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WINSサーバの複製を設定する
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解説 |
Windows TIPS「WINSサーバ管理ツールの基本的な使い方」では、WINS管理ツールによる、WINSサーバへの接続、データベースの検索、静的レコードの登録について説明した。本TIPSでは、WINSサーバの複製設定について解説する。WINSサーバを複数台用意することにより、負荷分散や冗長性を確保することができる。
WINSの複製を設定するには、複製する双方のWINSサーバでお互いに「レプリケーション(複製)パートナー」の設定を行う。
WINSの複製設定には、相手サーバから自サーバへWINSレコードを取得/コピーする「プル」処理と、データの送信を許可する「プッシュ」の2種類がある(プッシュが許可された場合にのみプルできる)。基本的には、双方でプル操作を定期的に実行することにより、2台のWINSサーバ間でデータベースを複製・共有する。
組織内に複数台のWINSサーバが存在する場合でも、すべてのWINSサーバの組み合わせをお互いにプッシュ/プル・パートナーとして登録する必要はなく、トラフィックなどを考えて、中心的なWINSサーバ群と、それらのうちのいずれか1台と複製を行う補助的なWINSサーバに分けて構築すればよい。あるWINSサーバに登録された情報は、複製パートナーを経由して順次ほかのWINSサーバへと転送され、最終的にはすべてのWINSサーバへと伝達されるからだ。具体的には各拠点ごとに1台のプライマリWINSサーバを置き、それらを相互にプッシュ/プル・パートナーとして設定しておく。さらにそれぞれの拠点には、各プライマリWINSサーバとのみ複製を行うセカンダリWINSサーバを導入し、クライアント・コンピュータには、2台のWINSサーバをプライマリWINSサーバとセカンダリWINSサーバとして設定する。プライマリWINSサーバとセカンダリWINSサーバとして利用されるWINSサーバは、登録内容に矛盾がないように、お互いに複製パートナーとして設定しておかなかればならないが、そうでないWINSサーバ間では、その必要はない。ネットワークの帯域などに応じて、複製間隔を低くし(デフォルトの30分から例えば1日程度まで下げる)、トラフィックを抑えても問題はないだろう(ほかの拠点のコンピュータをアクセスする頻度は高くないため)。
WINS複製 |
WINSサーバ間でレコードを複製して保持することにより、負荷分散や冗長性を確保しながら、クライアントからのWINS要求に答えることができるようになる。また拠点間でWINSデータベースを複製して保持することにより、全組織レベルでのWINSによる名前解決サービスを提供することができる。この場合、拠点内のプライマリWINSサーバとセカンダリWINSサーバでは通常の更新を行うが、拠点間では複製の頻度を低くし、複製に使用するネットワーク帯域を抑えることができる。 |
なお、複製処理では、登録されているすべてのレコードが送信されるわけではなく、登録内容に変更のあった部分の情報のみが送信されるため、WINSのトラフィックはそう大きなものにはならない。またWINS複製ではTCPの42番ポートが利用されるため(これは通常のWINSサーバへのアクセスで利用されるポートでもある)、ファイアウォールの設定なども必要に応じて行っておく必要がある。
操作方法 |
複製パートナーの設定
複製を設定するには、[スタート]メニューの[プログラム]−[管理ツール]−[WINS]でWINS管理ツールを起動し、目的とするWINSサーバへ接続後、複製する双方のWINSサーバでお互いに「レプリケーション(複製)パートナー」の設定を行う。
複製パートナーの設定 | |||||||||
WINSの「複製パートナー」(これはWindows 2000 Serverでの表記。Windows Server 2003では「レプリケーション パートナー」と表記されている)を設定するには、[新しいレプリケーション パートナー]を選択して、WINSサーバを登録する。 | |||||||||
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上記の操作を行うと、WINSサーバを登録するダイアログが表示されるので、WINSサーバのサーバ名かIPアドレスを入力する。
複製パートナーの登録 | |||
パートナーとして登録したいWINSサーバを指定する。 | |||
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複製パートナーの設定は、パートナーとして設定された相手側のWINSサーバでも同様に行い、それぞれが相互に「プッシュ/プル・パートナー」として動作するように設定しておく。
複製の実行
いったん複製パートナーを登録すると、あとは一定時間間隔で自動的に複製が行われるが(デフォルトでは30分間隔)、メニューを使ってすぐに実行させることもできる。ただしこれは実際には複製の実行コマンドを発行するだけであり、複製作業そのものはバックグラウンドで行われるので、複製結果のレコードが確認できるまでには少し時間がかかることがある。
複製の実行 | |||||||||
[今すぐレプリケート]を実行することにより、複製を直ちに発行することができる。ただしこれは複製コマンドを発行するだけであり、実際の複製処理はバックグラウンドで行われるので、結果が確認できるまでには少々時間がかかる。これ以外にも、WINSサーバ名を右クリックして、ポップアップ・メニューから[すべてのタスク]−[再起動]を実行しても、(デフォルトではサービスの開始時に複製を行うようになっているので)すぐに複製を行わせることができる。 | |||||||||
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なお、複製パートナーを片方のWINSサーバでしか設定していない場合、デフォルトでは相手側のWINSサーバで複製要求が拒否される。片方のWINSサーバから一方的に複製を行うためには、複製のプロパティ設定で、複製パートナー以外からの要求も許可するように設定すればよいが(次の画面参照)、セキュリティ的にはあまり望ましくないので登録されたパートナー間でのみ複製を行うようにするのがよいだろう。
複製パートナーの設定 | ||||||
デフォルトでは複製パートナーとして登録されたWINSサーバ同士でしか複製できないが、設定によってはそれ以外のWINSサーバからの複製要求も受け付けることができる。だがセキュリティ的には望ましくない。 | ||||||
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複製の確認
WINSの複製が正しく行われているかどうかは、WINSサーバの統計情報や、イベント・ビューアなどで確認することができる。統計情報を見るには、WINS管理ツールでWINSサーバ名を右クリックし、ポップアップ・メニューから[サーバー統計情報の表示]を選択する。
WINSサーバの統計情報 | |||
WINSサーバ名を右クリックして、ポップアップ・メニューから[サーバー統計情報の表示]を選択すると統計情報が表示される。 | |||
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このリストは、デジタルアドバンテージが開発した自動関連記事探索システム Jigsaw(ジグソー) により自動抽出したものです。
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