キーワード最新の無線技術が分かるキーワード鈴木淳也2004/05/27 |
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Intelが無線LANに力を入れていることもあり、ノートPCにおける無線LANはもはや標準機能となりつつある。駅やコーヒーショップなどには、公衆無線LANインターネット・サービスのアクセス・ポイントが置かれ、会社員がそこでメールのチェックをしている光景をよく見かける。
IT不況のあおりをもろに受け、長らく低迷していたネットワーク業界だが、このように市場が盛り上がりを見せ始めていることもあり、各社は「Anytime, Anywhere」というキーワードを掲げ、無線対応製品の売り込みに熱を上げている。米市場調査会社In-Stat/MDRのデータによれば、2003年のWi-Fi対応機器の出荷数は2270万台と、2002年と比較して3倍規模にも成長していたという。またIntelやMicrosoftなどIT業界のメインプレイヤーたちはホーム・ネットワーキングでの無線技術活用を盛んに喧伝している。各社とも、数年先をにらんだ製品や技術開発にリソースをつぎ込んでおり、市場全体に活気が戻りつつあるようだ。
無線ネットワークには、大きく分けてWPAN(Wireless Personal Area Network)、WLAN(Wireless Local Area Network)、WMAN(Wireless Metro Area Network)、WWAN(Wireless Wide Area Network)の4つの形態がある。それぞれは距離によって区別され、利用形態や使用する製品も大きく異なってくる。
PANは10m未満の至近距離をカバーする無線ネットワークで、周辺機器などの接続に用いられることを念頭に置いている。将来的にUSBの代替になる規格だ。WLANはすでに利用しているユーザーが多いことからも分かるように、この中では一番メジャーな規格である。カバー範囲は建物内や同一フロア、遮へい物のない状態で100〜200mとなっている。WMANは中距離無線LANなどとも呼ばれるネットワークのことで、数km〜数十kmの範囲をカバーする。WWANは主に携帯電話など、移動体通信規格を総称して1つのカテゴリとして呼ぶ場合に使用されることがある。WLANを除けば、どの分野もまだ発展途上の段階にあり、各社が技術開発にしのぎを削っている状態だ。
いち早く市場でメジャー・デビューを果たしたWLAN(無線LAN)では、現在セキュリティ技術の実装が最もホットなトピックとなっている。その便利さが認知され、広く広まった無線LANだが、次第に企業ベースでの導入が増えたことで、安全性の問題が大きく取り上げられるようになった。新聞や雑誌などで、官公庁などで無線LAN経由での情報漏えいが盛んに書きたてられたことが記憶に新しい。これは社会的な問題であると同時に、無線LAN技術が広く浸透して、普及期から成熟期に向かいつつあることを象徴する出来事ではないだろうか。
ここでは、今後数年の無線技術動向を理解するために必要な最新キーワードをいくつかまとめ、解説している。標準化完了までまだ時間がある規格も含まれるが、トレンドを理解する上で重要なキーワードなので覚えておきたい。
次世代無線技術 | |||
UWB | WiMedia | MBOA | MIMO |
WiMAX | IEEE 802.11h | TD-SCDMA | TD-SCDMA(MC) |
無線セキュリティ技術 | |||
IEEE 802.1x | EAP | IEEE 802.11i | WPA/WPA2 |
TKIP | AES | WAPI |
では、次ページから次世代無線技術に関するキーワードを解説しよう。
INDEX | ||
[キーワード] | ||
最新の無線技術が分かるキーワード | ||
1.次世代無線技術に関するキーワード | ||
2.無線セキュリティ技術に関するキーワード | ||
「System Insiderのキーワード」 |
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