第6回 読者調査結果
― Windows .NET Serverに期待される「2つの新機能」とは? ―

@IT マーケティングサービス
小柴 豊
2002/04/12

 Visual Studio .NETの正式リリースにより、Microsoft .NETの開発環境は整った。しかし.NET構想が現実のものとなるためには、その実行環境である.NET Frameworkの普及が必要だ。Windows 2000 Serverの後継にして、.NET Frameworkを標準で実装する初めてのサーバ「Windows .NET Server」は現在ベータ3の段階だが、ITプロフェッショナルの興味はどの程度高まっているのだろうか? Windows Insiderが実施した第6回読者調査から、現在のユーザー状況を紹介しよう。

興味はあるが、盛りあがりは今1つ

 まずは、Windows .NET Serverについて、現在の興味の度合いを聞いた結果が図1である。「とても興味があり、ベータ版を試用している/今後試用したい」という読者は全体の15%。ベータ段階としては妥当な数字といえそうだが、Windows情報専門の当フォーラム読者が対象であることを考えると、いまひとつ反応が鈍い感もある。一方、最も多くの読者が選択した項目は、「興味はあるので、もっと関連情報を提供してほしい」だった。マイクロソフトのWindows .NET Serverのホームページを見ても、2002年に入ってからは目立った情報の更新がない状態が続いている。読者の心境としては、「盛りあがりたくてもネタがない」もどかしさがあるのかもしれない。

図1 Windows .NET Server興味度(N=328)

Windows .NET Serverで注目の新機能は?

 では、Windows .NET Serverのどのような点に、読者は興味を持っているのだろうか? 主な新機能/改善機能から3つまで選んでもらったところ、「Microsoft .NET FrameworkとXML Webサービスによるシステム構築」がトップに挙げられた。冒頭で述べたように「初の.NETネイティブなサーバ」という点が、Windows .NET Server最大のアピール・ポイントであることは間違いない(図2)。

図2.NET Serverで知りたい新機能(3つまでの複数回答N=328)

 また.NET Framework以外では、以下のような信頼性/セキュリティ関連項目が上位に並んだ点が興味深い。

  • 信頼性/可用性(障害復旧、負荷分散、既存資産の互換性など)
  • IIS 6.0(耐障害性やパフォーマンス/スケーラビリティの向上など)
  • 認証/セキュリティ機能改善(認証情報管理、PKI/スマートカード対応など)

 マイクロソフトのビル・ゲイツ会長兼チーフ・ソフトウェア・アーキテクトは、先日全社員に「Trustworthy Computing(信頼できるコンピューティング)」の重要性を訴えたといわれている。.NET Frameworkと並んで「Trustworthyであること」こそが、Windows .NET Serverに求められる「新機能」の中核だといえるだろう。

Windows .NET Serverで知りたいこと/期待すること〜読者のコメントより

  • .NET実現のための機能がどれだけ提供されるのか。それによって、XML Webサービスの実現がどれだけできるのか(パッケージソフト業/社内情報システム担当)

  • OS、IISの安定性、及びセキュリティが向上していることを期待する(受託開発ソフト業/システム開発・設計担当)

  • これ以上「標的」にされやすくなるようならサーバOSの変更を考えているので、そう思わせないような説得力のあるシステム説明が欲しい(コンピュータ関連小売業/テクニカルサポート担当

Windowsによるクリティカルなシステム構築状況

 今回の読者調査では、24時間365日の連続稼働などを要求される、クリティカルなシステムでのWindowsプラットフォームの導入状況も聞いている。後半では、その主な結果を紹介しよう。

 図3はクリティカル・システムにおけるWindowsの導入パターンを聞いた結果だ。「汎用機やUNIXベースのシステムをWindowsでリプレースした」読者は全体の6%に留まったが、「新たにWindowsシステムを構築し、既存の汎用機/UNIX系と連携」したり、「クリティカルな分野も含め、最初からシステム全体をWindowsで構築」したりした読者の比率は若干高くなっている。また「現在は汎用機やUNIXのみだが、今後はWindowsも検討したい」「クリティカルなシステムは現在/今後とも汎用機やUNIXで構築する」という相反した項目に、ほぼ同数ずつの支持が集まっている。

図3 Windowsによるクリティカルシステム構築状況(複数回答 N=328)

 Windowsによるクリティカルなシステム構築の経験がある(または検討したい)と答えた読者にその用途を聞いた結果、「基幹系業務システム/ERP」が筆頭に挙げられた(図4)。企業情報システムの中核を担うこの分野でWindowsの導入が進むかどうかは、今後のエンタープライズ・コンピューティング市場を大きく左右していくだろう。

図4 Windowsクリティカルシステムの用途(同システム構築/検討者N=137)

 ではクリティカルなシステムをWindowsで実現するために、今後何が重要となるだろうか? 3つまでの複数選択で聞いた結果、「エンタープライズ用Windows OSの性能/信頼性向上」及び「ウイルスや不正侵入に対するセキュリティの向上」の2点を挙げる読者が過半数に達した(図5)。前半で紹介したWindows .NET Serverと同じく、この分野でもキーになるのは「Trustworthy」の実現といえそうだ。End of Article

図5 Windowsクリティカルシステム導入の要件(3つまでの複数回答 N=328)
 
調査概要
調査方法
Windows Server InsiderサイトからリンクしたWebアンケート
調査期間
2002年2月12日〜3月10日
有効回答数
328件
 
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