[運用] 2.Ultrabookの主な仕様と選択ポイント デジタルアドバンテージ 小林 章彦2012/03/08 |
|
|
選択のポイント
Ultrabookは、前述のとおり、厚さ21mm以下の薄型のボディを採用すると規定されていることから、これまでのノートPCとは若干、異なる部分や制限がある。ここでは仕様項目ごとに、Ultrabookの特徴や製品選択のポイントをまとめてみる。
第1世代のUltrabookの概要 |
第1世代のUltrabookでは、主に図のような仕様となっている。 |
■プロセッサ
Ultrabookは、Intelが提唱しているコンセプトのため、すべてIntel製のプロセッサを搭載している。第1世代のUltrabookでは、第2世代Core i3/i5/i7を搭載している。動作クロックや3次キャッシュ容量の違いのほか、Core i3はターボブースト(プロセッサが電力、電流、温度に関する仕様の限界未満で動作している場合に限り、定格の動作クロックよりも高速でプロセッサを動作させる機能)をサポートしないといった違いがある。またCore i7は、Core i5に比べてターボブースト時に、より高い動作クロックに引き上げられるといった違いがある。第1世代で搭載されているプロセッサの型番は下表のとおりだ。
型番 | コア数/スレッド数 | 動作クロック | ターボブースト時クロック | 3次キャッシュ容量 | 最大TDP |
Core i3-2367M | 2コア/4スレッド | 1.40GHz | − | 3Mbytes | 17W |
Core i5-2467M | 2コア/4スレッド | 1.60GHz | 2.30GHz | 3Mbytes | 17W |
Core i7-2637M | 2コア/4スレッド | 1.70GHz | 2.80GHz | 4Mbytes | 17W |
Core i7-2677M | 2コア/4スレッド | 1.80GHz | 2.90GHz | 4Mbytes | 17W |
第1世代Ultrabookに搭載されているプロセッサ | |||||
>上から下に向かって性能が高くなる。 |
性能は、動作クロックが高いCore i7-2677M/Core i7-2637M/Core i5-2467M/Core i3-2367Mの順になるが、主にOfficeアプリケーションを使うビジネス用途では、Core i3-2367Mでも性能に不満を感じることはないだろう。
■メインメモリ
メインメモリは、ほとんどの機種が4Gbytesを実装済みで、増設や交換ができないものがほとんどだ。Ultrabookでは、本体を薄くするため、メモリ・ソケットを用いずにマザーボード上に直接実装されている機種が多いようだ。たとえ、メモリ・ソケットに差さっている場合でも、メモリ・ソケットにアクセスするための専用のフタが用意されておらず、多くのネジを外して本体を分解する必要があることから、交換は容易ではない。事実上、4Gbytes固定と考えた方がよい。
第2世代、第3世代となると、標準搭載メモリが増える可能性もあるだろう。仮想化ソフトウェアを利用するといった目的で大容量のメモリが必要な場合は、現行のUltrabookはあまり向かないと考えた方がよい。
■ストレージ
通常のノートPCと比較して、ストレージの容量は少々小さめとなっている。これは、薄型のボディに実装するため、ほとんどの機種がストレージとして、フラッシュメモリを記録媒体とするSSDを採用しているためだ。SSDは性能が高く、小型化が可能、消費電力が小さいといったメリットがある一方、ハードディスクに比べて容量単価が高いこともあり、ボリューム価格帯を目指すUltrabookでは128Gbytes/256Gbytesと容量が制限されている。
AcerのAspire S3-951-F34C/S3-951-F54D/Fのようにハードディスクを搭載している機種もあるが、平均的な9.5mm厚ではなく、現状では特殊な薄型(7mm厚)を採用している。容量は340Gbytes/500Gbyesと最近のノートPCとしては小さめ。それでも、SSDを搭載するUltrabookが128Gbytes/256Gbytesであることを考えれば、それよりも容量に余裕がある。さらに価格面でも、SSDより、ハードディスクを採用した機種の方が安価となっている。ハードディスク・メーカーでは、薄型(7mm厚)のラインアップを充実させてきていることから、今後、Acer以外にも、ハードディスクを搭載する廉価モデルをUltrabookのラインアップに追加する可能性があるだろう。
■ネットワーク
日本ヒューレット・パッカードのHP Folio13-1000と東芝のdynabook R631を除き、有線のイーサネット・ポートは装備されていない。ノートPCでは無線LANが標準となり、イーサネットの必要性が低下していること、イーサネットのコネクタは小型のものでも高さが10mm以上あり、本体の厚さが21mmに制限されているUltrabookでは実装が難しいことなどから、イーサネット・ポートを装備していないようだ。もちろん、USBポートにイーサネット・アダプタを接続することで、有線のイーサネットも利用できるので、ポートの有無はそれほど気にしなくてもいいだろう。
■拡張インターフェイス
Ultrabookは、一部機種でSDカード・スロットを搭載しているものの、ExpressCardなどの拡張スロットはない。拡張インターフェイスはUSBのみで、そのUSBポートも2ポートのみと拡張性は高くない。拡張性が求められるような用途には、Ultrabookは向かないと考えた方がよい。
なお第2世代のUltrabookでは、Intelが開発し、MacBook Airなどで採用されているThunderboltを採用する機種も出てくるようだ。
AcerのAspire S3シリーズのインターフェイス部分 |
Aspire S3が装備するインターフェイスは、USB 2.0×2とHDMI×1、SD/MMCカード・スロットのみ。拡張性はそれほど高くない。 |
■ディスプレイ
Ultrabookでは、多くの機種が解像度1366×768ドットの13.3インチの液晶ディスプレイ(LEDバックライト)を搭載する。このディスプレイ・サイズ/解像度は、現在のノートPCの主流となっているので、第2世代以降も引き継がれるものと思われる。
例外は、ASUSTek ComputerのZENBOOK UX31Eシリーズが13.3インチで1600×900ドット、UX21Eシリーズが11.6インチで1366×768ドット、日本ヒューレット・パッカードのHP ENVY14-3000 SPECTREが14インチ・ディスプレイで1600×900ドットの3シリーズのみである。高い解像度がほしいならば、ZENBOOK UX31EシリーズまたはHP ENVY14-3000 SPECTREを選ぶことになる。
■外部ディスプレイ・ポート
外部ディスプレイを接続するためのインターフェイスとして、HDMIポートを搭載する機種が多い。HDMIは、液晶テレビなどでも標準インターフェイスとなっており、1本のケーブルで画像と音の両方をやり取りできることから、外付けディスプレイのインターフェイスとして広く普及している。
HDMI以外にも、デルのXPS 13 UltrabookのようにMini DisplayPortを採用する機種もあるが、変換アダプタを利用することで、HDMI搭載のディスプレイと接続できるので、あまり気にする必要はないだろう。
■キーボード/タッチパッド
キーボードやタッチパッドは、PCの使い勝手を大きく左右するデバイスながら、好みや慣れがあるので実際に店頭で触ってみることをお勧めする。特にUltrabookは、本体を薄くするため、キーボードのキー・ストロークが短い傾向にあり、人によっては非常に入力しにくく感じる可能性があるからだ。
またタッチパッドは、パッドとボタンが一体化されている機種が多い。このタイプのタッチパッドは、慣れの問題もあるが、ボタンの左右を押し間違いやすいので、好みが分かれるところだろう。
AcerのAspire S3-951-F74Uのタッチパッド |
パッドとボタンが一体化しており、パッドの左下を押すと左クリック、右下を押すと右クリックになる。ボタンの左右が分かれていないので、ボタンを押し間違えやすい。第1世代のUltrabookでは、このようなタッチパッドを採用している機種が多い。 |
■バッテリ
機種によって異なるが、短いものでも5.5時間から長いものは9.5時間のバッテリ駆動が可能だ。ただ、これはあくまでもカタログ・スペックであり、無線LANに接続して、プレゼンテーションを行うとなると、3分の2から半分以下の駆動時間になると考えるべきだ。となると、残念ながら1日中バッテリで使うことはできないことになる。バッテリを交換して、長時間利用したいという人もいると思うが、残念ながら、第1世代のUltrabookでは、ユーザーがバッテリを着脱できる機種はない。本体を薄くするためと思われるが、この点を不満に感じる人も少なからずいることだろう。
第2世代以降のUltrabookでは、プロセッサの消費電力などが低減されるため、第1世代よりバッテリ駆動時間が延びる可能性が高い。バッテリ駆動時間が気になる人は、第2世代以降に期待した方がいいだろう。
■サイズ/重量
Ultrabookは、前述のとおり多くの機種が13.3インチのディスプレイを搭載しており、ほぼA4サイズのフットプリントを実現している。厚さは機種によっても異なるが、15mmから20mm程度となっている。重さは1.3kg強の機種が多い。
今後、Ultrabook向けのデバイスなどの開発が進むことで、より薄く、軽くなる可能性もある。
■
次ページでは、メーカーごとに第1世代のUltrabookの主な仕様をまとめている。
INDEX | ||
[運用]いま注目のUltrabookの選び方 | ||
1.Ultrabookとは | ||
2.Ultrabookの主な仕様と選択ポイント | ||
3.各社Ultrabookの主な仕様(1) | ||
4.各社Ultrabookの主な仕様(2) | ||
「 Windows 運用 」 |
- Azure Web Appsの中を「コンソール」や「シェル」でのぞいてみる (2017/7/27)
AzureのWeb Appsはどのような仕組みで動いているのか、オンプレミスのWindows OSと何が違うのか、などをちょっと探訪してみよう - Azure Storage ExplorerでStorageを手軽に操作する (2017/7/24)
エクスプローラのような感覚でAzure Storageにアクセスできる無償ツール「Azure Storage Explorer」。いざというときに使えるよう、事前にセットアップしておこう - Win 10でキーボード配列が誤認識された場合の対処 (2017/7/21)
キーボード配列が異なる言語に誤認識された場合の対処方法を紹介。英語キーボードが日本語配列として認識された場合などは、正しいキー配列に設定し直そう - Azure Web AppsでWordPressをインストールしてみる (2017/7/20)
これまでのIaaSに続き、Azureの大きな特徴といえるPaaSサービス、Azure App Serviceを試してみた! まずはWordPressをインストールしてみる
|
|