Insider's Eye

マイクロソフト、WindowsXPのパッケージ構成と価格を発表

――WORLD PC EXPO 2001に見るWindowsXPの存在感――

デジタルアドバンテージ
2001/09/21


 9月19日、マイクロソフトは、WORLD PC EXPO 2001が開催された幕張メッセ近くのホテルにて、Windows XP日本語版のパッケージ構成および価格に関する発表を行った(この件に関するマイクロソフトのニュースリリース)。すでにマイクロソフトは、Windows XPのパッケージ販売を11月16日から開始すると発表している(この件に関するマイクロソフトのニュースリリース)。

 また今回、64bit版Windows XP(Windows XP Professional 64-bit Edition)の発売も正式にアナウンスされた。これは64bitプロセッサであるIntel Itanium搭載システム向けのOSで、高速な演算処理を必要とするグラフィックス・ワークステーションなどを対象とするものだ。ただしこちらはパッケージ販売されるのではなく、ハードウェア・ベンダが提供するハードウェアにあらかじめプレインストールされて提供されるようだ。

 本稿では、今回の発表内容と、Windows XPのプレラウンチの場として位置づけられたWORLD PC EXPO 2001におけるWindows XP関連の動向についてご報告しよう。

現Windows 2000ユーザーには期間限定の特別アップグレード版を用意

 以下に、今回発表されたWindows XPのパッケージ構成と、アップグレード対象製品、推定小売価格を示す。

OS タイプ 対象製品 推定小売価格
Windows XP Professional 通常版
3万5800円
アップグレード版 Windows 98/Windows 98 SE/Windows Me/Windows NT Workstation 4.0(SP5以上)/Windows 2000 Professional 2万3800円
特別アップグレード版 Windows 2000 Professional 1万5800円
アカデミック アップグレード版 Windows 98/Windows 98 SE/Windows Me/Windows NT Workstation 4.0(SP5以上)/Windows 2000 Professional 2万800円
Windows XP Home Edition 通常版
2万5800円
アップグレード版 Windows 98/Windows 98 SE/Windows Me 1万3800円
Windows XPのパッケージ構成と価格

 参考までに、Windows MeおよびWindows 2000 Professionalのパッケージ構成と実売価格(編集部調べ)は次のようになっている。

OS タイプ 対象製品 実売価格*1
Windows 2000 Professional 通常版
3万4700円
プロダクト アップグレード版 Windows 95/Windows 98/Windows 98 SE 2万4000円
バージョンアップグレード版 Windows NT 3.51/Windows NT 4.0 1万4800円
Windows Me 通常版
2万3000円
バージョン アップグレード版 Windows 95/Windows 98/Windows 98 SE 1万2000円
アカデミック パック(バージョン アップグレード) Windows 95/Windows 98/Windows 98 SE 9000円
Windows 2000 ProfessionalとWindows Meのパッケージ構成と価格
*1編集部調べ

 Windows XPの方は、マイクロソフトが発表した推定小売価格であり、参考に示したWindows 2000 Professional/Windows Meの価格は編集部で調査した推定実売価格なので単純に比較することはできないが、価格的には、Windows XP Home EditionはWindows Meとほぼ同等、Windows XP ProfessionalはWindows 2000 Professionalとほぼ同等というところだろう。

 Windows 2000 Professionalの後継となるWindows XP Professionalでは、Windows NT Workstation 4.0とWindows 2000 Professionalがアップグレード対象となる。一方Windows Meの後継となるHome Editionでは、Windows 98とWindows 98 SE、Windows Meがアップグレード対象製品である。逆に言えば、Windows NT 3.51以前のバージョン、Windows 95以前のバージョンを使用中のユーザーは、アップグレード版ではなく、通常版を購入する必要がある。

 なお、16bit系列のWindows 98/98 SE/Meからは、Windows XP Home EditionまたはProfessionalへのアップグレードが可能だが、NT系列のWindows NT 4.0/Windows 2000ユーザーがアップグレードできるのはProfessionalのみで、Home Editionは選択できない。

 なおWindows 2000 ProfessionalからWindows XP Professionalへのアップグレードについては、2002年2月までの期間限定で、1万5800円という安価な特別版が用意される。

サポートではOffice XPと同じインシデント方式を採用

 製品サポートでは、Office XPから導入されたインシデント制が採用された。インシデント制とは、サポート窓口に電話で質問できる回数を制限し、その範囲で無償サポートを受けられる方式で、ある質問に対する回答が得られたら、それを1インシデントとカウントする。

 ただし、サポートは「セットアップおよびインストール サポート」と「基本操作サポート」に分類され、インシデント制が適用されるのは後者だけで、前者に対しては期間/回数の制限はない。つまり、Windows XPのインストールとセットアップを終えて、運用を開始するまでは、何度でも電話による質問を行える。

 「基本操作サポート」に関しては、Windows XP Professionalには3インシデントが、Home Editionには2インシデントが提供される。ただしこの基本操作サポートについても、制限されるのは質問回数だけで、期間の制限はない。

付属のWindows Messengerから公衆網への電話が可能に

 パッケージ構成と価格の発表と同時に、今回はWindows XPに付属するWindows Messengerから、VoIPによって公衆網の電話との通話が可能になる「PC to Phoneサービス」が発表された。これは、ISPのイー・アクセスがサービスを提供することで合意したもので、これによりWindows XPのMessengerから、インターネット上の他のPCのMessengerと会話できるだけでなく、通常の公衆回線にある電話機に電話をかけ、通話できるようになる。すでに米国では、MSN Messengerの通話機能を使い、同様の機能が実現されているが、米国限定のサービスで、日本国内の相手に電話をかけることはできなかった。

 混雑状況や音声品質など、実運用が始まってみなければ何とも言えないが、伝統的なコミュニケーション手段であった電話が、コンピュータ・ネットワークを使った1つのコミュニケーションの選択肢として融合されることは間違いないだろう。

WORLD PC EXPO 2001に見るWindows XP

WORLD PC EXPO 2001 マイクロソフトブース
予告どおり、マクロソフトのブースはWindows XP一色。コンシューマ・ユーザーを対象とする展示やデモンストレーションが中心だった。

 7月末のWindows XP製品出荷日の発表において、マイクロソフトは、今回開催されたWORLD PC EXPO 2001をWindows XPのプレラウンチ(pre-launch)と位置づけ、強力なプロモーションを行うと述べていた。鳴り物入りで開催された今回のカンファレンスは、実際のところどうだったのか? カンファレンス会場で目についた展示などを簡単にレポートしよう。

 マイクロソフトのプロモーション・プランによれば、11月16日のパッケージ発売までは、コンシューマ市場に特化した施策を実施するとしている。この発言どおり、WORLD PC EXPO 2001での展示は、基本的にはコンシューマ・ユーザーを対象とするものであり、ビジネス・ユーザーを意識した展示などは少なかった。

 マイクロソフトのブースの一角に、Officeの利用に最適化したOffice Keyboardが参考出品されていた。まず目につくのは左側のホイールだが、よく見ると、キートップも細かく調整されている。もっぱらOfficeを使うユーザーには便利かもしれない。

参考出品されたマイクロソフトのOffice Keyboard Office Keyboardのキートップ
キーボード左にホイール・マウスと同様に機能するホイールが装備されている。違いはそれだけかと思いきや、よく見るとキー配置などもOfficeの使い勝手を考えてかなり変更されている。 カーソル移動キーの上を見ると、Deleteキーが2つ分の大きさになっている。またその上のキーは「元に戻す」「やり直し」に、テンキーの左上はTabキーに変わっている。109型キーボードをベースにしながらも、キートップの配置などが細かく調整されていることが分かる。

 またマイクロソフトのブースの一角には、Microsoft .NETを紹介するmsdnのコーナーもあった。ただしコンシューマ系のユーザーが多かったせいか、参加者の関心はいまひとつ。今後に期待というところか。

 
  マイクロソフト・ブース内の.NETコーナー
  「Windows XPは、Microsoft .NETに向けたさまざまな機能を搭載する最適なOS」との主張に沿って、ブースの一角には.NETコーナーが用意されていた。しかしまだ参加者の関心は今ひとつといったところか。

 マイクロソフト以外のブースでは、大手PCベンダ、ソフトハウスのブースにおいて、Windows XP対応製品が一角に集められ、展示されていた。製品のそばには、Windows XPロゴと「Windows XP is running here!」という文字を含むプレートがズラリと並ぶ。

PCベンダのWindows XP対応製品コーナー
大手PCベンダ、ソフトハウスなどでは、Windows XP対応製品のコーナーを設けているところが多い。マシンの上には「Windows XP is running here!」の文字が踊る。

 コンシューマ向けと言えば、ゲームは重要なソフトウェアだ。ゲームのプラットフォームとしてのWindows XPをアピールしようと、独立したゲーム専用ブースが設けられ、デモンストレーションが行われていた。

ゲーム製品ブース
コンシューマ向けのアピールということで、各社のゲーム製品をWindows XP上で動かし、試用可能にしたブースがあった。ここにも「Windows XP is running here!」の文字。

 OEMベンダの出荷は早ければ10月末にも開始されるとの話もある。深刻なIT不況に加え、ニューヨークで発生した同時多発テロの景気への影響も心配されるなか、Windows XPは発売日を迎える。結果がよくも悪くも、Windows XPの売れ行きは、2002年のPC業界を占う大きな試金石となるだろう。End of Article

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