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Windows Server 2008にHyper-Vをインストールする

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デジタルアドバンテージ 打越 浩幸
2008/07/25
対象OS
Windows Server 2008
Windows Server 2008向けの仮想化環境Hyper-Vは、正式リリース版がOS本体とは別に公開されている。
Hyper-Vは、仮想化支援機能を備えた64bit CPUと、64bit版Windows Server 2008の組み合わせで利用できる。
Hyper-Vマネージャをインストールすると、リモートからHyper-Vを管理できる。

解説

Windows Server 2008の基礎知識「進化した仮想化機能」
Windows Server 2008の基礎知識「Windows OSに標準搭載された仮想化機能Hyper-V」
連載「Hyper-V実践サーバ統合術」

 Windows Server 2008では、仮想化環境を実現するために「Hyper-V」というハイパーバイザ機能が用意されている。Windows Server 2008にこれを導入することにより、従来のVirtual PCやVirtual Serverよりも高機能で、高性能な仮想環境を実現できる。Hyper-Vの詳細については今後別記事で詳しく取り上げるが、簡単にまとめておくと、ハイパーバイザ・ベースの仮想化機能で実現される高いパフォーマンス、64bit OSのゲストOSサポート、マルチコア(マルチプロセッサ)サポート、より大容量のメモリや仮想ディスクのサポート、より進んだ管理機能などがある。関連記事も参照していただきたい。

 Hyper-VはWindows Server 2008のアドオン機能の1つであるが、2008年4月より販売が開始されたWindows Server 2008にはこのHyper-V機能は含まれていない(Hyper-VのRC版は付属していたが、これは正式なものではない)。その後、2008年6月末にHyper-Vの正式版が完成し、提供が開始された。Windows Server 2008ユーザーならば、これをダウンロードしてインストール、使用することができる。本TIPSでは、このHyper-Vの導入方法について解説する。

 なおHyper-Vの実行だけに特化した実行環境として、Windows Hyper-V Server 2008という製品が無償で公開されている。これについてはTIPS「Windows Hyper-V Server 2008を利用する」を参照していただきたい。

操作方法

Hyper-Vをインストールするための要件

Windows Q&A「64bitプロセッサ」

 Hyper-VはWindows Server 2008向けのアドオン機能であるが、すべてのエディションで利用できるわけではない。64bit CPUを持ち(関連記事参照)、ハードウェアによる仮想化支援機能をサポートするコンピュータ・システムと、64bit版(x64版)のWindows Server 2008 Standard/Enterprise/Datacenter Editionが必要となる。32bit版のWindows Server 2008やWebサーバ向けのWindows Web Server 2008、ハイパーバイザ機能を含まないWindows Server 2008 Standard/Enterprise/Datacenter without Hyper-Vの各Editionでは利用できない。

 ハードウェアによる仮想化支援機能とは、最近の64bit CPUに実装されている、仮想化ソフトウェアを効率的に実行させるための拡張機能である。具体的には、IntelのIntel-VT(Vertualization Technology)やAMDのAMD-Vが必要である。また不正なコードの実行を禁止するDEP(Data Execution Prevention:データ実行防止。NXやND機能と呼ばれることもある)機能も有効にしておく必要がある。Hyper-Vをインストールする前に、これらの機能をBIOSレベルで有効にしておく。

BIOSによる仮想化機能の有効化
Hyper-Vを利用するためには、ハードウェアによる仮想化支援機能が利用できなければならない。通常はBIOSレベルでこれを有効化しておく必要がある。具体的な設定方法はシステムによって異なるが、一般的にはVirtualization Technologyという項目名で用意されていることが多い。
DEP機能を制御するための項目。これも有効にしておく。ただしシステムによっては常に有効になっており、BIOSでは設定できないものもある。
これを有効にしてからWindows OSをインストールする。このシステム(IntelのCore 2 Duoマシン)のBIOSでは、Intelの開発コード名であった「Vanderpool Technology」という項目名になっている(製品の発売時期が古いため、このような名称を使っている。最近の製品ではVirtualization Technologyとしているものが多い)。

Hyper-VのRTM版をインストールする

 BIOSの設定が終わったら、64bit版のWindows Server 2008をインストールする。次に、Hyper-Vの正式リリース版(RTM版)をダウンロードし、それもインストールする。Windows Server 2008のインストールCD-ROMにもHyper-Vが含まれているが、それはRC版なので、必ず以下のサイトから最新版を入手してインストールすること。

 ダウンロードしたプログラムをダブルクリックしてインストールし、システムを再起動後、Hyper-V機能(役割)を追加する。

 正式リリース版をインストールする前に、すでに以前のベータ版やRC版をインストールして利用している場合は、RTM版をそのままインストールしてはいけない。これらのバージョンからの移行はサポートされていないからだ(設定ファイルなどに互換性がない)。ベータ版からアップグレードする場合は、以前の仮想マシンをすべて削除してから、正式リリース版を上書きインストールする。RC版からアップグレードする場合は、各仮想マシンを削除する必要はないが、状態保存ファイルやスナップショットなどは互換性がないので、仮想マシンを正しくシャットダウンしてから(これで状態保存ファイルは削除される)、スナップショットを削除する。その後、正式リリース版を上書きインストールする。詳細な手順については、上のインストール手順書を参照していただきたい。

Hyper-V機能を追加する

 Hyper-Vの正式リリース版をインストールしたら、次はWindows Server 2008にHyper-V機能を追加する。まず[管理ツール]の[サーバ マネージャ]を起動する。そして[役割の概要]にある[役割の追加]をクリックしてウィザードを起動し、[Hyper-V]を選択して追加インストールする(サーバ・ログオン時にデフォルトで表示されている[初期構成タスク]画面で、[このサーバのカスタマイズ]−[役割の追加]を選んでもよい)。

役割「Hyper-V」の追加
サーバ・マネージャの[役割の概要]にある[役割の追加]をクリックすると、追加する役割の一覧が表示されるので、[Hyper-V]を選択して追加する。Hyper-Vを利用するサーバでは、システムを安定的に稼働させるため、ほかの役割は使わない(追加しない)ようにするのが望ましいとされている(つまり、Hyper-V専用サーバとして運用するのが望ましいということ)。
これを選択してインストールする。
この役割の追加ウィザードの途中でユーザーが指定する項目は、この[仮想ネットワーク]のステップだけである。[仮想ネットワークの追加]画面では、仮想環境で使用するネットワーク・アダプタを選択すること。

■Server CoreでのHyper-Vのインストール

Windows Server 2008「より安全性の高いサーバ構築を可能にするServer Core」

  Server Core環境ではサーバ・マネージャのようなGUI画面は使えないため、コマンド・プロンプト上で作業を行う(関連記事参照)。ダウンロードしたHyper-Vのプログラム・ファイルを実行してインストールした後、次のコマンドを実行してHyper-Vの役割を追加する。

ocsetup "Microsoft-Hyper-V"

 役割を追加後、システムを再起動すると、Hyper-Vが有効になっているはずだ。Hyper-Vが有効になっていると、以下のようなサービスが開始されていることが確認できる(コマンド・プロンプト上で「net start」コマンドを実行する)。

  • Hyper-V イメージ管理サービス
  • Hyper-V ネットワーク管理サービス
  • Hyper-V 仮想マシン管理

Hyper-V管理コンソールをインストール/利用する

 Hyper-Vをインストールしたら、以後はHyper-V用のMMC管理コンソール「Hyper-V マネージャ」でその動作状況を確認したり、仮想マシン(子パーティション)を管理したりできる。

Hyper-V管理コンソール「Hyper-V マネージャ」
Hyper-Vをインストールすると、管理ツールにHyper-Vマネージャが追加される。これは、サーバ・マネージャで見たHyper-Vの管理画面([Hyper-V マネージャ]はこのサブセット)。Hyper-Vに関するイベントやサービスなどもまとめて表示されている。
Hyper-Vがインストールされているとこのように役割が表示される。[役割]−[Hyper-V]はHyper-Vに関する総合的な管理画面。
Hyper-Vの総合情報画面。
Hyper-Vに関するイベント。
Hyper-Vのサービス。

 Hyper-VマネージャはHyper-VがインストールされたホストOS(64bit版Windows Server 2008)上で動作するだけでなく、ほかのWindows OS上にインストールして、リモートから管理することもできる。現在のところ、以下のOS向けのHyper-V管理コンソールが用意されているので、それらをダウンロードしてインストールする。具体的な方法についてはTIPS「Windows Server 2008のHyper-Vをリモートから管理する(ドメイン編)」「Windows Server 2008のHyper-Vをリモートから管理する(HVRemote/ワークグループ編)」を参照していただきたい。

 Hyper-Vマネージャを使用した仮想マシンの作成方法や、ゲストOSをインストールする方法、従来のVirtual PCやVirtual ServerからVHDファイルを移行する方法などについては、今後別TIPSで紹介する。End of Article

  関連リンク
  【Windows Server 2008】(修正)Server Core に Hyper-V をインストールする:フィールドSEあがりの安納です(マイクロソフト エバンジェリスト ブログ)
     
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