第3回 XenServerのI/Oアーキテクチャ
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
2008/8/21
ストレージ管理
XenServerがローカルストレージ、iSCSIストレージまたはFC-SANストレージと接続している場合には、ストレージ管理を論理ボリュームマネージャ(LVM)で行う。ただし、NFSを使用している場合には、NFSサーバのファイルシステムを使用する。また、ネットアップのNASrをiSCSIで接続した場合には、Storage Delivery Service(SDS)の機能が使用できる。SDSの機能の詳細については、次回説明する。
XenServerはLinuxのLVMを使用しているため、LVMの機能であるスパニングやストレージプールの容易な拡張、RAID構成などフレキシブルなストレージ管理が可能である。仮想ディスクは仮想マシン作成時に論理ボリューム(LV)として自動的に作成され、仮想マシンに割り当てられる。そのため、仮想ディスクはXenServerからはrawディスクとして見え、仮想マシンからパーティションレイアウトを作成し、ゲストOSのファイルシステムでフォーマットを行う。
以前のXenServerでは、XenServerがフォーマットしたext3ファイルシステム上で仮想ディスクをVHD(Virtual Hard Disk)形式のファイルとして管理していた。しかし、ファイルシステムのオーバヘッドを考慮し、現在のXenServerはファイルシステムを使った仮想ディスクの管理をデフォルトでは行っていない。
図5 仮想ディスクは論理ボリューム(LV)として自動的に作成される |
論理ボリュームはサイズの変更を行うことができる。論理ボリュームのサイズの変更はすなわち、仮想マシンが使用する仮想ディスクのサイズの変更である。XenCenterから仮想ディスクのサイズの変更を行うと自動的に論理ボリュームのサイズの変更が行われる。例えば、仮想ディスクの1つを8GBから20GBに拡張を行うと、自動的に論理ボリュームも20GBに拡張される。
しかしXenServerでは、この操作によって仮想ディスクのサイズを小さくすることができないことに注意が必要である。サイズの変更は仮想ディスクの拡張のみである。また、ゲストOSの中ではパーティションが拡張されたわけではない。拡張したディスク領域を新しいパーティションでフォーマットするか、パーティション自体の拡張処理が必要となる。
画面4 ゲストOSのディスクの管理画面。ディスクサイズを8GBから20GBに拡張してもパーティションが自動的に拡張されるわけではない |
ディスクのパスを冗長化させるにはマルチパスの機能を使用する。ストレージがiSCSIまたはNFSを使用している場合には、ネットワークのボンド機能を使用することによるマルチパス構成が可能となる。SANストレージを使用する場合のマルチパスはLinuxのdevice-mapper-multipathの機能を使用する。
ローカルディスク |
ファイバチャネル | iSCSI | NFS | ネットアップ接続 | |
共有ストレージ | YES | YES | YES | YES | |
仮想ディスク | LV |
LV | LV | ファイル(VHD) | LV |
シンプロビジョニング | YES | YES | |||
仮想ディスクのサイズ変更 | YES | YES | YES | YES | |
ファーストクローン |
|
YES | YES | ||
マルチパス |
|
YES | NICボンディング | NICボンディング | NICボンディング |
表 ディスクの接続形態と機能の関係 |
今回は、XenServerのI/Oアーキテクチャを解説した。I/Oにかかわる制御・管理はすべてコントロールドメインで行っており、Linuxの機能を使用するため、Linuxの側面から見ていったが、ほとんどすべてはXenServerの管理ツールであるXenCenterから設定し管理することができる。また、コマンドを使用して管理を行う場合でもXenServerのコマンドを使用するため、利用者はXenServerを使用するためにLinuxの知識をまったく必要としない。
一方で、これらI/Oの機能は実績のあるLinuxの機能を使用しているため、安定性やセキュリティの点で優れているといえる。
次回は、XenServerが提供するツール類について解説を行う。
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Index | |
第3回 XenServerのI/Oアーキテクチャ | |
Page1 XenServerのI/Oアーキテクチャ ネットワークの管理(1) |
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Page2 ネットワークの管理(2) |
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Page3 ストレージ管理 |
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