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「IFRS人材」の育て方(1)

IFRSが大きく変える「経理部門カルチャー」

野村直秀
アクセンチュア株式会社
2009/12/7

IFRSは財務・経理部門所属の経理人材に単なる会計処理ルールの改定以上の発想の転換を求める。ビジネス部門を直接支援する業務が求められるなど、経理部門のカルチャーを大きく変える可能性がある。(→記事要約<Page 3 >へ)

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日本企業内部の変化

 1980年代に入り、企業の資金調達方法に占める直接金融の割合が高まるに従い、企業の経営の方向性は、株主や投資家をより重視したものになってきています。企業の評価も規模のみならず、企業価値(将来キャッシュフローの創出力:IFRSでも重視されている財務情報)の位置付けが高まってきています。経理部門の役割もコンプライアンス的な財務報告と税務報告にとどまらず、企業価値を高める各種企業行動の支援役としての役割が求められてきています。一方、経理業務全体のコスト効率性という観点では、新興国企業と対峙していかなければならない日本企業にとって、経理のような間接部門のコスト構造も製品やサービスのコスト競争と同様に、新興国と遜色のない効率性が求められています。

IFRSが経理組織と人材に及ぼす影響

 2015年、もしくは2016年に日本の資本市場への導入(アドプション)が行われるとみられるIFRS自体も、当然のごとく経理人材にさまざまな影響を与えることが想定されます。その影響をIFRSの特徴ごとにご説明します。

Principles Base(原則主義)

 IFRSは、Principles Base(原則主義)で策定されています。各社の経理部門では、社内の各種取引が該当するIFRSの原則に照らして、どのような経理処理にすべきかを検討して、社内に周知(制度化)する必要があります。また、その検討結果を監査法人に説明して納得していただくことも必要となります。

 それに加えて、各社は自社の採用した方法を注記等に開示することが求められ、外部の利害関係者にも説明することが求められます。このような役割を果たすためには、IFRSの考え方(フレームワーク)を十分に理解するとともに、自社の各種取引の経済的な実態や契約内容を理解する力が必要になります。

 また、自社の会計処理方法の妥当性を担保するためのひとつの方法として、他社の適用事例を参考にされてきた企業も多いと思います。IFRS環境下となった場合でも他社の適用事例は参考情報として有効なものだと考えられます。従来は日本の国内企業の事例のみ調査対象として参考にされてきたかと思いますが、今後は全世界の公開企業の会計処理方針の適用事例が自社の会計処理方法検討の重要な情報として活用できるようになります。従って、経理部門の方々は、各国で開示されている開示情報を収集分析することも求められると言えます。

B/S重視

 IFRSでは、公正価値による資産や負債の評価の考え方が取り入れられています。公正価値による評価を行う場合には、当該資産や負債が評価時点において、関連する将来キャッシュフローにどのような影響を及ぼすかという判断が必要になります。つまり将来の事象を予測する情報を獲得して整理することが求められます。

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