあきらめるな
BOF: MAC for Glean――TOMOYOのマージのために
SMACKも組み込みシステムに最適だ!
Page3
5分で絶対に分かるLinux Symposium登壇の極意

Profile
中村 雄一(なかむら ゆういち)

日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社

技術開発本部 研究部 技師

学生時代に情報処理の単位を落としたことがきっかけで、コンピュータに興味を持つ。

日立ソフトに入社後は,SELinux関連のの研究開発およびビジネス化支援に従事すると共に、SELinuxの普及活動にも注力。SELinux Policy Editorの主要開発者でもあり,これを武器にSELinuxのさらなる布教を企んでいる。

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