Windows TIPS
[Install & Setup] |
Office 2003のキャッシュ用フォルダを移動してブート・ボリュームを空ける
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Windowsを使い続けていると、しばしばブート・ボリュームの空き容量が足りなくなることがある。 |
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その原因の1つに、Office 2003の「ローカル・インストール・ソース」というインストールCDのキャッシュ用フォルダがある。 |
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マイクロソフトが無償で公開している「LISツール」を使えば、このローカル・インストール・ソースを別のボリュームに移動して、ブート・ボリュームに数百Mbytesの空きを確保できる。 |
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Windowsを使い続けていると、ブート・ボリューム(Windowsのシステム・ファイルがあるボリューム)に格納されるプログラムやデータのファイルが増え続ける結果、しばしばブート・ボリュームの空き容量が足りなくなることがある。そのまま放置すると深刻なシステム障害を招くこともあるため、何とかして空き容量を増やさなければならない。
もしOffice 2003ファミリを利用しているなら、その「ローカル・インストール・ソース」を別のボリュームへ移動することで簡単にブート・ボリュームの空き容量を増やせる可能性がある。
ローカル・インストール・ソースが数百Mbytesを消費している!?
「ローカル・インストール・ソース」とはOfficeのインストールCDのキャッシュ用フォルダのことで、パッチ適用時やコンポーネントの追加時にいちいちインストールCDを用意せずに済むようにOffice 2003から導入されたしくみである。Office 2003のインストールを始めると、Office 2003のセットアップ・プログラムは通常、インストール先のPCで最も空き容量の大きなボリュームを探してローカル・インストール・ソース用のフォルダを作成し、インストールCDの内容をコピーする。その後、(コンポーネントの追加やパッチ適用などで)運用中にインストールCDを必要とする処理が発生すると、まずローカル・インストール・ソースが参照されるため、ここで必要なファイルがすべて見つかればインストールCDは不要となる。
このように管理の手間を省いてくれるローカル・インストール・ソースだが、インストールCDをキャッシュする分のディスク容量を消費するという欠点がある。その容量は、完全にキャッシュされていると約300M~500Mbytesにもなる(複数のOffice 2003ファミリ製品がインストール済みならさらに増える)。PCのディスク構成に依存するが、筆者の経験ではローカル・インストール・ソースがブート・ボリュームに配置される可能性は非常に高い。もしブート・ボリュームにこれだけの容量を消費するローカル・インストール・ソースが存在している*1せいで容量不足を招いているならば、増設したハードディスクなど別のボリュームに移動したいところだ。
*1 ローカル・インストール・ソースの有無を確認するには、各ボリュームで\MSOCACHEという隠しフォルダを探せばよい(例:C:\MSOCACHEなど)。Office 2003の場合、ローカル・インストール・ソースの実体はこのフォルダ以下に存在する。 |
ローカル・インストール・ソースを移動するには、マイクロソフトが無償で提供している「Local Installation Source Tool(LISツール)」を利用する。これはGUIで簡単に設定できるツールで、1回の実行で目的を達せられる。ディスク・クリーンアップ・ツールのように定期的に実行を繰り返す手間は不要だ。
ローカル・インストール・ソースを移動するための必要条件
ローカル・インストール・ソースの移動先ボリュームの空き容量は、最低でもキャッシュするOffice 2003ファミリのインストールCDと同程度は必要だ(下表)。LISツールは空き容量として最低290Mbytesが必須で、推奨は1Gbytes以上としている。
製品名 |
容量 |
Office Personal Edition 2003 |
309Mbytes |
Office Standard Edition 2003 |
310Mbytes |
Office Professional Edition 2003 |
494Mbytes |
Office Standard Edition 2003 Enterprise |
317Mbytes |
Office Professional Edition 2003 Enterprise |
515Mbytes |
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代表的なOffice 2003スイートのインストールCDの容量(実測値) |
インストールCDの内容の大半がキャッシュ対象のファイルなので、おおよそ上記の容量分の空きが必要になる。複数のOffice 2003ファミリ(スイート以外の単体版やVisio、OneNoteなどを含む)をインストールしてある場合、全製品のローカル・インストール・ソースを一緒に移動しなければならないため、おおよそ、その合計の容量が必要になる。 |
また移動先にネットワーク・ドライブやリムーバブル・メディアは指定できない。基本的に固定接続のハードディスク上のボリュームが対象と考えておけばよい。
なお、移動時にOffice 2003のインストールCDは用意しなくてよい。
LISツールを準備する
ローカル・インストール・ソースを移動するLISツールは、以下のマイクロソフトのWebページからダウンロードできる。
ダウンロードしたアーカイブ・ファイル(LISTool.exe)を実行すると、以下の画面が表示されるので展開先のフォルダを指定して[OK]ボタンをクリックする。すると、そのフォルダにLISツールの本体とヘルプが展開される。
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ダウンロードしたLISTool.exeを実行したときに表示されるダイアログ・ボックス |
展開先フォルダを指定して[OK]ボタンをクリックすると、LISツールの本体のLISTOOL.EXEとヘルプのLISTOOL.CHMが展開される。アーカイブ・ファイルと展開されるファイルの名前が重複しているので、誤って上書きしないように注意する。 |
展開されたLISツールはそのまま直接実行できる(別途インストーラを起動したりする必要はない)。
ローカル・インストール・ソースを移動する手順
ローカル・インストール・ソースを別のボリュームに移動するには、展開されたLISTOOL.EXEを実行してLISツールを起動し、最初の画面で[LIS を別のドライブに移動する]を選ぶ。
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LISツールの起動画面 |
LISツールはローカル・インストール・ソースの移動や削除のほか、完全にキャッシュする機能も持っている。 |
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ローカル・インストール・ソースを移動するためにはこれを選択する。 |
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[次へ]をクリックして使用許諾契約書の条項に同意し、さらに[次へ]ボタンをクリックするとローカル・インストール・ソースを移動可能なボリュームの一覧が表示される。ローカル・インストール・ソースのサイズに対して空き容量の足りないボリュームは、この一覧に表示されないので注意しよう。移動先のボリュームを選択したら[次へ]ボタンをクリックする。
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ローカル・インストール・ソースの移動先の選択 |
LISツールは、ローカル・インストール・ソースを移動できるだけの空き容量があるボリュームだけを選んで表示する。 |
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現在のローカル・インストール・ソースのありかはここに表示される。 |
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移動先のボリュームを選択して[次へ]ボタンをクリックする。 |
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ローカル・インストール・ソースのサイズが1Gbytes未満で、かつ移動先として選んだボリュームに1Gbytes以上の空き容量がないと、ここで警告のメッセージが表示される。空き容量が1Gbytesに満たなくても移動はできるが、将来の容量不足に備えるために、なるべく空き容量の大きいボリュームを選びたいところだ。
ウィザードを進めるとローカル・インストール・ソースの対象ソフトウェアの一覧が表示される(以下の画面)。確認して[次へ]ボタンをクリックすると、ローカル・インストール・ソースにキャッシュされたファイルの移動などの作業が始まる。
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ローカル・インストール・ソースの対象ソフトウェア一覧 |
インストール済みのOffice 2003ファミリ製品がこの一覧に表示されない場合、その製品用のローカル・インストール・ソースは削除済みである。なお、[Microsoft エラー報告]はデフォルトでキャッシュされるコンポーネントである。 |
移動作業が終わると、「Microsoft Office ローカル インストール ソースの移動が完了しました。」というメッセージが表示されるので[OK]ボタンをクリックして完了させる。これでローカル・インストール・ソースの移動は完了だ。
移動の前後でローカル・インストール・ソースの内容(キャッシュされているファイル)は原則として変わらない。すわなち、移動前のキャッシュが「完全」でなければ移動後も完全ではなく、その後の運用中にインストールCDが要求される可能性がある。キャッシュを完全にするには、移動と同じくLISツールを利用する。その手順については関連記事を参照していただきたい。
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