Insider's Eye

マイクロソフト製品と競合製品を徹底比較
仮想化ソフトウェアの最新活用施策(1)

―― 仮想化で進むサーバ・リソースの効率化 ――

梅田正隆
2005/09/22
Copyright (C) 2005, Redmond Communications Inc. and Mediaselect Inc.

注目を集めるサーバ仮想化技術
―― リソースの利用効率の向上、管理負担の軽減を狙う ――

本記事は、(株)メディアセレクトが発行する月刊誌『Directions on Microsoft日本語版』2005年9月号 p.6の「仮想化ソフトウェアの最新活用施策」を、許可を得て転載したものです。同誌に関する詳しい情報は、本記事の最後に掲載しています。

 仮想化(Virtualization)技術は、メインフレーム時代から培われてきた歴史のある技術だが、近年ではユーティリティ・コンピューティングを実現するためのコア技術の1つとして注目されるようになった。仮想化には、分散した複数のリソースについて物理構成を論理構成に置き換えて束ねる手法と、ストレージの論理ボリューム化のように1つのリソースを仮想的に分割する手法がある。こちらは、いま注目を集めているサーバの仮想化について検討する。

■サーバ仮想化の概念

 コンピューティング環境における仮想化には、アプリケーション・レベルの仮想化からミドルウェアやOSの仮想化、CPUやメモリの仮想化など、さまざまなレイヤが存在するが、本セクションでは限られたコンピュータ・リソースを有効活用するための仮想化技術、すなわちサーバの仮想化に関する動向を見ていく。

 サーバの仮想化は、意味的にはメインフレームで実現されたSMP(Symmetric Multiprocessing)による分散処理にまでさかのぼることができる。メインフレームは、SMPによって単一のOSの支配下にありながら、複数のプロセッサがメモリを共有しながら、複数のタスクを処理させることを実現した。メインフレームから分散システムへと移行すると、単一のメインフレームで処理してきた複数のタスクを、安価な複数のサーバに分担させて処理するようになった。ただ、サーバの処理性能や処理するタスクの差異によって、サーバごとにかかる負荷にも差異が生じ、多くのサーバではその処理性能が十分に使われないまま運用されるに至った。一説には平均使用率が10〜20%にとどまるとの見方もある。分散化はサーバのコモディティ化や低価格化を推し進めたが、同時にサーバ・リソースの使用率の低下を招く結果にもなった。サーバ・リソースの効率化を高めるべく、最近注目されているのが仮想化ソフトウェアだ。

■仮想化ソフトウェアのメリット

 仮想化ソフトウェアは、単一のサーバを仮想的に複数のサーバに見せ掛けるソフトウェアだ。もちろん、仮想化ソフトウェアによって論理構成された複数の仮想サーバは、CPUやメモリ、ハードディスクといった物理的サーバ・リソースを共有して動作する。物理的サーバ・リソースは、仮想サーバごとに任意に割り当てることができ、処理負荷の低いサーバに割り当てたリソースを減らし、負荷の高いタスクを処理している仮想サーバに追加してやるといったことが可能だ(「Intel(x86)系サーバ仮想化の概念」を参照のこと)。

Intel(x86)系サーバ仮想化の概念

 サーバ仮想化は、次のようなメリットが挙げられる。

  1. サーバ数の削減
     稼働しているサーバの台数をサーバ仮想化によって束ね、台数を削減することができる。その結果、サーバの台数を減らすことで光熱費や管理コストの削減とともに、サーバ管理の簡素化が期待できる。

  2. 負荷管理の簡易化
     サーバごとの個別の処理性能を気にする必要がなくなり、サーバ管理はリソースの追加あるいは拡張を行うだけでよくなる。

  3. 複数OSおよびOSバージョンの管理
     アプリケーションによっては、サーバごとに異なるOSを稼働させる必要があったり、古いバージョンのOSが必要となったりする。ところが、ハードウェアが古いバーションのOSをサポートしなくなった場合に問題となる。サーバを仮想化することで、1台のマシンに複数のOSや古いOSバージョンを稼働させることができる。

  4. 64bitシステムの活用
     64bitのx64システム上で、複数の32bitサーバを稼働させることも可能だろう。64bitシステムの広大なメモリ容量を活用できる。

■ハードウェア・レベルの仮想化も

 仮想化は、UNIX系では論理パーティションを生成して複数のOSイメージを実行する。一方、Windowsが稼働するIntel(x86)系においては、一般に、物理的コンピュータ・リソースの上にホストOSが稼働し、その上に仮想化ソフトウェアがかぶさり、仮想マシン(Virtual Machine)を構成してゲストOSが稼働するようになる。マシン語を読み込み解釈することによるオーバーヘッドが発生するため、従来、仮想化されたサーバのパフォーマンスには限界があった。

 だが、2005年に入り、プロセッサ・メーカーであるIntelやAdvanced Micro Devices(AMD)は、ハードウェア・レベルで仮想化するテクノロジを開発中であることを明らかにしている。プロセッサ自体に仮想化技術を搭載するようになれば、従来、仮想化ソフトウェアが担ってきた処理の一部を、ハードウェアで高速処理できるようになり、ソフトウェア・レベルの仮想化によるオーバーヘッドが軽減される。Intelは、2005年中に仮想化技術「Intel Virtualization Technology」あるいは「Silvervale Technology」を搭載したItanium 2、2006年には同様にXeonの出荷を計画している。また、AMDも2006年前半には、仮想化技術「Pacifica」を搭載したサーバ向けプロセッサを出荷するとしている。ハードウェア・レベルの仮想化技術が実装されることによって、新たな仮想化ソフトウェアの開発も進展するものと見られる。

 

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