Insider's Eye マイクロソフト製品と競合製品を徹底比較 2005/09/22 Copyright (C) 2005, Redmond Communications Inc. and Mediaselect Inc. |
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■Virtual Server 2005のアーキテクチャ
Microsoftの仮想マシン・アーキテクチャとVirtual Server管理Webサイトの画面を示す。
Microsoft仮想マシン・アーキテクチャとVirtual Server管理Webサイト |
このアーキテクチャに照らし合わせると、まず、ホストOSであるWindows Server 2003によってハードウェアが管理され、Virtual Server 2005によるVMM(Virtual Machine Monitor)仮想化層のハードウェア・エミュレーションによる仮想マシン管理が行われる。
各仮想マシンは、仮想化されたデバイスで構成され、ネットワーク・アダプタについても仮想的に実装される。この仮想ネットワーク・アダプタを物理マシンのネットワーク・アダプタにマップするか否かは選択でき、外部ネットワークに接続することも、仮想マシン間のネットワーク、あるいは仮想マシンとホスト・マシン間のネットワークを構築することができる。仮想ネットワーク・アダプタは独自のIPアドレスを持たせることが可能であるため、ネットワークを利用するアプリケーションをそのままの構成で仮想マシンへ移行することも可能になっている。
また、仮想マシンはそれぞれ仮想ハードディスクを持ち、Virtual Server 2005のインターフェイス経由で読み書きを行う。ホストOSは個々の仮想マシンを1つのファイルにカプセル化できるため、仮想マシン環境を簡単に複製したり、復元したりすることができる。
目下のところ、Virtual Server 2005の市場における優位性は価格競争力だろう。最大4物理プロセッサをサポートしたStandard Edition(パッケージ版)が約10万円、最大32物理プロセッサをサポートするEnterprise Edition(同)が約21万円と、VMwareよりも格段に安い。比較的負荷の軽いサーバ群を実験的に仮想統合してみたいと考えるユーザーに手ごろな価格といえそうだ。ちなみに、Microsoftは正式なサポートを表明してはいないが、SP1を待たずとも、Virtual Server 2005のゲストOSとしてLinuxが問題なく稼働するようだ。
Hypervisorが仮想化の中核に
―― WindowsへのHypervisor組み込みはLonghornの後 ――
現在Virtual Server 2005 SP1のベータ版が提供されている。SP1の完成は、当分先のことになりそうだが、SP1ではWindows Server 2003 x64 EditionsやWindows XP Professional x64 Editionをサポートすると同時に、ゲストOSにLinuxが正式サポートとなる。また、2005年内にVirtual Server Management Pack for Microsoft Operations Manager 2005も出荷されている。MOMユーザーは、Linuxを含む仮想マシンの稼働状況をモニタできるようになる。
■高機能で薄い仮想化層
仮想化に関する今後の注目ポイントの1つにHypervisor技術がある。Hypervisorは、仮想化するためのコンパクトで薄いソフトウェア層のことであり、Virtual Server 2005のVMM(仮想マシン・モニタ)と機能的に同一のものと考えていい。別の表現をすれば、1つの物理システム上で、複数の仮想マシンをネイティブなパフォーマンスで実行させる仕組みのことだ。
Hypervisor技術の先駆者は、メインフレーム上でVMを実現したIBMだろう。IBMは仮想化のためのソフトウェアから共通する機能を切り離し、それをプロセッサに組み込むといったことを実施してきた。「(1)注目を集めるサーバ仮想化技術」で、IntelやAMDによるプロセッサへの仮想化技術の取り組みについて触れたが、IBMはメインフレームのプロセッサで先行していたわけだ。Hypervisor技術において長い歴史を持つIBMが、Research Hypervisor(rHype)をオープンソースとして公開した。rHypeは、さまざまなプロセッサをサポートしており、同じくオープンソースのHypervisor技術として人気が高まっているXen(開発はケンブリッジ大学)の機能拡張に一役買いそうだ。XenはLinuxカーネルで使用できるHypervisor技術であり、新しいソフトウェアのテスト環境を構築するのに活用されている。
■MicrosoftのHypervisorの取り組み
MicrosoftもHypervisor技術の開発をすでに進めている。同社は、IntelやAMDの仮想化技術の実装を全面的にサポートし、ハードウェア・レベルの仮想化の進展を受けて、Hypervisor技術を仕上げていく考えのようだ。同社が開発中のHypervisor技術は、現在のVirtual ServerやVirtual PCの技術とは異なるもので、Hypervisorはハードウェアのすぐ上でCPUやメモリといったリソースを仮想化し、Hypervisorが複数の各種OSを管理するようになる。簡易版WindowsというべきWindowsカーネルが各OSのセッションを生成しコントロールする。このアーキテクチャはXenに近いものといえる。MicrosoftのHypervisor技術が日の目を見るのは、Longhornよりも後になる見通しだ。Longhornに組み込まれるのか、個別の製品として提供されるのかは明らかにされていない。
いずれにしろ、仮想化技術によるサーバ統合、運用管理の簡易化の流れは止まりそうにない。近い将来、1台の物理サーバ上でWindowsやLinux、Solarisが稼働しているのは当たり前の光景になるだろう。
関連リンク | ||
Microsoft Operations Manager 2005 用 Microsoft Virtual Server 管理パック(マイクロソフト) |
Directions on Microsoft日本語版 本記事は、(株)メディアセレクトが発行するマイクロソフト技術戦略情報誌「Directions on Microsoft日本語版」から、同社の許可を得て内容を転載したものです。『Directions on Microsoft 日本語版』は、同社のWebサイトより定期購読の申し込みができます。 |
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