WebDAV (World Wide Web Distributed Authoring and Versioning)
【ウェブ・ダブ/ウェブ・ディー・エー・ブイ】
WebクライアントとWebサーバ間の通信プロトコルであるHTTPを拡張し、Webクライアント側からWebサーバ側へのドキュメントの発行を可能にするための拡張仕様。
インターネット上のWebサービスといった場合、通常はWebサーバからWebクライアントへ一方的なコンテンツの配信を指すことが多い。しかしまだ黎明期だった1990年代始めのWorld Wide Webでは、Webサーバ上のコンテンツをリモートクライアントから編集可能にすることも検討されていた。この当時のWebブラウザはテキストベースのものだったが、これをNCSAがNCSA Mosaicとして改良し、グラフィカルユーザーインターフェイスを追加、インライン・グラフィックス表示機能などを追加して、Webブラウザを一般に広めた。しかしこのNCSA Mosaicには、Webページの編集機能は追加されなかった。Webブラウザが、もっぱらWebサーバのコンテンツを表示するものとして位置づけれらたのはこのためである。
しかしWebを書き込み可能にするというアイデアは、一部のソフトウェアベンダに受け継がれ、製品化がなされた。これらはNaviSoft社のNaviPress、Vermeer社のFrontPageである。これらの製品では、リモートクライアントからWebサーバ上のHTMLコンテンツを編集することが可能だった。この後、NaviSoft社はAmerica Online社に、Vermeer社はMicrosoft社に買収された。現在Microsoft社は、HTMLエディタソフトウェアとしてFrontPageをOfficeラインアップに加えているが、これはVeermer社が開発したFrontPageを発展させたものである。
こうしたWebコンテンツのリモートオーサリングを、HTTPをベースとする標準的な拡張仕様として実行可能にするために考案されたものがWebDAVである。現在、WebDAVは、IETFのワーキンググループでドラフト案が検討され、いくつかの標準仕様案が公開されている。
WebDAV仕様では、次のような点でHTTPの拡張が行われている。
1.Webページの作者、作成日など付加情報を作成し、削除し、取り出す機能。
2.Webページを移動し、コピーする機能。ファイルシステムにおけるディレクトリのように、ある階層以下のファイルをすべてリストアップする機能。
3.現在編集中のページを、他の書き込みから保護する機能。
4.後で取得可能なドキュメントのリビジョン情報を格納し、管理する機能。
Microsoft社は、1999年に発表したWindows用シェルソフトウェアのInternet Explorer 5.0において、Webサーバをあたかも通常の共有ファイルサーバのようにして利用可能にする「Webフォルダ」と呼ばれる機能を組み込んだ。このWebフォルダは、WebDAVのインターフェイスを利用して、Windowsの共有フォルダ機能を実現するもので、これによりNetBEUIなどのプロトコルをサポートしないWebサーバにおいても、WebDAV機能を追加するだけで、Windowsクライアントから利用可能な共有フォルダを提供することができるようになる。米国Microsoft社のホームページでは、UNIX版のWebサーバを含めて、多数のWebサーバ製品向けのWebDAV拡張モジュール(FrontPage Server Extension)を無償配布している。
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参考リンク
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■IETF WEBDAV Working Groupのホームページ(英語)
■米Microsoft、FrontPage Server Extensionのダウンロードサイト(英語)
各種Webサーバー向けのFrontPage Server Extensionをダウンロードできる
■WebDAV Resources
WebDAVに関する開発者情報サイト