Insider's Eye

Windows XP RC1 日本語が登場

.XPの真価はセキュリティ機能にあり?

デジタルアドバンテージ 小川誉久
2001/08/03

 たまたま、RC1日本語版をインストールしたマシンで、CD-ROMドライブのネットワーク共有を実行しようとした。共有のための操作はWindows 2000と同じく、エクスプローラなどでCD-ROMドライブ・アイコンを右クリックしてプロパティ・ダイアログを開き、[共有]タブをクリックすることだ。

CD-ROMドライブのプロパティ・ダイアログ−[共有]タブ
CD-ROMドライブをネットワークに公開しようと開いたところ、こんなメッセージに出くわした。Windows 2000ではすぐに設定に入るところ、Windows XPでは、最初はこんな警告メッセージが表示される。

 Windows 2000では、すぐに共有(公開)設定用のタブが表示されるところ、Windows XPでは、このような警告メッセージが表示される。熟練ユーザーにとっては何ということのないメッセージだが、初心者ユーザーにとっては何とも物騒なメッセージに見えるだろう。それでも共有作業を進めたければ、下の[危険を認識した上で〜]というリンク文字列をクリックする。するとタブの表示内容が次のものに切り替わった。

ドライブの共有設定
1台のマシンを家族で共有するなどを想定したユーザー切り替え機能を持つWindows XPでは、ひと口に「共有」といっても、それらのメンバ間での「共有」と、ネットワークを経由する「共有」の2種類がある。
  Windows XPをインストールした直後では、共有のためのモジュールが組み込まれていないので、最初はここをクリックして、必要なモジュールを組み込む必要がある。

 Windows XPでは、1台のマシンを家族など複数のメンバで共有するための切り替え機能が追加された。これに伴ってXPでは、ひとくちに「共有」といっても、これら1台のマシンを共有するメンバ同士でのローカルな「共有」と、ネットワークを経由したWindows 2000でいう「共有」の2つがあり、それらを別々に指定できるようになっている。ただしXPをインストールした直後では、共有のためのモジュールが組み込まれていないので、最初は下のをクリックして[ネットワーク セットアップ ウィザード]を起動し、必要なモジュールを組み込む。

 この[ネットワーク セットアップ ウィザード]では、そのコンピュータがインターネットとどのように接続されているか(インターネットに直接接続されたゲートウェイ・マシンか、他のゲートウェイを経由して接続しているクライアント・マシンか)などが問い合わせられ、接続形態に応じた設定が行われるようになっている。

[ネットワーク セットアップ ウィザード]における接続方法の選択
Windows XPのネットワーク設定では、インターネット常時接続を考慮して、その接続形態に応じてネットワーク設定が切り替わるようになっている。
  このコンピュータが直接インターネットに接続されており、ゲートウェイとして機能している場合はこれを選択する。
  この接続形式に関する解説を見たければここをクリックする。→
  このコンピュータは直接にはインターネットに接続しておらず、他のゲートウェイを経由して接続している場合はこれを選択する。
  その他の接続構成の場合はこれを選択する。
 
接続形態の説明
現在設定しているコンピュータがインターネット接続のゲートウェイになっている場合の説明。

 このようにWindows XPでは、インターネット常時接続を念頭に置き、共有設定サポートなどが行われる。本稿の冒頭でも述べたとおり、Windows XPのキャッチフレーズは「ブロードバンド時代の新しいWindows」とのことだった。これをストレートに解釈すると、インターネットを経由した、動画や音声などのマルチメディア・コンテンツ・サービス利用に向けて最適化されたWindowsと思える。実際、今回のデモンストレーションでも、メッセンジャーと動画を組み合わせたビデオ・カンファレンシングが披露された。しかしくだんのキャッチ・フレーズの真意は、実は「情報漏洩やクラッキングなど、インターネット常時接続に伴う種々の問題を念頭に置き、安心して使えるように構成された新しいWindows」という意味ではないかと思えてきた。

 残念ながら既存のWindows 2000は、基本的に企業のイントラネットなどで利用されることを前提としており、一般ユーザーが手軽に操作できる範囲で、安全にインターネットに常時接続するための設定を行うのは困難である。別稿でもご紹介しているとおり、TCP/IPのフィルタリング機能などは搭載されているものの、これらを利用するには、TCP/IPネットワークやWindows 2000に対する深い理解が必要であった(詳細については「運用:常時接続時代のパーソナル・セキュリティ対策」を参照)。

 これに対しWindows XPでは、一般ユーザーでも簡単に利用できるファイアウォール機能が標準で搭載され、共有設定などにおいて、上記のとおり、リスクについてきちんと説明するように改められた。華やかさはないし、攻めというより守りの機能であるが、「ブロードバンド時代」を安全に堪能するには不可欠の機能だ。

 Windows XPについては、特にWindows 2000ユーザーの間で「表面的なインターフェイスが変わっただけのWindows 2000だ」という批判がある。しかしこうしてざっと触ってみただけでも、興味深い機能やブラッシュ・アップのポイントは数多い。一刀両断にふす前に、じっくり評価する価値がありそうだ。

関連記事(Windows 2000 Insider内)
常時接続時代のパーソナル・セキュリティ対策
 
 

 INDEX
  [Insider's Eye]Windows XP RC1 日本語が登場
    1.チューニング・フェーズに入り、パフォーマンスはベータ2から向上
    2.RC1に見るHailStorm始めの一歩
  3.XPの真価はセキュリティ機能にあり?
 
「Insider's Eye」


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