第3回 XenServerのI/Oアーキテクチャ
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
2008/9/9
XenServerではネットワークやストレージの構成でオープンソースXenやLinuxをうまく活用しながら、管理を大幅に簡素化している。本連載ではまず、XenServerのアーキテクチャを4回にわたり解説しているが、その3回目として、XenServerのI/Oアーキテクチャについて紹介する |
Citrix XenServerはオープンソースのXenをベースとしてハードウェアの上で直接動作するハイパーバイザ型の仮想化ソフトウェアである。今回は、XenServerのアーキテクチャ解説の3回目として、Citrix XenServerのI/Oアーキテクチャについて紹介する。
XenServerのI/Oアーキテクチャ
これまでのXenハイパーバイザの説明で、I/Oについては簡単に触れたが、今回はXenServerにおける実装を詳しく説明する。
ネットワーク、ディスクへのI/Oはすべてコントロールドメイン(Domain0)から行われる。ゲストOS(仮想マシンの中で動くOS)で使用されるドライバは、PV(準仮想化)デバイスドライバに置き換えられ、PVデバイスドライバがXenハイパーバイザを経由して、メモリポインタだけをコントロールドメインに伝える。コントロールドメインからはゲストOSのメモリを使用して直接I/Oを行うため、仮想化時のI/Oオーバヘッドを小さくすることができる。これが、I/Oに関する全体的な流れである。
XenServerでは、ネットワークとディスクに対する管理はすべてコントロールドメインの中で行う。すなわち、ネットワークとディスクに対する制御およびXenServerで提供しているさまざまな機能はコントロールドメインで実装しており、それらは標準のLinuxの機能を使用している。以下では、ネットワーク、ストレージがXenServer上でどのような機能を提供しているのかを見ていく。
図1 XenServerのアーキテクチャ |
ネットワークの管理
XenServerのインストールを行うと、物理NICに対してレイヤ2スイッチと同等の機能を持ったネットワークが自動的に作成される。このネットワークは、コントロールドメインにおいてはLinuxの標準機能であるブリッジとして定義される。XenServerでは、このブリッジは「xenbr*」という識別名で、コントロールドメインの中で管理される。
仮想マシンでは、仮想マシンで使用する仮想ネットワークカード(仮想NIC)を定義するが、仮想NICをどのネットワーク(ブリッジ)に接続するかによって、物理セグメントが決定される。このとき、コントロールドメインの中では仮想NICに対応した仮想インターフェイス(VIF)が作成されており、仮想インターフェイスとブリッジが関連付けられることにより、物理セグメントに仮想NICからパケットが送出される。これらの機能はLinuxの標準機能を使用して実装されており、/etc/sysconfig/network-scriptsで管理されている。しかし、実際には利用者がコントロールドメインの中を直接設定することはない。
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画面1 コントロールドメインからifconfigのコマンドを投入した表示画面 |
このXenServerの構成では、物理NICが2枚(eth0とeth1)あり、それぞれに対してブリッジであるネットワークが2つ(xenbr0とxenbr1)作られている。仮想マシンが使用する仮想NIC(VIF)は1つだけ定義されている。上記の構成を図式化すると、以下のようになる。
図2 画面1の設定に対応する構成 |
画面2 上はXenCenterでのネットワーク(ブリッジ)の設定画面。下はNICの設定画面 |
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第3回 XenServerのI/Oアーキテクチャ | |
Page1 XenServerのI/Oアーキテクチャ ネットワークの管理(1) |
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Page2 ネットワークの管理(2) |
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Page3 ストレージ管理 |
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