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WINSサーバ管理ツールの基本的な使い方
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解説 |
WINSは、NBT(NetBIOS over TCP/IP)環境において、NetBIOS名とIPアドレスのマッピングを管理するためのデータベース・サービスである。NetBIOS名からIPアドレスを求める場合(名前解決をする場合)、デフォルトではブロードキャストやLMHOSTSファイルを利用するが、WINSサービスという、NetBIOS名用の名前解決サービスを利用することもできる。WINSで名前を動的に集中管理することにより、(ブロードキャストでは不可能な)ネットワークを越えた場所にあるシステムの名前解決も行えるし、複数のWINSサービスを連携(複製)することにより、異なるドメインやワークグループの名前解決を統合することも可能となる。LMHOSTSファイルを各クライアントPCに展開する必要もなくなるので、管理の手間も激減する。WINSサービスは、Windows NT 4.0以降のServer OSで利用することができる。
WINSの管理ツールには、GUIベースのツールと、netshを使ったコマンドライン・ベースのツールの2種類がある(netshはWindows 2000以降でのみ使用可能)。本TIPSでは、GUIの管理ツールについて解説する。といっても、WINSの管理業務で行うべき作業はそう多くなく、実際には、動作状態の確認、登録されているレコードの表示(確認)、静的なレコードの登録、複製(レプリケーション)の設定と確認ぐらいであろう。今回はWINSに登録されているレコードの表示と、静的レコードの登録方法について解説する。
操作方法 |
手順1―対象となるWINSサーバへの接続
WINS管理ツールは、[スタート]メニューの[プログラム]−[管理ツール]−[WINS]で起動する。クライアント系OSやWINSサービスが稼働していないサーバOSでも、Windows TIPS「サーバ用管理ツールをクライアントPCにインストールする」で解説した方法を利用すればWINS管理ツールを利用することができるので、管理者ならば手元のマシンにインストールしておけばよいだろう。
WINS管理ツールを起動すると、デフォルトではローカルのマシン上のWINSサービスへ接続した状態で画面が表示される。だがWINSサービスが起動していない場合や、クライアント系OS上で利用する場合は、最初に[操作]メニューの[サーバーの追加]で、対象となるWINSサーバを指定すればよい。一度追加しておけば、そのサーバ接続は記録され、次回以降もそのまま利用することができる。組織内に複数のWINSサーバが存在する場合は、それらのサーバをすべて追加しておけばよいだろう(ただしWINSサーバへは、管理者権限で接続できる必要がある)。
WINS管理ツールを起動すると、サーバ名の下に[アクティブな登録]と[レプリケーション パートナー]という2つの項目が表示される。
手順2―WINSレコードの表示
WINSのデータベースには、WINSクライアントから登録されたNetBIOS名とそれに関するさまざまな情報(IPアドレスやレコードの有効期限など)が登録されている。このレコードの内容を確認することにより、正しい名前とIPアドレスのペアが登録されているか、WINS複製をしている場合は、それらが正しく動作しているか、などを確認することができる(ただし確認するだけであり、レコードの内容を変更することはできない。不正なレコードが登録されているとすると、それはクライアント側の設定などが間違っている可能性がある)。
デフォルトではこのレコードは表示されていないので、管理者が明示的にデータベース内容の表示を指示する必要がある。このためには、[操作]メニューの[レコードの表示]を選ぶか、[アクティブな登録]というツリー項目を右クリックして、ポップアップ・メニューから[レコードの表示]を選択する。すると次のようなダイアログが表示される。
レコードの表示ダイアログ | ||||||||||||
WINSレコードを検索するためのダイアログ。条件を指定して検索結果の数を絞り込むことができるが、通常は全レコードを検索・表示させるのが簡単でよいだろう。 | ||||||||||||
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このダイアログで適切な条件を指定し、[検索開始]ボタンをクリックする。何も条件を指定しないと、WINSに登録されているすべてのレコードが表示されるが、通常はこのような使い方でも問題はないと思われる(表示されるレコードの数が多くなるだけだが、現在の高速なシステムやネットワークでは問題にならないだろう)。
検索が完了すると、管理ツールの右側のウィンドウに全レコードが表示される。このように、一度検索を行わないとレコードの内容が表示されないようになっている。
WINSレコードの検索結果 | ||||||
レコードの検索を行うと、条件に該当するレコードがすべて表示される。 | ||||||
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各レコードの属性には次のようなものがある
項目名 | 内容 |
レコード名 | NetBIOS名。最大15文字。英字は通常、すべて大文字で表現される |
種類 | NetBIOS名の種類。NetBIOS名の16byte目の値を[01h]とか[20h]などのように表す |
IPアドレス | そのNetBIOS名に割り当てられているIPアドレス |
状態 | そのNetBIOS名が有効かどうかなどの状態を表す。システムの起動時に登録されたNetBIOS名は「アクティブ」となり、終了時に「解放」となる。そしてある時間が過ぎると「廃棄済み」となり、その後にレコードが削除される |
静的 | 管理者が固定的にIPアドレスを割り当てたかどうか。静的に登録するのは、LMHOSTSファイルに定義するのと同じ効果を持つ |
所有者 | どのWINSサーバで登録されたかの状態。WINSデータベースが複製されると、ほかのマシンが所有者となっていることがある |
バージョン | データベースのレコードの内部的な更新管理番号。登録されているレコード・データが新しいかどうかを管理するために利用されている |
有効期限 | レコード・データの有効期限 |
WINSデータベースに登録されているレコードの情報 |
手順3―静的レコードの登録
あるサーバ名(NetBIOS名)が、常に固定的なIPアドレスを持っている場合は、あらかじめそのレコードを登録しておくことができる。通常はこの作業はLMHOSTSファイルを使って行うが、WINSデータベースにあらかじめ登録しておくことにより、クライアント側では何の操作もせずに、NetBIOS名(NBT名)の名前解決を行うことができる。ネットワークを越えた場所にあるファイル・サーバやドメインなどへ接続するといった用途では、あらかじめWINSデータベースに登録しておくとよいだろう。WINSサーバのIPアドレスをDHCPサービスでクライアントに提供するようにすれば、クライアントPCの設定をいちいち変更する必要がなくなる。
WINSサーバに静的なレコードを登録するには、[操作]メニューの[新しい静的マッピング]を実行する。これを実行すると次のようなダイアログが表示される。
静的マッピングの定義 | |||||||||
WINSサーバに静的に定義しておくことにより、クライアント側でいちいちLMHOSTSファイルなどを管理しなくても、常に指定したサーバへアクセスすることができるようになる。 | |||||||||
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1レコードずつ定義するのが面倒な場合や、すでにLMHOSTSファイルが存在する場合は、[操作]メニューの[LMHOSTS ファイルのインポート]を使って、まとめて登録してもよい。
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このリストは、デジタルアドバンテージが開発した自動関連記事探索システム Jigsaw(ジグソー) により自動抽出したものです。
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