Oracle VMの世界

Oracle VMの世界(4)

Oracle VMにおけるハードウェアリソース管理


日本オラクル株式会社
中嶋 一樹
2009/5/20

連載:Oracle VMの世界 INDEX

- PR -

 ディスク

■仮想ディスク割り当て

 ゲストOSの仮想ディスクはVM Managerから設定可能です。ゲストOSが稼働中、停止中、いずれの状態でも設定することができます。

図5 VM Managerでの仮想ディスク設定

■共有仮想ディスク

 共有仮想ディスクとは、複数のゲストOSから同時に読み書き可能なモードでマウントできる仮想ディスクです。通常の仮想ディスクを読み書き可能なモードでは、マウントできるのは1ゲストOSのみです。

■優先度設定

 各ゲストOSのディスクI/O優先度をVM Managerで設定することができます。ゲストOSが稼働中、停止中、いずれの状態でも設定することができます。プルダウンメニューから0~7の8段階で設定可能です。

図6 VM ManagerでのディスクIO優先度設定。ここではI/O優先度(Priority Class)が6に設定されている

■仮想ディスクのレイアウト

 ゲストOSには3通りの方法でディスクを割り当てることができます。

・ファイルVBD

 デフォルトのフォーマットで、Oracle VM 2.1.xではVM Managerから仮想化ディスクを追加するとこの形式で作成されます。これはVM Server(正確にはdom0)の/OVS以下の領域にファイルとして仮想ディスクを作成し、それをゲストOSに貸し出す形になります。

図7 ファイルVBD

・ブロックデバイスVBD

 VM Serverが認識したブロックデバイス、またはパーティションそのものをゲストOSに丸ごと割り当てるのがこの形式です。

図8 ブロックデバイスVBD

 Oracle VM 2.1.xでは、この形式でゲストOSに仮想ディスクを割り当てるにはゲストのドメイン設定ファイルを編集する必要があります。このファイルはvm.cfgという名前で以下のロケーションに保存されています。

/OVS/running_pool/ゲスト毎のディレクトリ/vm.cfg

 ブロックデバイスVBDを追加した場合のvm.cfgのエントリを見てみましょう。

disk = ['file:/OVS/running_pool/92_db1/system.img,xvda,w', 'phy:/dev/sdb,xvdb,w']

 この記述の意味は以下の通りです。

'file:/OVS/running_pool/92_db1/system.img,xvda,w'の部分
 ファイルVBDとしてVM Server上の/OVS/running_pool/92_db1/system.imgというファイルをゲストOSに割り当てます。また、そのときゲストOSからはこの仮想ディスクは/dev/xvdaとして認識されます。最後のwはパーミッションで、「読み書き可」を意味しています。パーミッションに使えるシンボルはwの他、r(読み込みのみ), w!(読み書き可&他のゲストと共有可)があります。w!はRAC環境などゲスト間で仮想ディスクを共有させたい場合に用いられます。

'phy:/dev/sdb,xvdb,w'の部分
 ブロックデバイスVBDとして、VM Server上の/dev/sdbというブロックデバイスをゲストOSに割り当てます。そのときゲストOSからはこの仮想ディスクは/dev/xvdbとして認識されます。また、パーティションを割り当てたい場合はphy:/dev/sdb1,xvdb,wなどとすることで割り当て可能です。

 なお、このシングルクオートで囲まれた仮想ディスクのエントリは、カンマ区切りで追加していくことができます。

・NFS、iSCSI直接接続

 これはVM Serverからディスクを割り当ててもらうのではなく、ゲストOSがネットワークを通じて直接ストレージを認識する形式です。その意味では仮想ディスクではなく本物のディスクということになります。

図9 iSCSIストレージとの直接接続

*仮想ディスクの場合、ゲストOSはディスクに対してSCSIコマンドを発行してデバイスを操作することができませんが、iSCSI経由の直接接続であればSCSIコマンドも通常通り発行することができます。

 直接接続のディスク割り当てについてVM Serverは一切関与しないため、VM Manager上でもドメイン設定ファイル(vm.cfg)にも直接接続ディスクに該当するエントリは存在しません。全ての管理操作はゲストOS上で個別に行うことになります。

 今回はハードウェアリソースをどのようにゲストOSに割り当てるのか、その管理について解説しました。最初は少し混乱するかもしれませんが、柔軟で動的なハードウェアリソース管理はVMの魅力の一つです。特にメモリの動的な増減は、検証環境ではおおいに役立つと思いますし、ディスクのホットスワップは作り込み次第でオンラインでの容量の拡張、I/O帯域の拡張、またバックアップに便利な機能です。ぜひ、いろいろな運用方法を検討してみてください。

3/3
 

Index
Oracle VMにおけるハードウェアリソース管理
  Page1
CPU
  Page2
メモリ
ネットワーク
Page3
ディスク

Server & Storage フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Server & Storage 記事ランキング

本日 月間