Windows HotFix Briefings
(2004年9月23日版)

―― 修正プログラム適用に関する問題点、不具合情報の隔週レポート ――

DA Lab Windowsセキュリティ
2004/09/23

このHotFix Briefingsでは、HotFixの公開後に明らかになった問題点、不具合などの情報を隔週でまとめてお届けします。
 
[修正プログラム情報]
XP SP2の適用により、一部のVPNソフトウェアなどで発生していた障害に対応する修正

情報の内容 修正プログラムの提供
情報ソース マイクロソフト
報告日 2004/09/17
対象環境 Windows XP

 本来、ローカル・ループバック・アドレスは127.0.0.0/8なのだが、Windows XP SP2(以下XP SP2)を適用すると、127.0.0.1しかループバック・アドレスとして認識しなくなるという不具合がある。SSL-VPN(ブラウザのSSL通信を使って社外から会社に接続し、社内のWebアプリケーションを利用可能にする技術)を利用する製品など、一部のVPN製品の中に127.0.0.1以外のローカル・ループバック・アドレスを使うものがあり、XP SP2を適用すると、これらが正しく機能しなくなる場合がある。

 2004年9月17日、マイクロソフトは、この問題に対応するXP SP2向け修正プログラムの提供を開始した。

 
[修正プログラム情報]
Intel Prescottプロセッサ搭載PCへのXP SP2適用でシステムが起動不能になる不具合の修正

情報の内容 修正プログラムの提供
情報ソース マイクロソフト
報告日
対象環境 Windows XP

 C-0ステッピングのPrescott (開発コード名:Pentium 4またはCeleron Dプロセッサ)を搭載し、これらのプロセッサに未対応の古いBIOSを搭載したコンピュータにXP SP2を適用すると、適用後の再起動時にハングアップしてしまう不具合が報告されている。

 すでにXP SP2を適用してしまった場合には、メーカーより最新BIOSなどを取り寄せ、BIOSアップデートを行う必要がある。また2004年9月15よりマイクロソフトは、この問題を回避する修正プログラムの提供を開始しているので、XP SP2をインストールしていない場合は、この修正プログラムを事前に適用することで問題を解消できる。修正プログラムは以下のURLからダウンロード可能だ。まずは現在のWindows XPに適用してからXP SP2を適用する(この修正プログラム自体は、XP SP2適用済みのシステムにも適用できる)。

 
[XP SP2情報]
システム管理者のためのXP SP2情報(9月23日版)

情報の内容

管理者向けXP SP2情報
情報ソース マイクロソフト
報告日
対象環境 Windows XP

 前回に引き続き、システム管理者向けのXP SP2情報をまとめよう。

■Windows XP SP2対応セットアップ・ブートディスク

 ダウンロード・センターで提供されているネットワーク・インストール版のXP SP2が備える統合インストール機能(/integrateオプション)を利用すれば、Windows XP(SP0、SP1)のインストール・イメージに対してXP SP2を適用し、XP SP2の適用済みインストール・イメージを作成することができる(このような処理はスリップ・ストリームと呼ばれる)。以後、Windows XPの新規インストール時にこのイメージを利用すれば、Windows XPをインストールし、さらにXP SP2を適用するという二度手間をかけることなく、1回の作業でXP SP2適用済みのWindows XPをインストールすることができる。SPの適用には少なからず時間が掛かるので、これにより1台あたり30分〜1時間くらいは時間を節約できるだろう(実際のインストール時間はコンピュータの性能によって左右される)。

 ただしスリップ・ストリームでインストールした環境では、アンインストール情報が保存されないため、XP SP2のアンインストール(XP SP0やSP1に戻すこと)が行えなくなるので注意が必要だ。

 作成したイメージをCD-Rとして保存すれば、CDからのインストールが可能になる。一部のツールを使えば、元のWindows XPインストールCDのブート用コードを取り出し、XP SP2統合済みCDに組み込むことで、CDからブート可能なインストールCDを作成することもできる。米国では、さまざまなメディアで作成方法が解説されるなどしている(これらについては以下のコミュニティ情報が詳しい)。

 しかし一部には、このブート・コードをコピーすることが、ライセンス違反になるという意見もあり、国内のメディアは大々的には報じていないようだ。

TIPS:Windows XPのインストール用起動フロッピーを作成するには

 ライセンス問題が気になるなら、CD-ROMからのブートをあきらめて、フロッピーから起動し、その後CD-ROMからインストールするようにすればよい。ブート用フロッピーのイメージはOSバージョン(SPバージョン)ごとに異なるのだが、XP SP2に対応したイメージを含めて以下のページで提供が開始された。具体的な方法については、関連記事を参照されたい。

■ヘルプデスク業務に役立つ情報源

 マイクロソフトは、Webを利用したエンド・ユーザー向けのサポート・サービスとして「インフォメーションセンター」を運営している。エンド・ユーザー向けのサポート情報なので、システム管理者が直面する問題を直接解決することはないが、ここにまとめられたFAQ(「よくいただくお問い合わせ」と呼んでいる)を眺めると、エンド・ユーザーがXP SP2に対してどのような疑問を抱くのかが分かる。読者が、社内ユーザーの質問に答えるヘルプデスク業務も担当しているなら、以下を一度眺めておいて損はない。

■Webサーバ側で、XP SP2適用済みIEからのアクセスを識別する方法

 XP SP2を適用したIEからWebサーバにアクセスすると、次のようなUser Agent Stringが送信される。

HTTP_USER_AGENT :Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 1.0.3705)

 この「SV1」というのは、“Security Version 1”の略で、「マイクロソフト・プラットフォームの中で、最もセキュアな最新環境である」ことを示すものとのことだ。従ってこのSV1というUser Agent Stringを識別すれば、XP SP2適用済みIEからのアクセスであることをWebサーバ側で知ることができる。詳細については、以下のBLOGを参照されたい。

■そのほかの不具合情報

 新たな不具合情報が次々と公開されていることから、ここでは新しく公開された、いくつかの情報を紹介する。過去の情報、最新情報などは、次のユーザー・コミュニティのスレッドなどを参照されたい。

 
[XP SP2関連不具合情報]
XP SP2の適用によって発生するSQL Server関連の不具合

情報の内容 XP SP2の適用により発生するSQL Serverの不具合
情報ソース マイクロソフト
報告日
対象環境 Windows XP SP2/SQL Server

 マイクロソフトは、XP SP2の適用によって発生するSQL Server関連の一連の不具合について、サポート技術情報として情報を公開した。SQL Serverを利用しているネットワーク環境で、XP SP2の展開を実施するときには、これらの不具合の影響がないかどうかをあらかじめ確認する必要がある。

 なお、以下は原稿執筆時点でのもので、さらに情報が追加される可能性がある。これらについては、以下のコミュニティのスレッドをチェックしておくとよいだろう。

■ネットワーク関連

■レプリケーション関連

■Reporting Service関連

■Analysis Service関連

■SQL Server CE

■開発系

 
[ツール]
Microsoft Port Reporterツールが公開

情報の内容 無償ネットワーク分析ツール
情報ソース マイクロソフト
報告日
対象環境 Windows XP/Windows 2000/Windows Server 2003

 コンピュータへのネットワーク・アクセスの状況をログとして記録する「Microsoft Port Reporterツール」がマイクロソフトから無償提供されている。従来版からの具体的な更新内容は不明だが、今回、ダウンロード・ページのバージョンが更新された。このツールはWindows XP、Windows 2000、Windows Server 2003で利用可能である。

TIPS:Port ReporterツールでTCP/IPの通信状態を調査する

 このツールを利用することで、どのアプリケーションが、どのタイミングで、どのリソースにアクセスしているか、どのポートを使っているかをモニタできる。ネットワーク・トラフィック分析やネットワーク関連のトラブル・シューティングなどに活用できるだろう。

 
そのほかの不具合情報、追加情報
  参考リンク
  HotFix Report BBS
     
 Windows HotFix Briefings


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