第9回 読者調査結果
@IT マーケティングサービス担当 |
2003年4月7日、マイクロソフトはWindows Server 2003日本語版の開発完了と、販売に向けた製造開始を発表した(マイクロソフトのニュースリリース「Windows Server 2003日本語版の開発を完了、製品販売に向けての製造を開始」)。Windows 2000 Server発売から3年、間もなく姿を現す新世代のWindowsサーバOSは、軟調が続くIT市況に喝を入れることができるだろうか? Windows Server Insiderフォーラムが実施した第9回読者調査から、その需要を検証しよう。
サーバOS利用状況:依然残るWindowsのレガシー移行問題
まず新OS需要の土台となる、現在のサーバOS利用状況を確認したところ、Windowsシステム構築/管理に携わる読者の76%が「Windows 2000 Server」を利用していた(グラフ1)。ただし、それに次いで66%が「Windows NT Server」を利用していることから、Windowsプラットフォーム内部の“レガシー混在”状況が根強いことが分かる。Windows NTと2000では管理形態(NTドメイン/Active Directory)などに大きな違いがあるが、結局Windows 2000の発売から3年経っても、新OSへの完全な移行は達成できなかったようだ。新世代Windowsの機能をフルに活かすためにも、このレガシー移行問題の解決は、引き続きWindows Server 2003の大きな使命・課題となりそうだ。
グラフ1 サーバOSの利用状況(複数回答 N=360) |
WindowsサーバOSの適用分野:夜明け前のXML Webサービス
もう1点確認として、読者にWindowsサーバOSの適用分野を聞いた結果が、グラフ2だ。まず現在の状況を見ると、「ファイル/プリンタ共有」を筆頭に、「インターネット/イントラネット環境」「システム運用管理」「RDBMS(データベース管理)」といった分野でWindowsサーバの適用率が高くなっている(グラフ2 青棒)。一方で読者が「今後適用を予定/検討している」分野を同じ選択肢でたずねたところ、「XML Webサービス構築/提供」がトップに挙げられた(グラフ2 黄棒)。
XML Webサービスは .NETプラットフォームの中核となるテクノロジだが、現時点の適用率(10%)を見ると、まだ黎明期を脱していない模様だ。これが適用予定/検討率で示された25%まで上昇すれば、臨界点を超えて普及する可能性も見えてくるだろう。.NET Frameworkを標準搭載するWindows Server 2003がその真価を発揮するためには、XML Webサービスの普及をさらに早める必要がありそうだ。
グラフ2 Windowsサーバの適用分野(複数回答 N=360) |
Windows Server 2003の需要:約半数が「導入予定なし」
では本題に入って、Windows Server 2003の需要を見てみよう。読者のかかわるシステムにおけるWindows Server 2003の導入予定を聞いた結果、2003年度中の導入意向を示したのは(「2003年度中に全面的に導入する予定」「2003年度内は試験的/部分的に導入する予定」合計で)全体の20%であった(グラフ3)。逆に「いまのところ導入予定/検討はしていない」読者が全体の半数近くに上っていることを考えると、現時点で見る限りWindows Server 2003の需要はあまり高くないといえる。ではその背景には、どのような理由があるのだろうか?
グラフ3 Windows Server 2003の導入予定(N=360) |
Windows Server 2003を検討しない理由:「導入はSP後」が定着?
グラフ3でWindows Server 2003の「導入予定/検討はしていない」と答えた174人に、その理由を聞いた結果がグラフ4だ。12個の選択肢から3つまでを選んでもらったところ、該当者の半数近くが「サービスパックが出るまでは、品質が信頼できないから」を挙げている。関連する読者のコメントを引用しよう。
Windows全般にいえることですが、リリース後すぐに導入するより、少し時間をおいた方が、さまざまな問題が解消された後に導入できます。今後もこのような導入計画を踏襲していく予定です。リリースされても不具合が多発するのだけは避けたいですね(卸売業:ネットワーク構築) |
どうやら個別OSの信頼性以前の問題として、「Windows OSはService Pack(SP)が提供されてから導入を検討する」というポリシー(?)が定説化してしまった感もある。ただしWindows Server 2003については、ガートナージャパンの栗原氏より、以下のような見解も寄せられている。
「(Windows Server 2003は)Windows 2000 Serverと比較してカーネルの大幅な変更がないため、コードは枯れており、出荷初期から比較的安心して利用できると考えられる(略)ガートナーは、いままでWindowsの新しいバージョンが出荷されるたびに、最初のService Packの安定稼働が確認されるまで待つべきというガイドラインを提示してきたが、Windows Server 2003については、出荷後すぐにテスト運用が可能という見解である(NewsInsight『必ずしも順風満帆ではないMSのサーバ・ロードマップ』2003/2/15)」 |
いずれにせよ、ユーザーが先入観に惑わされないような品質の証明が、マイクロソフトには求められそうだ。
グラフ4 Windows Server 2003を導入検討しない理由(3つまでの複数回答 N=174) |
Windows Server 2003情報ニーズ:興味の中心は.NET…ではない
では最後に、読者がWindows Server 2003の導入を検討するにあたって、現在どのような機能や情報に興味を持っているのかを紹介しておこう。主な新機能/改善機能を並べて注目トピックスを聞いた結果、「システム・セキュリティの強化」「Active Directoryの柔軟性向上/管理コスト低減」および「IIS 6.0の信頼性向上」がトップ3に選ばれた(グラフ5)。ここで注目すべきは、これら3項目のポイントが、「.NET Frameworkを利用したシステムの構築/管理方法」を大きく上回った点だろう。実は1年前の2002年3月に実施した第6回 読者調査でも、「Windows .NET Server(Windows Server 2003の旧称)の注目機能」を聞いているのだが、そのときの結果では「.NET FrameworkとXML Webサービスによるシステム構築」がトップで、以下「信頼性/可用性」「IIS 6.0」という順番だった。この1年で.NETへの興味が減退したというよりは、実際の発売が近づいたことで、システム管理者がより現実的な視点で製品導入の是非を見極めようとしているのではないだろうか。
マイクロソフトのServer製品もどんどんよくなってきていますが、やはり実際に使う上で問題になるのが、セキュリティだと思います。このあたりの情報がもう少しあれば早期導入を考えようと思っています(受託開発ソフト業:SE) |
このような読者の声に象徴されるように、Windows Server 2003の早期導入を促進するためには、まずはセキュリティ/信頼性/運用管理のしやすさといった、現在のWindowsサーバ適用分野で求められている機能改善の達成度合いを明らかにすることが重要だろう。
グラフ5 Windows Server 2003で興味ある機能/情報(3つまでの複数回答 N=360) |
調査概要 | |
調査方法
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Windows Server Insiderフォーラムからリンクした Webアンケート |
調査期間
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2003年3月10日〜4月4日 |
有効回答数
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454件(うち、Windowsシステム構築/管理に携わる360件を集計) |
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