Microsoft .NET
【マイクロソフト・ドット・ネット】
2000年6月にマイクロソフトが発表した同社の次世代インターネット戦略。それまではNGWS(Next Generation Windows Services)という名前で呼ばれていたが、「Windows環境を越えるビジョン」であることから「Windows」という名称を取り除き、このように命名された。
発表時の説明によれば、既存環境からMicrosoft .NET環境への移行は、マイクロソフトの輝かしい歴史であるDOSからWindowsへの移行に匹敵するほどの根本的なパラダイムシフトであるという。事実、今後同社は、すべての製品やサービスをこのMicrosoft .NETに向けて改良し、この新しい情報環境をサポートしていくと宣言している。
Microsoft .NETのビジョンは非常に広範囲なものだが、その中心にある思想は、すべての情報機器がインターネットに接続されることを前提として、従来のような単体としてのコンピュータではなく、インターネット全体に分散配置されたアプリケーションやデータを、必要に応じて情報機器で柔軟に利用可能にするというものだ。
具体的には、SOAPとXMLという標準インターフェイスにより、ネットワーク上のソフトウェア(コンポーネント)が人間を介することなく会話できるようにし、ソフトウェアが能動的にネットワーク上のサービスやデータを探索できるようにする。詳細はまだ明らかになっていないが、この一環としてマイクロソフトは、同社が開発・販売するオフィス・スイートであるOfficeを、将来的にはインターネットをベースとするASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ )にすると宣言している。
このMicrosoft .NETビジョンを実現するために、マイクロソフトが提供するさまざまな製品やサービス、技術すべてを包含する情報プラットフォームは「.NETプラットフォーム」と呼ばれる。
この.NETプラットフォームの中で、Microsoft .NETに準拠したソフトウェアを開発・実行するための環境として提供されるものが.NET Frameworkである。この.NET Frameworkでは、特定のハードウェアに依存することなくソフトウェアを実行可能で、かつメモリ管理やセキュリティ管理などの煩雑な処理をソフトウェアの下位で提供してくれるCLR(Common Language Runtime)と呼ばれるしくみが用意されている。
またこの.NET Frameworkでは、C/C++やVisual Basicを始め、JScriptやCOBOLなど、複数の言語処理系を組み合わせて使用可能なソフトウェア環境が実現された。これに合わせてマイクロソフトは、Microsoft .NET向けのソフトウェア開発に最適だとするC#(シー・シャープ)と呼ばれる新しい言語処理系を発表した。
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