Windows 7で、どんだけ“おばか”なアプリが作れるの?

Windows 7で、どんだけ
“おばか”なアプリが作れるの?

おばかアプリ座談会

@IT編集部
2010/3/4

センサもいろいろ、“おばか”もいろいろ

――それほど“おばか”ではなくてもいいのですが、マイクロソフトさんではWindows 7のセンサAPIの機能を生かして、どのようなデモを作っていますか?

太田 例えば、ロケーション系ですね。GPSで緯度・経度を測り、どこを通ったかをBing Mapsに表示するアプリがあります。ハンドグローブにフリースケールさんの加速度センサを5つ付けて、ナポレオン(トランプゲーム)を3Dでやったり、ピアノをひいたりですね。それから、部屋の中に温度センサが散らばっていて、部屋の温度が何度なのかを表示するものもあります。ほかには、体重計ですね。データを使ってメタボの管理をしてお医者さまに見てもらうと。

長坂 後、電源もありますね。

太田 電源は、電源タップに電流と電圧のセンサが入っていて、無線のZigBeeを通してPC上で、電気をどれだけ消費してCO2をどれだけ消費しているかが分かるアプリをいま作っています。

山本 技術的には、Windows 7に「センサのドライバをどう作るか」の規格を作ったりするんですか?

太田 そうですね。アプリ側で使うためのAPIと、デフォルトで定義しているセンサの種類と、そのセンサがどういうデータを供給するかの定義がありますね。

瀬尾 先ほど、傾きを検知するジャイロのお話をしていましたが、どういったセンサですか?

マイクロソフト 太田氏
マイクロソフト 太田氏

太田 ジャイロは、いわゆる角速度ですね。動かしたときにどれぐらいの速度で動いたかを測ります。

瀬尾 どれくらいの速度で曲がったかですか?

太田 曲がったかというより、動いたかということですね。いわゆる加速度センサだと、ある位置から別の位置へと動いたときの速度を測りますが、それだけだと位置が特定できません。

瀬尾 移動量が測れるということですか?

太田 移動量というより、角度ですね。何秒間にどれだけ動いたかというか。

林 それだと、ゴルフの練習などにも使えますか?

太田 できるでしょうね。

――ゴルフの練習というと、Wii Fit Plusにもありますね。

太田 ありますね。実はWiiをWindows 7のセンサ&ロケーションに対応させるドライバもオープンソースで出ています。

長坂 じゃあ、後はアプリを作るだけだと。

太田 そうですね。

――Wii Fitといえば、第3回おばかアプリ選手権でサイバーエージェントの渡辺さんは「レッツGYU-DoooN(牛丼)SUPER GYU-DON SENSOR AT」という、Wiiのバランスボードの上に牛丼を乗せて、そのご飯と汁の量を測って、いかにおいしく作るかというアプリを披露していましたね。

渡辺 (Windows 7のセンサAPIを使うと)温度や気圧も測れるので、もっと精密においしい牛丼が作れるようになりますね。使ってみたいです。

――気圧によって、味が変わるということですか?

渡辺 きっと、違うと思います。

瀬尾 気圧によって水の沸点が違うとか?

林 お米の炊き方の話ですね。

――一流の料理人は、日々の温度や湿度などで料理の仕方を変えるといいますからね。

太田 ほかにも、センサだと「移動する」というのがありますね。GPSを使って。

林 こっそり仕込んでおいて、浮気調査みたいな。

太田 Windows 7の端末をこっそり背中に縫い付けておく。

瀬尾 浮気調査を支援するツール。

渡辺 温度センサも使って、「いま、体温上がったから怪しいな」みたいな。

太田 ほかにも、人感センサもありますね。そのセンサの前に人がいると、「いる」と認識し、センサの前から人がいなくなると「いない」と認識するセンサがありますね。まあ、赤外線センサですね。人感といいながらも、人間以外でも感知します。

林 人が近づいてきたら、画面を変えるとなどですか?

太田 それは、できますね。

林 mixiをやっていても、上司が近づいてきたら、Wordに変えるとか。

太田 それも……、できますね。上司にモテモテになるから、モテ部門のアプリですね(笑)。

瀬尾 女子が近づいてきたら、Hなサイトが「ニューヨーク・タイムズ」などに一瞬で変わったり。

太田 でも、脳波を見ると、まったく集中していないのが、バレバレだと。

瀬尾 いいですね。

林 ライフハックだ。

瀬尾 ライフハックだね。

太田 ほかにも、ディスプレイを揺らすと、画面も揺れるアプリもできますね。

林 揺らすと、海の音が聞こえるアプリとか。

瀬尾 ザザーンッと。

太田 Aeroプレビューも上手く使うと、面白いアプリができそうですね。

長尾 そうですね。Aeroシェイクなども上手く使ってデスクトップアプリ系はいろいろと作れると思いますね。

太田 デスクトップまわりはWindows 7でも、かなり機能強化されているので、マルチタッチと組み合わせなどすると面白いと思います。

ダジャレから“おばか”なアイデアを考える

――いろいろとアイデアが出てきましたが、ここで一度「おばかWindows 7アプリ選手権」で募集している7部門について、ご意見を伺いたいと思います。3D・AR・センサ・マルチタッチ・デスクトップ・仕事でも使えてモテモテ・連射とありますが、この中で参加してみたい、もしくは参加しやすいと思えるのはどの部門でしょうか。

林 Webをやっていると、ARが身近になってきているので、ARはアイデアを出しやすいかなと思います。3Dは扱ったことがないので、何とも……。ARでマーカーをスイッチにして使うアプリを作っているので、くだらないアイデアが出せそうです。

瀬尾 ARは、“ごろ”が良いので、間違えたARのアイデアを勘違いして出せそうな気がします。Argumented Realityではなく、何か……。例えば、「Argumented Rhythm」だとカッコイイですね。

――「拡張リズム」ですか。

瀬尾 何か間違えたものを拡張してきたいですね。「そこじゃないだろう」みたいな。結構、ダジャレからアイデアを考えることが非常に多いので。

――「パンティノン神殿」なども、ダジャレを先に思い付いて、そこからアイデアに結び付いたのでしょうか?

面白法人カヤック 瀬尾氏と林氏
面白法人カヤック 瀬尾氏と林氏(左から)

林 いや、「取りあえず下着を扱いたい」という想いが先行していて、開発よりもタイトル出しの方が時間がかかったよね。

瀬尾 Skypeのログにボツネタが感動的なぐらいいっぱい残っていて、「パン・ティン・アレイ」「ティンパーランド」など、あまり伝わらないものありました。

林 「ティンパーランド」は、それを聞いたときに、ブランド名を知っている人じゃないと分からないから、「まだダメだよね」といいあっていました。

瀬尾 朝から昼過ぎぐらいまでSkypeに5人ぐらい集めてちょいちょいネタ出ししていました。その後、林が「ちょっと外の空気吸ってくる」と休憩して帰ってきたら「はっ、パンティノン神殿」みたいな。

――ギリシャまで飛んだんですね。

瀬尾 そうです。そうしたら、あの形になりました。

マウスの使い方に革命を起こした「アクトトイレ」とは

――そういう意味では、ネーミングというのも、おばかアプリですは重要ですね。特に、今回は公募するので、ネーミングによって注目度が変わると思います。例えば、第3回おばかアプリ選手権でチームラボさんが披露した「らぼかへ」「アクトトイレ」はネーミングでも苦労しましたか。

山本 「らぼかへ」は、いまも実際に使われていますが、チームラボで開いたカフェという意味で、名前はまったくこだわりません。

――短くてシンプルな名前というのも覚えやすくていいのではないかと思いますが。

山本 携帯電話のコンセプトモデルで「ACTFACE(アクトフェイス)」というのがありまして、触るということに別の価値を付加することを目指しています。「アクトトイレ」は、トイレットペーパーを回すことに別の価値を付加するということです。

――「アクトトイレ」は、トイレットペーパーを回しているのを、その上に乗っけたマウスの赤外線のセンサで感知して、それに合わせて画面上のネズミのキャラクターが地球を回るというアプリですね。

山本 「トイレに癒しを」ということで。

瀬尾 マイクロソフトさんの最新鋭のセンサを使っていますね。

――マウスの画期的な使い方が優勝につながったのではないかと思いますが。

太田 ほおー。

長坂 これはすごい。

高須 次のバージョンでは、紙をちぎりやすいマウスにしたいですね。

林 ああー、いいですね。

長尾 これを作ったときは、アイデアが先に出てきたんですか?

山本 「トイレに癒しを」というのが、先にあって普通に問題解決してということです。

長尾 なるほど。そのときにマウスだったらいけそうだと。

山本 そうですね。最初はロータリーエンコーダのような普通のセンサで回転を感知するなどしていましたが、いろいろと試すうちにマウスでいいのではないかと。初めてマウスを付けたときは自分でも笑いましたね。

――マイクロソフトさんとしては、想定していなかった使い方なのではないでしょうか。

長尾 たしかに、これは想定していなかったですね。

長坂 こんなユーザビリティテストは行わないですからね(笑)。

太田 逆に、面白いのでいっぱい紙を使ってしいませんか?

山本 そうですね。それで、改良したバージョンでは、たくさん回すとネズミのキャラクターが疲れて、最後に死んでしまうようにしました。コンテンツでエコにしようと。

――第3回の発表の場では気付かずに、後で気付きましたが、マウスを使っているところからネズミ(マウス)のキャラクターを使うことにしたのでしょうか?

長坂 そういうオチが重要だと。

山本 結果的に「マウスだけに」みたいになってしまいましたが、最初はそういうつもりではなかったですね。

瀬尾 やはり、ダジャレは強いですね(笑)。

――ダジャレから先に思い付いて何かを作るというのも、おばかアプリの発想の1つとしてはいいかもしれませんね。

瀬尾 メッセージ性を求めると、ネーミングから入っちゃいますね。曲を作るのに詞から書き始めるみたいな話で(笑)。

長坂 ダジャレ部門があっても、いいんじゃないですか?

――ダジャレ部門はないですが、アイデアだけを投稿するコーナーもあります。

林 アイデアだけでも投稿できるんですか?

――いままでのおばかアプリ選手権では、「デザイナとプログラマのチームワークを競う」のが、テーマの1つとしてありましたが、今回は「デザイン+プログラム+アイデア」でおばかアプリを作っていただきたいと思っています。アイデアを専用コミュニティの掲示板に投稿して、それを見たデザイナ/プログラマの方が気に入ったものを実装するという流れですね。「アイデアだけは出せる」という方と「アイデアは出せないけど、実装はできる」という方でチームを組んでアイデアと実装が上手くマッチングできれば、ありがたいです。

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 INDEX
おばかアプリ座談会
Windows 7で、どんだけ“おばか”なアプリが作れるの?
  Page1
“おばか”なアプリを作るための発想の源も探る
Windows 7のAPIで扱えるセンサは、こんなにある
脳波を使うと、どんなおばかアプリが作れるのか
マルチタッチのみならず、マルチマウスもできる!?
Page2
センサもいろいろ、“おばか”もいろいろ
ダジャレから“おばか”なアイデアを考える
マウスの使い方に革命を起こした「アクトトイレ」とは
  Page3
Windows 7のマルチタッチの良さは、“大画面”にあり
脳波アプリは、流行るのか?
アプリに“連射”は不要。だからこそ逆に……
アプリ作成ツールは? Windows 7 SDKとは?
デスクトップガジェットはHTML+JavaScriptで作れる!
デザインツールは、まず無料の試用版から
“おばか”な発想や受賞のコツとは


「デザインハック」コーナーへ



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