第5回 XenServerのハードウェア要件
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
2009/1/15
XenServerは、幅広いハードウェアへの対応というメリットがある。しかし、最低限の要件があり、稼働後の運用を考えた場合に考慮すべきポイントもある。連載「XenServerを極める」の第5回として、XenServerのハードウェア要件を解説する |
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今回は、XenServer導入の要件として、サーバ機とストレージをどのように選定すべきかを考える。ご存じの通り、XenServerはネットワークカードなどのデバイスドライバを含んでおり、ストレージのマルチパス機能も標準で提供している。シトリックス・システムズとハードウェアベンダは互いに協力し、サーバ、ストレージそしてデバイスがXenServerで問題なく動くかどうかをテストし、テストにパスしたものをハードウェア互換性リスト ― Hardware Compatibility List(HCL)として公開している。特に本番用途でXenServerを使用する際には、HCLを参照し、サポートされているハードウェアで構築することを強くお勧めする。なお、HCLは以下のページで参照することができる。
http://www.citrix.com/English/ps2/products/subfeature.asp?contentID=1680966
XenServerを導入するサーバを検討するに当たっては、サーバのサイジングが不可欠となる。仮想化では複数の仮想マシンを同時に動かすため、通常はキャパシティプランニングを実施し、求めるサーバのサイジングを行うことが一般的である。サイジングについては次回で詳細に解説することとし、今回はベースとなるサーバをどのように考えるかについてのヒントを紹介する。
XenServerの要件
XenServerを動かすためには、最低限の要件がある。
■X86アーキテクチャの64bit CPU
XenServerが採用しているXenハイパーバイザはx86 CPUだけではない。Itaniumや、最近ではARM CPUへの対応も予定している。しかし、XenServerはx86の64bitで動作する。最近のインテルとAMDのCPUで64bit機能をサポートしていないものはないが、少し古いサーバでXenServerを使用する際には注意が必要だ。
■CPU仮想化支援機能
XenServerはLinuxゲストOSを実行する場合、準仮想化カーネルを使用し、ゲストOSの中でCPU仮想化への対応を行っているが、WindowsゲストOSではCPUの仮想化支援機能を使用する。そのため、WindowsゲストOSの使用を考える場合には、Intel VT-xまたはAMD-Vがサポートされているサーバを用意する必要がある。これも、特にサーバ用途のCPUにはほぼ組み込まれている機能であるが、XenServerを使用する際には確認した方がいい。
インテルCPUのサーバでは、サーバのBIOSで仮想化機能が無効(Disable)になっている場合が多いため、XenServer上でWindowsゲストOSを使用する際には、BIOS設定画面で仮想化支援機能が有効(Enable)になっていることを確認することをお勧めする。
AMDのCPUを搭載した一部のサーバには、AMD-Vをサポートしていないものが存在する。いくらCPUがAMD-Vの機能を持っていても、サーバでAMD-VをサポートしていないとAMD-Vの機能が使用できない。HCLに記載されているハードウェアはそのようなことはないため、HCLに記載されているサーバを使用するか、記載されていないハードウェアを使用する際には、ハードウェアベンダに問い合わせをしていただきたい。
また、AMDのCPUには、メモリの仮想化支援機能であるRapid Virtualization Indexing(RVI)の機能をサポートしているものがあるが、この機能はXenServerでは必須ではない。しかし、RVIの機能をXenServerから使用してメモリの仮想化を効率的に使用することは可能である。XenServerはデフォルトでRVIを使用しない設定となっているため、RVIをサポートしているCPUでRVIを使用するためにはXenServerで機能を有効(Enable)にする必要がある。
XenServerのメモリ仮想化機能は非常によくできているため、現在ではCPUによるメモリの仮想支援機能を使用しなくてもパフォーマンスの問題は発生しない。
■物理メモリ
XenServerは最低1Gbytesのメモリを必要とする。XenServerのインストーラは、インストール時にサーバのメモリ容量をチェックする。1Gbytes以下のメモリしかない場合にはインストールを進めることはできない。なお、XenServerが使用するメモリは物理サーバに搭載されているメモリ容量に対して328Mbytesから880Mbytesの間で自動的に割り当てられる。
■ネットワークインターフェイスカード(NIC)
XenServerでは100Mbps以上のNICが1枚以上必要である。このNICは管理用ネットワークのために使用される。管理用ネットワークは、XenServerの管理ツールであるXenCenterとの接続、XenServer間の通信などに使用されるネットワークであるが、仮想マシンが使用するネットワークと同居させることも可能である。
■ディスク容量
XenServerをインストールするには16Gbytes以上のディスク領域が必要である。XenServerのインストーラはインストール時にディスク領域をチェックし、XenServerのインストールディスクとして16Gbytes以上確保できなければ、インストールを進めない。インストールディスクはサーバのローカルディスクまたはファイバチャネルで接続されたストレージをサポートし、ファイバチャネルで接続したストレージにインストールした場合には、SANブートの構成となる。
XenCenterの要件
XenCenterはWindows OSにインストールし、XenServerと仮想マシンを一元的に管理する管理ツールである。XenCenterをインストールするには以下の要件がある。
サーバシステム:x86ベースのシステム
OS:Microsoft Windows 2000、Windows XP、Windows Server 2003、Windows Vista
OSコンポーネント:.NET Framework 2.0以降
CPU:1GHz以上を推奨(最低750MHz)
メモリ容量:512Mbytes以上
ディスク容量:100Mbytes以上
NIC:100Mbps以上
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Index | |
第5回 XenServerのハードウェア要件 | |
Page1 XenServerの要件 XenCenterの要件 |
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Page2 XenServerの購入 リテール製品 OEM製品 |
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Page3 ストレージの選定 XenServer用ストレージ 仮想ディスク用ストレージ |
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