製品レビュー
Windows Services for UNIX 2.0

2.NFSサーバ/クライアント機能

デジタルアドバンテージ
2000/11/25

NFSサーバ機能

 SFUの「NFSサーバ」機能とは、UNIXクライアントに対して、WindowsマシンのファイルやフォルダをNFSプロトコルを使って公開するための機能である。この機能を使うことにより、UNIXクライアントが使用するユーザーのホーム・ディレクトリや共同の作業用ディスク領域などを、Windowsサーバ・マシンに集中化させることができる。

SFUにおけるファイル共有サービス

SMB(Server Message Block)プロトコルはWindowsネットワークにおける標準的なファイル共有プロトコル、NFS(Network File System)プロトコルはUNIXで広く一般的に使われているファイル共有プロトコルである。WindowsマシンにSFUをインストールすることにより、UNIXクライアントがNFSプロトコルを使ってWindowsサーバのリソースにアクセスできるようになる。また、WindowsクライアントにSFUをインストールすることにより、NFSしかサポートしていないUNIXサーバにアクセスできるようになる。

 SFUのNFSサーバでは、広く一般的に使われているNFSプロトコルのVersion 2(RFC1094)だけでなく(たいていのLinuxのNFSサーバは、Version 2のみをサポート)、Version 3(RFC1813)もサポートしている。Ver.3では、TCPをトランスポート層のプロトコルとして使用したり(Ver.2ではUDP上でのみ動作。このTCP対応により、パフォーマンスなどが向上する)、非同期書き込みのサポート(これもパフォーマンス向上に貢献)、64bit幅のファイル・オフセットのサポート(4Gbyte以上のファイルのサポート)、などの機能が向上している。もっとも、Ver.3の機能を利用するためには、当然クライアント側もVer.3をサポートしている必要があるので、一般的にはそう大きなメリットににはならないかもしれない。

 NFSサーバ・サービスを利用するためには、まずSFUの管理ツールで、NFSサーバ・サービスの属性(アカウントやログの設定など)を設定しておく。

画面 NFSサーバ機能の管理ツール

NFSサーバの機能を設定するための画面。NFSで使用するユーザー・アカウントに関する情報とか、ログ設定などを制御する。
  Windows側で使用するユーザー/グループIDと、UNIX側で使用するユーザー/グループIDのマッピング(対応)を設定する。
  NFSサーバの動作ログの設定。
  NFSサービスのファイル・ロック・ステータスの表示と、ロックの解除を行う。
  NFSサービスへのアクセスを制限するためのクライアント・グループの設定を行う。
  動作ログを記録する。
  記録するログの種類の設定。

 NFSで公開するフォルダを設定するには、エクスプローラの[共有設定]プロパティを使うか、コマンドプロンプト上でnfsshare.exeコマンドを使う。Windows側の公開フォルダに漢字を含むファイル名がある場合や、そのようなファイル名を使いたい場合は、そのためのオプションを指定しておく必要がある(Windows側のShift-JISコードが、UNIX側ではEUCコードに変換される)。

NFSの共有設定

NFSプロトコルで公開するフォルダの設定。これはエクスプローラの[プロパティ]メニューを使ったところ。フォルダの属性としてEUC-JPを設定すると、漢字ファイル名が、EUCに変換されて、UNIX側からアクセスできるようになる。そうでない場合は、漢字を含むファイル名にはアクセスできない(UNIX側では、漢字部分のファイル名が化けたように表示される)。
  NFSサーバ機能をインストールすると、フォルダの[プロパティ]メニューに新しく[NFS共有]タブが追加される。
  NFSで公開するフォルダの指定。
  アクセス権を設定する。
  設定されたアクセス権。
  設定可能なアクセス権。漢字コードを含むファイル名を使用したいときは、EUC-JPをオンにする。

 コマンドラインからNFSの共有を設定するには、たとえば次のように行う。nfsshare.exeは、NFSの共有設定を行うために用意されているコマンドであり、これにより、「D:\HOME」フォルダがNFSの「/home」という共有名で公開されることになる。

nfsshare home=d:\home

NFSクライアント機能

 「NFSクライアント」機能は、Windowsマシンから、UNIXサーバ上のNFSサーバに接続するための機能である。UNIXシステムなどを中心にしてユーザーのホーム・ディレクトリや、作業用ディレクトリ/サービスを提供しているような環境では有用な機能であろう。また、インターネット向けサーバやデータベース・システムなどをUNIXシステムを中心に組んでいるような環境でも、SFUを使うことにより、クライアントのWindowsマシンからNFS経由でこれらにアクセスできるようになり、ユーザーにとっては便利になるだろう。

 NFSクライアント機能を使うには、NFSサーバ機能と同様に、まずSFUの管理ツールで各種の設定(クライアントのアクセス権やログ機能、使用プロトコルなど)を行ってから、エクスプローラやコマンドラインのツールを使ってNFSボリュームをマウント(使用)する。

NFSクライアント機能の管理ツール

これはNFSのクライアント機能を設定するための画面。認証方法やアクセス権、使用プロトコルなどの設定を行う。
  ローカル側のユーザー/グループIDと、リモート側(NFSサーバ側)のユーザー/グループIDの対応を取る認証サーバの設定。
  NFSサーバへのアクセス時のデフォルトのアクセス権(UNIXでいうところのumask)の設定。
  マウント時に使用するNFSプロトコルのパラメータ類の設定。
  NFSで使用するプロトコルの設定。通常のNFSマウントではUDPを使う。
  ソフトマウントかハードマウントの指定。
  NFSの読み書きのブロック・サイズの指定。

 エクスプローラで外部のNFSサーバのボリュームをマウントするには、以下のように、「マイ ネットワーク」の下に表示されている「NFS Network」をクリックして目的のNFSサーバを見つけ、そこに表示されているNFSボリュームをローカルのドライブにマップする。このほか、ドライブにマップせずに、UNC形式のままNFSボリューム上のファイルをアクセスすることもできる(フォルダやパス名の区切りにはUNIXのように「/」ではなく、「\」が使われている)。また、ファイル名に漢字を使いたい場合は、Windows側でマウントするときに、漢字ファイル名を使用するためのオプション(EUC-JP)を指定しておく必要がある。このオプションを指定すると、Windows側で全角漢字コードを含むファイルを作成する場合、Shift-JISの漢字ファイル名がEUCに変換されてNFSサーバ上に作成される(もちろんUNIX側のファイル・システムでは、EUCコードによる漢字ファイル名がサポートされている必要がある)。逆に、漢字コード(EUCコード)を含むUNIXファイル・システム上のファイル名は、Windowsクライアント側では正しくShift-JISコードとして扱われる。

NFSボリュームのマウント

通常のWindowsサーバ(SMBサーバ)の共有フォルダをアクセスする場合と同様に、エクスプローラを使ってNFSボリュームをマウントすることができる。
  NFSサーバは、このように[NFS Network]というツリーの下に表示される。
 

「\!」は、ルート・ボリュームを表している。このように、UNIXとWindowsではパスの表記が若干異なるので、注意が必要。

 コマンドラインからNFSボリュームをマウント(マップ)するには、たとえば次のようにmount.exeコマンドを使う。

mount -o lang=EUC-JP server:/home g:

 または

mount -o lang=EUC-JP \\server\home g:

などとする(“-o lang=EUC-JP ”は漢字ファイル名を使うためのオプション指定)。これにより、UNIX側の“/home”ディレクトリは、Windows側のG:ドライブとしてマウントされる。

NFSゲートウェイ機能

 NFSサーバと類似の機能として、SFUには、「NFSゲートウェイ」機能というものも用意されている。これは、NFSで公開されているフォルダを、Windows系クライアントに対して、SMBプロトコルで中継、再公開するという機能である。共有したいボリュームが(UNIX上の)NFSボリュームとして公開されているけれども、そこへアクセスしたクライアントがWindows系マシンばかりである、というような場合に有用な機能であろう。通常、WindowsクライアントからNFSボリュームにアクセスするためには、各クライアントごとにSFUを購入、インストールする必要があるが、このNFSゲートウェイ機能を使えば、1台のマシンにインストールしておくだけで、通常のWindowsクライアントからこのゲートウェイを中継、経由して、NFSサーバにアクセスできるようになる。

 ゲートウェイ・サービスを経由してNFSサービスにアクセスする方法と、NFSサーバに直接アクセスする方法を比べると、ゲートウェイ・サービスのほうが若干パフォーマンスは劣るが(NFSサービスを中継しなければならないため)、クライアント側には特別なNFSソフトウェアを導入する必要がないので、簡単にNFSサーバにアクセスできるというメリットがある。このサービスは、ちょうどWindows 2000 Serverの「NetWareゲートウェイ サービス」(WindowsクライアントからNetWareサーバの資源を使用するためのサービス)と同じようなもの、と考えればよいであろう。ただしこのNFSゲートウェイ・サービスは、NFSサーバ・サービスと同時にインストールすることはできず、1台のマシンにはどちらか一方のサービスだけしかインストールできない。つまり、他のNFSサーバの公開フォルダを中継しながら、自分自身のフォルダもNFSで公開するという方法は使えないのである。


 INDEX
  [製品レビュー]Windows Services for UNIX 2.0
    1.SFUの概要とインストール
  2.NFSサーバ/クライアント機能
    3.ユーザー・アカウントの管理とパスワード同期
    4.UNIX互換ツール
 
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