製品レビュー
Windows Services for UNIX 2.0

4.UNIX互換ツール

デジタルアドバンテージ
2000/11/25

UNIX互換ツール類

 SFUには、UNIX互換のツール類も用意されている。UNIXのシェル環境に慣れた管理者や、各種のテキスト/フィルタ処理をよく行うようなユーザーにとっては、このようなUNIX互換ツールはありがたいだろう。SFUに含まれているUNIX互換ツールは、米Mortice Kern Systems社が販売していたMKS Toolkitを移植したものである。このツールは、MS-DOSの時代から、UNIX互換ツールとして販売されていた製品であり、UNIXコマンドとの互換性はかなり高い。通常はコマンドプロンプト上で使うが、sh(Korn Shell)も付属しているので、シェル・スクリプトを使って定型処理を行ったりすることもできる。

 ただし、UNIXとWindowsではもともとファイル・システムやデバイスなどを始めとしていくつかの差があるので、まったく同じように使えるわけではない。たとえばEOFは、Control-DではなくControl-Zであるとか、パスの区切りは“/”ではなく“\”になっている(ユーザーが指定する場合は“/”でもかまわないが、表示されるパスには“\”が使われるので、テキスト処理する場合には注意が必要)、などである。また、文字コードとしてはShift-JISコードはほぼ正しく利用できるようであるが(検索のパラメータなどに使ってもよい)、漢字コードとしてEUCやJIS、Unicodeなどは使えないので、あくまでもWindows上で利用できるUNIX互換ツール、という位置付けになるであろう(完全にUNIXの代わりになるわけではない、ということ)。

 以下にSFUに付属するUNIX互換ツール類の一覧を挙げておく。

ツール名 機能 ツール名 機能
autodfs DFSボリュームの自動マウント pwd カレント・ディレクトリの表示
basename ベースネームの表示 rcmd リモート・コマンド実行
BgJob バックグラウンドジョブの投入 renice 優先度の変更
cat ファイル内容の表示 rm ファイルの削除
chown ファイル所有者の変更 rmdir ディレクトリの削除
cp コピー rpcinfo RPC情報の表示
cron 定期的実行ジョブの投入 rshpswd リモートシェル・パスワード
crontab cronジョブの表示 rshsvc リモートシェル・サービス
cut フィールド/文字の選択 sdiff ファイルの比較
date 日付の表示 sed ストリーム・エディタ
diff ファイル内容の差分の表示 sh シェル(Korn Shell)
dirname ディレクトリ名の表示 showmnt マウント情報の表示
dos2unix DOSテキスト→UNIXテキストの変換 showmount マウント情報の表示
du ディスク使用量の表示 sleep スリープ
egrep egrepコマンド(拡張grep) sort ソート
fgrep fgrepコマンド(固定パターン用のgrep) split ファイル内容の分割出力
find ファイルの検索 strings 文字列の取り出し
grep grep(パターンの検索) su ユーザーIDの置き換え
head ファイル先頭行の表示 tail ファイル最終行の表示
iconv 文字コード集合の変換 tee 標準出力の複製出力
kill プロセスのキル telnetc telnetクライアント
ln ファイル・リンク tnadmin telnet管理
ls ファイル名の表示 top プロセスの表示
mapadmin ユーザー名マップの管理 touch ファイル変更日付の修正
mkdir ディレクトリの作成 tr 文字の置換
more ファイルのインタラクティブな表示 umount アンマウント
mount NFSファイル・システムのマウント uname システム情報の出力
mv ファイルの移動 uniq 重複する行の削除
Nfsadmin NFSサービスの管理 unix2dos UNIXテキスト→DOSテキストの変換
nfsshare NFS共有ボリュームの作成 uudecode バイナリデータのデコード
nfsstat NFSサービスの状態表示 uuencode バイナリデータのエンコード
nice プロセス優先度の変更 vi viエディタ
nis2ad NISマップのActiveDirectoryへの移行 wait ウェイト
nisadmin NISサービスの管理 wc ワード・カウント
nismap NISマップの管理 which コマンドの位置特定
od ファイル内容の(8進)ダンプ xargs 引数一覧の構築
paste ファイルの行の連結 ypcat NISマップの出力
Perl Perlインタープリタ ypclear NISマップのキャッシュのクリア
printenv 環境変数の表示 ypmatch NISマップのキーの値の出力
printf 書式指定付き表示 yppush NISマップの伝達
ps プロセス一覧の表示
UNIX互換ツールの一覧

最後に

 以上、簡単にSFUの機能を紹介してきた。SFUの機能をもう一度簡単にまとめると、

  1. NFSサーバ/クライアント機能の提供
  2. UNIX/Windows間でのパスワードの同期/一括管理
  3. UNIX互換ツール類

の3点ということになる。いずれもUNIXマシンとWindowsマシンを混在させて使用しているネットワーク環境では有用であると考えられる。特に2.のパスワード同期は、UNIXとWindows系OSの混在ネットワークの管理者(およびユーザー)にとっては、2種類のOS間で2つのパスワードを使い分けたり、(パスワードの変更時には)各ユーザーが自分で同期作業(双方にログオンして、それぞれのパスワードを変更する)を行ったりする必要がなくなるので、メリットがあるといえる。また3.のUNIX互換ツール類も、UNIX環境に慣れたユーザーには便利である。

 しかし1.のNFSサーバ/クライアント機能については、最近ではその必要性は薄れているかも知れない。SFUの最初のバージョンが発売された当時(1999年4月発売)と比べると、UNIX(特にLinux)の普及も進んでいるからだ。UNIX上のSambaソフトウェアでは、SMBプロトコルによるファイル共有(公開)サービスや、SMBクライアント機能を備えている。そのため、Windows側に特別なプログラムを導入しなくても、Windows環境から簡単にUNIX(Samba)サーバ上のファイルにアクセスしたり、逆にUNIX側からWindows OSのファイル・サーバにアクセスしたりすることができる。

 SFUを実際に導入するべきかどうか、導入するとメリットがあるかどうかについては、以上のような事情も考慮して、検討するとよいだろう。End of Article

 

 INDEX
  [製品レビュー]Windows Services for UNIX 2.0
    1.SFUの概要とインストール
    2.NFSサーバ/クライアント機能
    3.ユーザー・アカウントの管理とパスワード同期
  4.UNIX互換ツール
 
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