キーワードキーワードに見る2002年のサーバ・トレンド2. 次世代情報システムを表すキーワード デジタルアドバンテージ |
次世代コンピューティングのコンセプト
インターネット・ビジネスにおけるサーバ・システムでは、これまで3ティア・モデル(3階層モデル)が望ましいといわれてきた。実際、インターネット証券やインターネット銀行などのインターネット・ビジネスを手掛ける多くの企業が、この3ティア・モデルを採用してきた。しかし、インターネット・ビジネスの拡大とともに、スケールアウトなどの手法により、実に多くのサーバがデータセンターに並ぶことになった。用途などによって種類の異なるサーバがあふれていることから、サーバのメンテナンスやソフトウェアの更新など、システム管理の手間が煩雑になり、管理者の手に負えなくなりつつある。そのため、新たなデータセンターのコンセプトが求められていた。それにこたえる形で、Sun MicrosystemsやIBM、Intel、Hewlett-Packardなどが新たな情報システムのコンセプトを発表している。各社に共通しているのは、情報システムの仮想化と自律型コンピューティングである。
■モジュラー・コンピューティング | ||||||||||||||||||
Intelが提唱する次世代のコンピューティング環境の概念。ハードウェアやソフトウェアなどが、自己修復システム/フェイル・オーバー/動的なパフォーマンス最適化などの機能を持ち、自律的に運用されるというもの。2005年ごろにモジュラー・コンピューティングを実現したシステムが構築できるとしている。 | ||||||||||||||||||
■N1 |
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Sun Microsystemsが提唱する次世代の企業情報システム(データセンター)である(「IT Market Trend:第16回 Sunの新たな戦略:N1とは何か?」参照のこと)。サーバやストレージ、ネットワークなどの情報システム資源を「リソース集合体」として仮想化し、リソースを使用する単位をサービスと定義している。ユーザーは、どのようなサービスをどのリソースに割り当てるかといった情報をあらかじめ定義することで、システムの利用を行うことになる。N1では、自動的にリソースが配分され、リソースの管理なども行われる。N1は、以下のロードマップに沿って実装される予定である。
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■Project eLiza | ||||||||||||||||||
IBMが推進する自律型コンピューティングのプロジェクト。現在は、「Autonomic Computing Initiative」に発展している。 | ||||||||||||||||||
■Autonomic Computing Initiative | ||||||||||||||||||
複雑化するシステム管理を容易にするためにIBMが推進している「自律型コンピューティング」への取り組み。Project eLizaを発展させたもの。Autonomic Computing Initiativeでは、以下の4つの要素によって構成される。
すでにIBMが提供するシステム運用管理ソフトウェア製品群「Tivoli」などがAutonomic Computing Initiativeへの対応を始めている。 |
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■Service Centric Computing | ||||||||||||||||||
Hewlett-Packardが提唱する、ユーザーがリソースを意識することなく、必要とするサービスを必要なときに利用できるというコンピューティング環境のコンセプト。Service Centric Computingを実現するインフラストラクチャ・コンセプトが「hp Adaptive Infrastructure」である。 | ||||||||||||||||||
■hp Adaptive Infrastructure |
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Hewlett-Packardが提唱するService Centric Computingを実現するインフラストラクチャ・コンセプト。システム全体のワークロード・バランス機能などにより、コンピュータ・リソースを瞬時に分析した最適なリソースへのアクセスを確保可能にするインフラストラクチャのこと。hp Adaptive Infrastructureを具現化した大規模データ・センター・ソリューションが「hp Utility Data Center(hp UDC)」である。 | ||||||||||||||||||
■hp UDC(hp Utility Data Center) | ||||||||||||||||||
hp Adaptive Infrastructureを具現化した大規模データ・センター・ソリューション。 これまでのデータセンターは、用途の異なるサービスごとにシステムが構築されていたため、環境変更に高いコストが必要になったり、システムの柔軟性が欠けていたりした。こうした問題を解決するため、hp UDCでは、サーバ、ネットワーク、ストレージの機器をすべて仮想化しており、システム管理者はシステムを構築するために必要な機材を仮想域(リソース・プール)から選択することで利用することになる。hp UDCの特徴として、以下のことが挙げられる。
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■PBCS(Policy-Based Computing Service) |
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ガートナーが提唱する次世代のコンピュータ・システム。PBCSでは、システムが自己管理や自己修復機能を持ち、業務ルールに基づくポリシーに従って、自己チューニングや資源再配置を行う。Sun MicrosystemsのN1やIBMのAutonomic Computing Initiativeなどと同様のコンセプト。 |
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日本国内のサーバ市場は、2002年第2四半期から大きな落ち込みを見せている。調査会社のIDC Japanによる「2002年第3四半期の国内サーバ市場動向」によれば、「製品カテゴリ別に見ると、IAサーバの落ち込みが特に激しく、出荷金額は前年同期比18.2%減と、第2四半期の前年同期比23.5%減に続いて大幅な減少を記録している。これで前年同期割れは4期連続となる」という。長引く不況により、IT関連投資が減速していることがうかがえる。一方で、Intel XeonファミリやItanium 2の出荷や、2003年第2四半期に出荷予定のWindows .NET Serverなど、2003年には新たな買い替え需要の発生が期待されている。各社が提案する新たな情報システム・コンセプトなど、これからもサーバには大きな動きがありそうだ。2003年はどういったキーワードが登場するのだろうか。
関連記事 | |
第16回 Sunの新たな戦略:N1とは何か? |
関連リンク | |
次世代ネットワーク・データセンター・ アーキテクチャー「N1」のロードマップを発表 | |
Project eLizaの情報ページ | |
Autonomic Computing Initiativeの情報ページ | |
hp Adaptive Infrastructureに関するニュースリリース | |
hp Utility Data Centerに関するニュースリリース |
INDEX | ||
[キーワード] キーワードに見る2002年のサーバ・トレンド | ||
1.1.2002年のサーバ動向を表すキーワード | ||
2.次世代情報システムを表すキーワード | ||
「System Insiderのキーワード」 |
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