XenServerを極める(2)

第3回 XenServerのI/Oアーキテクチャ


シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
2008/9/9


 物理NICを持たないネットワーク(ブリッジ)を構成することもできる。この場合には、仮想マシンからのネットワークパケットは外部ネットワークと接続されず、内部(同じXenServerで稼働している仮想マシン間)だけのネットワーク通信となる。このネットワークを「内部ネットワーク」(Internal Network)と呼び、物理NICと接続されているネットワークを「外部ネットワーク」(External Network)と呼ぶ。内部ネットワークは、例えば外部からのネットワークパケットを必ず受信するファイアウォール仮想マシンを作成し、そのファイアウォール仮想マシンから同じXenServerで動いている本番用途の仮想マシンにパケットを送信する場合などで使用する。

画面3 新しいネットワーク作成時には、外部ネットワークか内部ネットワークを指定する

 XenServerでは、ネットワークに対してVLANを設定することができる。XenServerは802.1qに準拠したタグ付きVLANをサポートしており、VLAN IDとして0から4096を設定できる。VLANはブリッジとして新たにコントロールドメインの中に定義される。そのVLAN IDを使用したい仮想マシンは仮想NICをVLAN IDを持った仮想ブリッジに接続することで、そのIDが付加されたパケットのみを受け取ることができる。VLANタグの処理はブリッジが行うため、仮想マシンの中ではVLANの設定を行う必要はない。パケットに対するVLANタグの処理はすべてブリッジが行う。

図3 VLANの設定(VLAN ID: 30)を設定した場合のコントロールドメインの内部

 次に、NICの冗長化の機能であるボンディング(NICチーミング)の機能を紹介する。

 XenServerのネットワークはXenCenterの管理ネットワーク、iSCSI、NFSなどネットワークストレージとの接続、XenMotion使用時の仮想マシンのメモリ内容のコピーなど、仮想マシン用のネットワーク以外にも多くの場面で使用する。すなわち、どのネットワークが障害になったとしてもXenServerとしての機能は完全ではなくなってしまうのである。XenServerはこれらネットワークの耐障害性を高めるため、複数のネットワークをまとめて1つに見せる、NICボンディング(チーミング)の機能を標準で提供している。この機能を使用することにより、サーバのNIC障害だけでなく、ネットワーク障害時にも、ほかのネットワークにスイッチし、処理を継続することが可能となる。

図4 NIC2とNIC3をボンディングしたところ。ボンディングの機能もコントロールドメインで提供される

[root@xenserver1 / ]# cat /proc/net/bonding/bond0
Ethernet Channel Bonding Driver: v3.1.2 (January 20, 2007)
Bonding Mode: fault-tolerance (active-backup)
Primary Slave: None
Currently Active Slave: eth2
MII Status: up
MII Polling Interval (ms): 100
Up Delay (ms): 200
Down Delay (ms): 200
Slave Interface: eth2
MII Status: up
Link Failure Count: 0
Permanent HW addr: 00:90:cc:84:09:06
Slave Interface: eth3
MII Status: up
Link Failure Count: 0
Permanent HW addr: 00:18:71:ea:c0:5d
画面3 図4の構成のNIC情報

 現在のXenServer 4.1では、NICボンディングはXenServerのコマンドで行う必要があり、2本のネットワークはActive/Standby構成となる。しかし、次バージョンではボンディングをXenCenter管理ツールからGUIで設定可能となるだけでなく、ネットワークもActive/Active構成が組めるようになる予定である。

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Index
第3回 XenServerのI/Oアーキテクチャ
  Page1
XenServerのI/Oアーキテクチャ
ネットワークの管理(1)
Page2
ネットワークの管理(2)
  Page3
ストレージ管理


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