特集
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すでに述べたとおりSBS 2000は、マイクロソフトのサーバ製品群を中小事業者向けに1パッケージ化したものである。SBSの初期バージョンは1998年に発表されたSmall Business Server Ver.4.0で、以後Ver.4.5、そして今回のSBS 2000へとバージョンアップされた。つまりSBS 2000は、第三世代のSBSということになる。
SBS 2000のパッケージ写真 |
SOHOなどのスモール・ビジネスユーザーを対象として、マイクロソフトのサーバ製品群を1パッケージ化し、インストーラや管理ツールなどを最適化したパッケージがこのSBS 2000である。DVD-ROM版も同梱されているので、DVD-ROMドライブを搭載したマシンなら、CD-ROMの入れ替えを行わずに、SBS 2000のインストールを行うことが可能になっている。写真左側に写っているパッケージは、SBS 2000の初回5000本にのみ無償バンドルされた「bパワーアップキット」(「b」は「スモール・ビジネス」の意味)。 このキットには、WebグループウェアのGroupBoardや、携帯電話からSBS 2000へのアクセスを可能にするソフトウェアなどが収録されている。 |
SBS 2000パッケージの中には、次のようなソフトウェア・コンポーネントが収録されている。
ソフトウェア | サポートする機能 |
Windows 2000 Server(Service Pack 1適用済) | Active Directory機能、共有ディレクトリ、共有プリンタなどの基本的なネットワーク・サービス |
Internet Information Server(Windows 2000 Server) | Webサーバ・ソフトウェア。イントラネットやインターネットに向けたWebサーバ・サービスを提供する |
Exchange 2000 Server | メール・サーバ・ソフトウェア。インターネットを経由した社内←→社外のメール送受信を可能にする |
Internet Security and Acceleration Server 2000 | インターネット接続のProxyサーバとして機能し、LANをクラッキングなどから守るファイアウォール機能、効率的なWebアクセスを可能にするWebキャッシング機能を提供する |
SQL Server 2000 | ビジネス・アプリケーションのバックエンドとして機能するリレーショナル・データベース管理システム。SQL Server 2000対応の業務アプリケーションを利用可能になる |
ターミナル・サービス | SBS 2000サーバを遠隔地から管理可能にするサービス。Webブラウザを使用してインターネット経由でSBS 2000サーバに接続し、各種管理コマンドを実行したり、システムを再起動したりできる |
共有FAX・サービス | SBS 2000サーバに接続したFAXモデムを使って、LANの各ユーザーがFAXの送受信を行えるようにする機能 |
共有モデム・サービス | SBS 2000サーバに接続したモデムを使って、LANの各ユーザーがモデム経由で外部の情報サービスに接続できるようにする機能 |
ヘルスモニタ 2.1 | あらかじめサーバの状態に「しきい値」を設定しておき、それを超えたら管理者に通知する |
Outlook 2000 | メール・クライアント・ソフトウェア(Service Release 1) |
FrontPage 2000 | Webページ編集、Webサイト管理を可能にするソフトウェア(Service Release 1) |
SBS 2000を構成する主要なコンポーネント |
このようにSBS 2000には、Windows 2000 Serverを始めとして、ISA ServerやExchange Server、SQL Serverと、実質的にマイクロソフトの主要なサーバ製品群がコンポーネントとして含まれていることが分かる。従来バージョンのSBS Ver.4.0、Ver.4.5では、上位版であるBack Office製品群と比較すると、コンポーネント自身に機能制限が加えられるなど、機能的な見劣りがあったが、最新のSBS 2000では、利用可能なクライアント数制限などがあることを除けば、コンポーネント自身はほぼフル機能版が同梱されるようになった(フル版に比較した制限についてはすぐ次で詳しく述べる)。
SBS 2000に同梱されているWindows 2000 Serverは、完全なフルスペック版である。従ってLANでのディレクトリ共有やプリンタ共有、IIS(Internet Information Server)を利用したWebサーバ、リモートアクセスなど、Windows 2000 Serverが提供するすべての機能を利用できる。またフルスペック版であることから、市販のWindows 2000 Server対応ソフトウェアを独自に組み込んで実行することも可能だ。表中にも示したとおり、SBS 2000パッケージに同梱されるWindows 2000 Serverのインストール用CD-ROMは、Service Pack 1の適用済みイメージ(ブータブルCD-ROM)となっている。ただし周知のとおり、すでにWindows 2000に対しては、Service Pack 2(SP2)が公開されているので、SBS 2000のインストールが終わったら、最初にSP2を適用する必要がある。
Microsoft Small Business Server 2000リソースキット |
Microsoft Corporation 著/多摩ソフトウェア(有)訳 日経BPソフトプレス発行 ISBN 4-89100-240-9 価格:6800円 出版社の解説ページ |
SBS 2000リソースキットの待望の日本語版が先ごろ発売された。このリソースキットでは、SBS 2000の導入計画からインストール方法、初期セットアップ、システム稼働後の管理・運用、障害回復のテクニックまでを詳細に解説している。SBS 2000を実際に導入・運用する管理者はもとより、SBS 2000の導入を検討する際にも役立つ実践的な情報が得られるだろう。 |
SBS 2000には、最新のメール・コラボレーション・ソフトウェアのExchange 2000 Serverと、クライアント用としてOutlook 2000が同梱されている。Exchange 2000の最大のメリットは、Exchangeのユーザー管理がActive Directoryに統合され、従来はWindowsドメインとExchange Serverで別々に設定する必要があったユーザー情報をActive Directoryで一元管理できるようになったことである。
従来はWebプロキシ機能を中心提供していたProxy ServerがISA Server 2000(Internet Security and Acceleration Server 2000)に名前を変えてSBS 2000に同梱されている。名前からも想像できるように、ISA Server 2000では、パケット・フィルタリングなどのセキュリティ機能が大幅に強化された。このISA Server 2000によって、インターネット側からの侵入や攻撃からLANを守るファイアウォールと、LANのクライアントが効率よくWebにアクセスできるようにするWeb Proxyの双方の機能が提供される(ISA Server 2000の詳細については別稿の「運用:Windows 2000 LAN防衛術」を参照)。
データベース管理システムとしては、SQL Server 2000が同梱される。ただしSQL Server 2000は、SBS 2000をインストールしただけではあまり使う機会がない(IISのログ管理に使うことは可能だが…)。SQL Server 2000が同梱されているのは、これを利用する市販の業務アプリケーションなどを想定したものである。
なお前出の写真にあるとおり、SBS 2000の初回パッケージ5000本には、ボーナス・パッケージとして「bパワーアップキット」が添付されている(「b」は「スモールビジネス」の意味)。このキットには、日本のマイクロソフトが企画・開発したというWebグループウェアの「GroupBoard」と、携帯電話(NTT DoCoMoのiモード、J-フォンのJ-スカイ、DDIポケットのH"など)から、SBS 2000のExchange 2000にアクセスして、メールや予定表などへのアクセスを可能にするソフトウェア「ExLook2000」、SBS 2000向けのアンチ・ウイルス・ソフトウェア(「Norton AntiVirus Solution for SBS」または「トレンドマイクロ・ウイルス対策キット for SBS」のいずれか)の無償提供クーポンが収録されている。ただし、GroupBoardについては、マイクロソフトのWebサイトでも無償公開されており、キットがなくてもダウンロードすることができる(マイクロソフトのGroupBoardのホームページ)。
INDEX | ||
[特集]インターネット「常時」接続計画 | ||
第1回 接続計画とSBS 2000 | ||
1.Small Business Server 2000を利用したインターネット・ドメイン構築 | ||
2.Small Business Server 2000パッケージの中身 | ||
3.SBS 2000の特徴 | ||
4.SBS 2000の制限 | ||
インターネット「常時」接続計画 |
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