Flexフレームワークで変わるRIA開発の現場
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第6回

Flex開発のテスト・品質向上でかなり使えるツール5選


クラスメソッド株式会社
福田 寅成
2010/10/22


【2】コーディング規約を順守させる「Flex Formatter」

 ActionScriptやMXMLのファイルのフォーマットを行うのが「Flex Formatter」です。具体的にはコーディング規約を順守させる際に利用するツールです。

 大規模案件ではコーディング規約に沿ってフォーマットされたソースコードを納品することはJavaなどのサーバサイド開発の世界では当たり前です。しかし、これまではFlexでのアプリケーション開発では、コーディング規約をFlex向けに作成しても、それを順守させる方法はコーディングレビューなどの目検でのチェックしかありませんでした。

 そのため、実質的にはコーディングレビューも完全には行われず、コーディング規約は守られない状態になり、開発メンバー間でコードの書き方がバラバラになっていました。

 そういったコードフォーマットの実施を可能にしたのがFlex Formatterです。SourceForge.netで公開されているプラグインツールです。ツールをFlash Builderにインストールすることによりコードのフォーマットが簡単に行えます。

特徴

  • 豊富なフォーマット設定によりきめ細かなフォーマットが可能
  • [Ctrl]+[Shift]+[F]キーでフォーマット(EclipseのJava向けフォーマッタ同様)
  • コードの可読性の向上などの生産性向上がもたらされる

フォーマットの設定

 以下は、実際のフォーマットの設定画面です。

図3 Flex Formatterの設定画面例
図3 Flex Formatterの設定画面例

 以下は、具体的な設定カテゴリです。

  • General(一般)
  • ActionScript
  • Blank lines/spaces(空行、スペース)
  • Newlines/wrapping(改行)
  • Tweaks(微調整)
  • AS Rearranging(ActionScriptの並び替えや整とん)
  • Modifiers(修飾子)
  • Elements(要素)
  • Span/Headers(コード内セクション)
  • Copyright
  • MXML

 各カテゴリに豊富な設定があるので、社内のコーディング規約やプロジェクトごとの要件に応じていろいろとフォーマット設定を変更して試してみてはいかがでしょうか。

【3】コードを静的解析する「FlexPMD」

 FlexPMDはコードの静的解析を行うツールです。コードそのものの品質を静的にチェックします。JavaではFindBugsPMDが有名ですね。

 FlexPMDはコード品質の向上でかなり効果があります。またFlexPMDを利用すれば、作成者とはまったく別の担当者、場合によっては別の会社の品質担当者であっても容易にコードチェックできます。コードの受け入れチェックなどにも利用できます。

特徴

  • 全82ルールによる徹底的なチェック
  • 潜在的なバグのチェックが可能
  • 非推奨なコーディングのチェックが可能
  • パフォーマンスに影響しそうなコードのチェックが可能
  • メンテナンス性の低いコードのチェックが可能
  • Antによる実行が可能

 潜在的なバグのチェックやコーディング規約のチェックのみならず、ある程度ですがパフォーマンスに影響するようなコードのチェックなども可能です。

導入方法

 FlexPMDはツールの導入に少し手順が必要なので、紹介しておきます。

  1. アップデートサイトでプラグインをインストール
  2. FlexPMD本体のダウンロード(JARファイルのダウンロード)
  3. FlexPMDの設定
  4. PMDとCPDのcommand-line-1.0.jarを登録
  5. パスに半角スペースが入っていると動かない
  6. ワークスペースのに半角スペースが入っていると動かない

使い方

 FlexPMDを導入したら、FlexPMD用の設定ファイルをダウンロードしておきましょう。下記サイトからダウンロードできます。

図4 FlexPMD設定サイト
図4 FlexPMD設定サイト

 上記サイトでは設定のプライオリティ(Error、Warning、Info)の設定ができます。設定を無視する設定も、ここで行います。

 このサイトからExport可能な設定ファイルはXMLなので、デフォルトの設定ファイルを保存しておいて、それをテキストエディタなど修正することも可能です。また、エラーメッセージなどが英語ですので、設定ファイルを編集して日本語に修正することもできます。

 実行するのは、[パッケージエクスプローラー]上でプロジェクトを右クリックして[Run FlexPMD]を選択するだけです。FlexPMDを実行すると、下記のようにFlexPMDビューでエラーなどが表示されます。

図1 テストケースの作成と実行
図5 FlexPMDの実行

 下記は、FlexPMDの実行イメージです。

図 6 FlexPMD(結果)ビュー
図 6 FlexPMD(結果)ビュー

 この実行結果のイメージを見ると、FlexPMDの特徴の1つが分かります。FlexPMDの設定で「ルールに違反した場合にErrorにする」と設定した場合、赤いバッテンのErrorで警告され、その結果アプリケーションが実行できません

 ということは、警告を修正するまでアプリケーションがテストできず、結果、FlexPMDによる静的解析を開発者に対して強制できるようになります。

注意点

 基本的にプロジェクト開始時点からFlexPMDを導入していれば、警告は少量なので開発者は簡単に対応できます。ただし、プロジェクト終盤から導入したり、既存案件のソースコードを静的解析すると、大量の警告が出るので注意してください。

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 INDEX
Flexフレームワークで変わるRIA開発の現場(6)
Flex開発のテスト・品質向上でかなり使えるツール5選
  Page1
Flex開発におけるテスト・品質向上ツールの充実
【1】単体テストツール「FlexUnit」
Page2
【2】コーディング規約を順守させる「Flex Formatter」
【3】コードを静的解析する「FlexPMD」
  Page3
【4】シナリオベースのテストを自動で行う「QTP」
【5】Flash Builderの「プロファイラ」機能
基幹業務システム構築にも使える


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