Insider's Eye マイクロソフト製品と競合製品を徹底比較 2005/09/22 Copyright (C) 2005, Redmond Communications Inc. and Mediaselect Inc. |
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仮想化ソフトウェア有力2製品を比較
―― VMware vs. Microsoft Virtual Server ――
Intel(x86)系における仮想化ソフトウェアの代表的製品といえば、2004年にEMCが子会社化したVMwareの製品と、MicrosoftのVirtual Serverの2つがある。カリフォルニア州パロアルトに本拠を置くVMwareは、1998年に設立された仮想化技術の専門企業。開発者向けの製品であるVMware Workstationをはじめ、2001年にはサーバ向け2製品を市場投入。2003年に管理ソフトウェアのVirtualCenterとワークロード管理技術であるVMotionを投入し市場を大きくリードしている。
■仮想インフラを提供するVMware
VMwareの仮想化ソフトウェア製品は、VMware ESX Server、VMware VirtualCenter、VMware VMotionなどで構成され、これらの製品群によって仮想インフラストラクチャを提供する。サーバ製品としてはESX Server以外にGSX Serverがあるが、GSX ServerがホストOS上に仮想化層(Virtualization Layer)を形成するのに対し、ESX Serverはハードウェア上に直接、仮想化層を形成するユニークな構造をとる。つまり、ESX ServerはホストOSの介在を必要とせず、仮想マシンにダイレクトにリソースを割り当てることによって、パフォーマンスを向上させているわけだ。同社ではこれをBare-Metalアーキテクチャと呼んでいる(「GSX ServerとESX Serverのアーキテクチャ」参照のこと)。
GSX ServerとESX Serverのアーキテクチャ |
VMware VirtualCenterは、仮想インフラストラクチャを一元管理するためのソフトウェアだ。すべてのVMwareサーバおよび仮想マシンを1つのビューで監視し、仮想マシンの作成と構成、仮想マシンのリソースの使用率の監視と調整、サーバのプロビジョニングなどが行える。特にVMware VMotionテクノロジは、サービスを中断することなく、稼働中の仮想マシンを、同じSANに接続されている別の物理サーバに移動させることを可能にしており、ダウンタイムなしにサーバのメンテナンスが行える。動的プロビジョニング、ホット・マイグレーションが売りだ(「VMWare VirtualCenterの管理画面、仮想マシンの状態を一元管理できる」参照のこと)。
VMWare VirtualCenterの管理画面、仮想マシンの状態を一元管理できる |
■エンタープライズ市場がターゲット
VMwareがメインターゲットとするのは、多数のサーバを管理しているエンタープライズおよびデータセンターにおけるサーバ統合化だ。特に同社は、ハイエンド・ブレード・サーバに仮想インフラストラクチャを適用することのメリットを強調する。
イスラエル最大の携帯電話会社CellcomはVMwareにとっての優良顧客になる。同社は、ビジネスの急激な拡大に柔軟に対応できるITインフラストラクチャの構築を、TCOを削減しながら実現することにチャレンジした。ESX Serverをはじめとする仮想インフラストラクチャを採用し、仮想化によるサーバ統合により、サーバ数を従来の13分の1に、ブレード・サーバ使用率を5〜15%から、35〜50%に向上させることに成功した。異なるOSでの厳密なテストを仮想マシンで実施することにより、サービス開発プロジェクトの品質も向上したという。
VMwareの資料によると、例えば3000ワークロードを処理する必要があるとき、ロー・エンドのブレード・サーバで処理する場合と、ハイ・エンドのブレード・サーバに同社の仮想インフラストラクチャを適用した場合を比較すると、ブレード数で前者が3000必要であるのに対して後者は600。ハードウェアのコストの概算で後者がおよそ46%の削減になり、場所代、光熱費、メンテナンスを含めた3年間のTCOは後者がおよそ51%カットできると指摘する。もっとも、この試算におけるVMwareのライセンス・コストは約180万ドル必要だ。ハードウェアのコスト削減による差額で、ライセンス・コストは楽にカバーできる金額だが、スケールが大きいほど効果のあるソリューションといえるだろう。VMwareは、Intel(x86)系の仮想化ソリューションについて、IBMやHPなどのブレード・サーバ・ベンダとパートナーシップを結んでいる。
■多様なVirtual Server活用のシナリオ
VMwareの戦略は、仮想化の実現というより、いかに効率的な仮想マシンのハンドリングを実現するかに、そのフォーカスが移っている。同社の2004年の売上高は、ブレード・サーバ市場の成長とともに2倍近い伸びを見せた。
この仮想化市場に新規参入を果たしたのが、Connectixの買収でVirtual Serverを手に入れたMicrosoftだ。Microsoftは、2004年10月に、最新版となるVirtual Server 2005(日本語版は2004年12月)を市場投入した。Virtual Server 2005は、同社のサーバOSの最新版であるWindows Server 2003をホストOSとする。Windows Server 2003に最適化された専用の仮想環境を提供するために開発されたのがVirtual Server 2005だ。
MicrosoftのConnectix買収は、Windows NT用の古いプログラムを捨てきれないユーザーが、新しいサーバOSに移行しやすくすることが最大のアピール・ポイントと考えられていた。実際に、Windows NTをゲストOSとする仮想マシン上で、古いプログラムを稼働させてきたVirtual Serverのユーザー・シナリオは効果的である。しかし、Microsoftが描くシナリオは違った。
Microsoftはいくつかの活用のシナリオを描いているが、意外にも同社がもっとも重視するシナリオが、ソフトウェアのテストおよび開発での仮想環境の活用だ。ソフトウェアのテストと開発で使用しているサーバ・ファームを仮想化することで統合する。アプリケーションのテストには、運用環境を複製した開発環境が必要になるが、テストと運用を同一システム上で、並行して行うことによって、テストおよび開発の生産性を向上させるというものだ。
これ以外のシナリオとしては、レガシー・アプリケーションの移行、複数サーバのワークロード統合、分散サーバ・アプリケーションのシミュレーションがある。レガシー・アプリケーションの移行については、それを仮想マシンで実行させて、新しいプラットフォームに対応すべくアップグレードや書き直しのための時間を稼ぐというもの。ワークロードの統合については、VMwareと同じシナリオ。分散サーバ・アプリケーションのシミュレーションとは、1台の物理サーバに仮想分散環境を構築するもので、テストおよび開発におけるシナリオに含めていいシナリオといえる。
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