Adobe CS6/Creative Cloudは現場の負担を減らすか

Adobe CS6/Creative Cloudは
現場の負担を減らすか


CreateJSでFlash ProからHTML5の書き出しも


有限会社オングス
杉山貴章
2012/4/24

開発者/デザイナ向けCS6とCreative Cloudの全容

- PR -

 アドビ システムズ(以下、アドビ)は4月23日、「Adobe Creative Suite 6」と「Adobe Creative Cloud」の提供を2012年5月11日より開始することを発表した。

 「昨今のIT市場では、一昔前と比較してコンテンツの制作と流通のフローが様変わりしている」と、同社マーケティング本部 古村秀幸氏は指摘する。その根底には、多種多様なデバイスの登場、リッチなデザインやインタラクティブ性に対するニーズ、流通経路の多様化などといった要素がかかわってくる。

 そして、このことによってコンテンツのクリエイターや、そのクリエイターをサポートするツールベンダは大きな変革の時期を迎えている。その中でアドビが新たに送り出すのが、「Adobe Creative Suite 6」(以下、CS6)と、「Adobe Creative Cloud」(以下、Creative Cloud)である。

CS6では、ついに単体製品のサブスクリプション版も

 CS6は、同社が長年に渡って提供してきたクリエイティブ製品群「Creative Suite」の次期バージョンに当たるもので、現行の「Creative Suite 5.5」の後継となる。

 CS6は、従来どおりのパッケージ形式での販売に加えて、サブスクリプション形式による販売モデルが用意されている。Creative CloudのメンバーになればCS6に含まれる全製品が利用できる(後述)ため、実質的には、これが「CS6のサブスクリプション」といえる。それに加えて、以下の製品は、単体でのサブスクリプション販売も行われる。

  • Photoshop
  • Illustrator
  • InDesign
  • Dreamweaver
  • Flash Professional
  • Premiere Pro
  • After Effects
  • Audition
  • Speed Grade

 またMuseEdgeも、今夏リリース予定の日本語版から単体サブスクリプションでの提供が開始されるという。単体製品サブスクリプションの価格は、1製品につき年間プランで月額2200円、月々プランで月額3200円となる。サブスクリプション版の場合、追加料金なしで常に最新のバージョンを入手できるというメリットがある。

Creative Cloudは月額5000円

 一方Creative Cloudは、CS6をはじめとしたクリエイティブ製品の数々とクラウドベースのサービスを統合した新しいソリューションである。アドビは4月23日、この両製品の提供を2012年5月11日より開始することを発表し、同時にアドビストアでの予約が可能になった。

 気になる価格体系だが、Creative Cloudはサブスクリプションでの提供となり、個人向け年間プランで月額5000円、月々プランで月額6000円となっている。そのほか学生・教職員版、グループ版、学生・教職員向けグループ版のバリエーションが用意されている。

 また、すでにCS3.x、CS4.x、CS5.xのいずれかの製品を持っているユーザーに対しては、2012年8月31日購入分までは1年間月額3000円となる発売記念版が提供されるとのこと。

Creative Cloudの価格とバリエーション(グループ版について、図では「2012年度内を予定」となっているが、Creative Cloud公式サイト内のFAQによればリリース予定は「2012年上半期」とのこと)

 Creative Cloudは、大きく分けると「Creative Service」「Creative Apps」「Creative Community」の3つのサービス・製品群から構成される。いずれも、メンバーになれば追加料金なしで利用可能だ。

Creative Cloudで提供される3種類のサービス

クラウドを生かしたWebサービス、Creative Service

 Creative Serviceとしては、次に挙げるサービスが利用可能となる。

  • デバイスとパソコンの同期
  • 20Gbytesのクラウドストレージ(グループ版は100Gbytes)
  • Business Catalyst
  • Typekit
  • Digital Publishing Suite Single Edition

 Business Catalyst、オンラインビジネスサイトの運営・管理が可能なターンキー型Webホスティングサービス。Creative CloudメンバーはStarter Editionに相当するエントリレベルを利用できる。ただし、提供されるのはWebホスティング機能のみであり、Business Catalystに用意されたCMSやeコマースなどのビジネス機能が使えない。

 Typekitは、Web上で利用可能なクラウドベースのフォントサービスであり、Creative CloudメンバーはPersonal Edition相当のエントリレベルの利用が可能となる。ただし、現時点で利用できるのはRoman Fontのみであり、2バイトフォントには対応していない。

 Digital Publishing Suite(DPS) Single Editionは、クラウドを利用した電子出版アプリ制作サービスで、InDesignと連携し、パンフレットやポートフォリオ、ビジュアルブックなどといったインタラクティブな電子コンテンツを手軽に制作し、iPad向けに発行できる。

 通常、Single Editionでは作成できるアプリケーションが1ライセンスにつき1つのみとなっているが、Creative Cloudメンバーの場合は作成できるアプリ数に制限がない。DPS Single Editionは2012年夏に追加で利用できるようになる予定となっている。

CS6+デザイナ向けスマホアプリ群、Creative Apps

 Creative Appsでは、CS6のMaster Collectionに含まれる全ツールと、EdgeとMuseのプレビュー版、そしてタブレット端末向けにリリースされている以下の6種のTouch Appsが利用可能となる。

  • Adobe Kuler:カラーテーマ作成ツール
  • Adobe Photoshop Touch:タブレット版Photoshop
  • Adobe Collage:ムードボード作成ツール
  • Adobe Proto:Webサイトのワイヤーフレーム作成ツール
  • Adobe Debut:タブレット用プレゼンツール
  • Adobe Ideas:手書きベクトル描画ツール

 Edgeは2012年夏にバージョン1.0が、Museは同じく2012年夏に日本語正式版がリリースされる予定であり、それ以降はプレビュー版に変わって正式版が利用できるという。また、2012年夏にはAdobe Lightroomも追加で利用できるようになる予定だ。

 なおCreative Cloudのメンバーは、同一人物が使う場合に限り、同じCS6アプリを最大で2台のPCまでインストールしてアクティベーションできる。これはメインマシン/サブマシンを使い分けているようなケースを想定したもので、異なるOS版(Win版+Mac版)や、異なる言語版(日本語版+英語版など)の組み合わせも可能。ただし、同時起動はできないという。

 Touch Appsは、現時点でAndroid向けには6種類すべて、iOS向けにはPhotoshop Touchのみがリリース済みだが、ほかのiOS版もCreative Cloudのサービスインとほぼ同時にリリースされる見込みだ。

アイデア/制作物をクラウドで共有、Creative Community

 Creative Communityには、アイデアや制作物をオンラインで共有するサービスためのサービスが提供されるという。ただし、Creative Communityは2012年内リリース予定で、具体的にどのようなサービスが含まれるのかという詳細は明らかになっていない。

 Creative Cloudが発表された2011年のイベント「Adobe MAX」では、Creative Communityによるサービスの一例として、制作物をコミュニティに投稿して採点し合ったり、仲間との共同制作をサポートするような機能が挙げられていた。そのほか、サポートの強化やオンライントレーニングサービスなどが提供される予定だ。

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 INDEX
Adobe CS6/Creative Cloudは現場の負担を減らすか 
CreateJSでFlash ProからHTML5の書き出しも
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開発者/デザイナ向けCS6とCreative Cloudの全容
CS6では、ついに単体製品のサブスクリプション版も
Creative Cloudは月額5000円
クラウドを生かしたWebサービス、Creative Service
CS6+デザイナ向けスマホアプリ群、Creative Apps
アイデア/制作物をクラウドで共有、Creative Community
  Page2
CS6で一層パワーアップしたデザインツール群
Creative Cloudで何が変わるのか
WebツールはHTML5のサポートをさらに強化
アドビ、そしてデザイナ・開発者の挑戦の行方は

 


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